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ウクライナ侵攻で原油価格高騰、エネルギー安全保障への影響【前編】

https://youtu.be/4rtIRpJVTcc

幸福実現党党首 釈量子

◆原油価格の高騰

現在世界では、ウクライナ危機の影響もあって、ガソリンや天然ガスの値段が高騰しています。

経済産業省「石油製品価格調査」によると、日本では3月7日時点で、レギュラーガソリンの値段が9週連続の値上がりし、全国平均1リットルあたり174円60銭になっています。

これは、2008年のリーマン直前の高騰以来、約13年半ぶりの高値で、これも補助金で抑えた価格であり、実際は180円を超えていると思います。

ヨーロッパの状況はもっとひどく、ロシアへの依存度が高い天然ガス相場が、ロシアのウクライナ侵攻前後で2倍以上になったという話もあります。

こうした状況から、世界は、「やっぱり、エネルギー安全保障は重要である」という方向に向きつつあります。

◆エネルギー政策を転換したドイツ

ドイツでは、昨年9月の総選挙で政権交代が起き、環境保護を掲げる「緑の党」が政権与党入りしました。

連立政権は、2030年までに石炭火力発電を全廃することを検討していましたが、これを棚上げし、さらに、年末で廃止予定だった3基の原子力発電所の延命まで検討しています。

ドイツは、気候変動対策の急先鋒の国でしたが、なぜ、こうした動きになったかと言えば、ドイツのエネルギー供給があまりにもロシアに依存していたからです。

2020年の統計では、ドイツの天然ガスの55.2%、石炭の48.5%、石油の33.9%がロシア産です。

シュルツ首相は、2月27日の声明で「責任ある、将来を見据えたエネルギー政策が、我々の経済や気候だけでなく、安全保障にとっても極めて重要」と述べました。

◆アメリカも「脱炭素政策」を見直しへ

アメリカでも今回のウクライナ侵攻を受けて、「脱炭素政策」を見直すべきだという声が高まっています。

3月8日、バイデン政権は、発足以来消極的だった、国内での原油や天然ガスの増産を容認する方向へと舵を切りました。

同日、全米商工会議所は、声明でバイデン政権が規制している政府管理地の開発禁止措置を撤回するよう求めました。

バイデン政権は、ロシアからの原油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸入を禁止する大統領令に署名し、即日発効しましたが、これも同じく3月8日の出来事です。

アメリカがロシア産エネルギー資源の輸入を禁じることができるのも、自国内で十分な資源を賄えるからです。

いずれにしても、各国は、今回のウクライナ侵攻を受け、自国の安全保障を考えてエネルギー政策の見直しを始めています。

◆日本もエネルギー政策の見直しを

日本では9日、岸田文雄総理が、アメリカの原油や天然ガスへの禁輸措置に関して「安定供給と安全保障を国益としてG7をはじめとする国際社会と連携し、しっかり取り組んでいきたい」と述べ、アメリカの追加制裁にただちに追随することはしませんでした。

これ自体は正しい判断かと思います。

エネルギー安全保障でいうと、ヨーロッパのエネルギーはロシア依存で、日本の場合、石油は中東依存です。

LNGの調達先はある程度分散しているものの、大部分の燃料が日本の海上輸送の大動脈である南シナ海を通って来ます。

ロシアからエネルギー資源を禁輸してしまうと、日本が輸入している1割程度のエネルギー資源がロシアから入ってこなくなり、裏を返せば、南シナ海ルートへの依存度が高まります。

つまり、中国の脅威を抱える日本にとっては、南シナ海や台湾近海の有事に備え、ロシアからの輸入を増やすことが、リスク低減になります。

ですから、簡単にロシアからのエネルギー資源の輸入を禁止しなかったことは正しかったと思います。しかし、これだけでは十分ではありません。

後編では、日本が投資しているロシア極東の資源開発事業から見て参ります。

(後編につづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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