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日露関係の正念場――求められる「交渉力」とは 

HS政経塾5期生 水野善丈

◆ロシアと繋がる日本のメリット

近年、北朝鮮の核ミサイル実験や中国の領海侵犯も頻繁に行われる中、国防上の危機がより一層迫ってきています。

幸福実現党は、立党当初の2009年より北朝鮮・中国の脅威を訴え、地理的にも北朝鮮・中国の背後にあるロシアと友好関係を結ぶことは安全保障上、有効な戦略であると訴えてきました。

また、原発が全国的に停止される中、エネルギー自給率も6.1%(2013年)の日本にとって、ロシアのシベリアやサハリンにあるエネルギー資源の共同開発は、大きなメリットになります。

安倍政権は、ロシアに対して、クリミア併合から欧米諸国と足並みをそろえ、伊勢志摩サミットもロシアを外したG7で行うなどの対応をとっていました。

しかし、ここ最近になり、ロシアへの協調路線を進めようとしています。

◆日露関係改善に重要な2つの会談

安倍首相は、プーチン大統領と11月のAPEC首脳会議や12月15日の山口県長門市で首脳会談することに成功しました。

狙いとして、プーチン大統領来日で北方領土問題を含む平和条約締結交渉の進展をもっており、「8項目の経済協力プラン」や「北方領土の共同統治案」を検討しロシアとの関係改善を進めようと考えています。

また、会談が行われる12月は、米大統領選も終わりオバマ大統領も任期最後の状態であるので、米国にも口出しをされにくく、今回の日露交渉の時期としては絶好のチャンスといえます。

◆北方領土の位置づけとは

今まで日本は、ロシアと北方領土問題を中心に考え、ロシアとの関係を深めることに力を入れてきませんでした。

ロシアから見れば、平和条約を結んでいるわけでもなく、いきなり「北方領土を返せ!!」と言われても手順が違うと感じていたのではないかと推測されます。

現在ロシアは、クリミア半島の併合による欧米諸国からの経済制裁や近年の原油安の影響により、ここ数年でGDPを半分近く落としており、経済的に衰退しています。

そんな中、今回の日本の経済支援によって、北方領土返還に心が動きそうですが、実際はそうはなりません。

何故なら、お金で領土を易々と手放してしまうと、歴史的にも他の国の領土をたくさん取ってきたロシアにとって、北方領土の返還が契機となり、各地で独立運動が起きてしまいかねないからです。

プーチン大統領が、今年5月に北方領土問題に関連して「一つとして(島は日本に)売らない」と意地でも述べる背景にはこうしたものがあります。

◆優先すべきは「安全保障重視」の日露交渉

では、ロシアとの交渉においてどのような手順を踏めばいいのでしょうか。交渉は、大小をみて、「大」の方を先に取る必要があります。

優先順位として、ロシアとの「平和条約」を結び、さらに通商条約など「経済協力」の関係を深めることが大切です。

これは、北方領土問題に関しては、いったん脇に置いてでも、日本とロシアとの関係の強化に集中する必要があります。

◆ロシアとの友好関係を深め中国・北朝鮮の包囲網をつくる

今後、日本は、日米同盟は基軸としながらも、自主防衛体制を構築していかねばなりません。そして、アジアの安定を守るためにも、ロシアなどの大国とも平和条約を結び、手を取り合わねばいけません。

12月15日のプーチン大統領との首脳会談をきっかけに日露関係がより良い方向へ進むことを願ってやみません。

<参考文献>
「国家の気概」 大川隆法
「プーチン 日本の政治を叱る」大川隆法

水野 善丈

執筆者:水野 善丈

広島第二選挙区支部長 HS政経塾5期卒塾生 

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