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規制緩和で待機児童解決を

HS政経塾6期生 須藤有紀

◆切実な若いお母さんの声「待機児童、困るんです」

7月末、私はラフォーレ原宿前で簡単な聞き込みを行っていました。

信号待ちや待ち合わせ中の方に声をかけて、「東京都についてお困りのことや、もっとこうなってほしいという改善点など、ありますか?」と聞いて回ったのです。

その中で、一人の若い女性のお声を頂きました。待機児童の問題をどうにかしてほしい、というご意見でした。

「私、いまこのすぐ近くの託児所に子供を預けているんです。認可保育園も申し込んだけど、200人待ちで……。もう子供を預けるお金を稼ぐために仕事してるような状況なんです」

こうした切実な声は、全国にあふれています。

◆増加する待機児童

9月2日に厚生労働省が発表した待機児童の数は、今年4月時点で昨年より386人多い2万3553人でした。

さらに、自治体が補助している認可外保育園に入所していたり、保護者が育休中だったり、求職活動を休止しているなど、特定の理由で待機児童扱いされていない潜在待機児童は6万7354人に上ると言います。

これを受けて塩崎厚生労働相は、「政府としては2017年度末までの待機児童解消を引き続き目指す」と述べたそうですが(9月2日東京新聞夕刊)、果たしてどこまで可能かは未知数です。

◆保育士の待遇改善、それで本当に解決ですか?

現在、「待遇が悪い」ことを理由に資格所有者でも保育士にならないケースが多く、子供を預かる保育士の数が圧倒的に不足しているため、政府は保育士の待遇改善による人材確保に励んでいます。

保育園の数がいくら増えても、保育士がいなければ保育園は運営できません。

自治体でも横浜市や川口市などが保育士の待遇改善を求める声を上げており(9月3日日経新聞朝刊)、保育所を経営する民間企業も、入社してから保育士資格を取得できる制度の導入や、初任給の増額などで働き手の確保に奔走しているようです。

しかし、そうした対策によって待機児童の問題が解決できるとは思えません。

いくら保育園が増えても、認可保育園希望者の増加はそれを上回っているからです(官邸HP http://www.kantei.go.jp/jp/headline/taikijido/)。

現在、認可保育園には「定員は20人以上」、「3歳未満児2割以上、2歳未満児1割以上」などという規定があります。

また、「0歳児3人につき1人以上」「1、2歳児6人につき1人以上」など、年齢に合わせて何人以上の保育士資格保持者が必要、という決まりもあります。

大切なお子さんを預かる以上万全を帰すのは当然ですが、基準が厳格すぎたり、細かすぎたりして民間の参入を阻んでいるのも事実です。

こうした「保育士資格」を前提とした改善策だけではなく、資格がなくても保育士としての能力を持った人を採用できる仕組みもまた必要なのではないでしょうか。

◆「働きたい」声を力に!規制緩和が必要です 

今年6月、伊豆の蛭ヶ小島に行った時の事です。お土産物屋で店員さんに、「暮らしていてお困りのことはありませんか。

政治に解決してほしい問題はありませんか」と声をかけたところ、「もっと働きたい」との声が返ってきました。そのお店はシルバー人材センターから派遣された人で運営されていて、その方もシルバー人材でした。

「孫は遠くに住んでいて、あまり会うことができないの。でも私は子育ても経験してきた育児のベテランよ。何もすることがないのが一番つらい。別にお金がほしいわけじゃないの。私みたいな年寄りでもお役にたてるなら、保育士さんの代わりに育児したいわ。」

こうしたシルバー人材やボランティアの活用も、保育士資格に拘らずもっと検討すべきではないでしょうか。

◆民間の力を生かす「幸福実現党」

幸福実現党の政策には、「事業所内託児施設の設置や、託児施設と老人福祉施設の一体化施設の設置をさらなる税制優遇で後押し」するということがあります。

そもそも働きたい女性が増えているのなら、福利厚生の一環として企業が独自に、自社内に安価な託児所を設けることができるのが一番良いはずです。

そのためには、場所と人にかかる規制の見直しや撤廃を行う必要があります。
 
政府主導で認可保育園を増やすのには、限界があります。それよりはむしろ、規制を緩和することによって解決を図る方が建設的ではないでしょうか。

保育士資格所有者の待遇改善も大切ですが、子育て経験者は講習を受講すれば資格がなくても保育園勤務ができるようになるなど、工夫の余地はあるはずです。

必要なのは規制緩和です。徒に税金を投入するだけでなく、民間の力を生かしつつ、問題解決を図ってくことが大切であると思います。

須藤有紀

執筆者:須藤有紀

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