このエントリーをはてなブックマークに追加

増税再延期解散という責任回避は許さない

文/千葉県本部 副代表 古川裕三

◆3四半期連続マイナス成長の可能性

17日付ロイター通信によると、18日に発表される2016年1─3月期国内総生産(GDP)が年率換算で1%程度のプラス成長の場合、来年4月の消費増税の実施は難しいとの見方が政府内で台頭してきているといいます。

それに伴い、経済官庁では、延期の場合の経済的影響や経済対策のシミュレーションを始めていると報じられています。

消費と設備投資が冷え込み、内需の縮小が顕著であり、ロイターの調査によれば、前期比・年率プラス0.2%の予測で、実質はマイナス1%を超える落ち込みとなります。

熊本地震の影響もあり、4-6月期は生産の停滞、消費、投資マインドも、より悪化しているのが現状であり、GDPを押し下げる要因はあっても、積極要因は乏しい状態です。

◆消費増税再延期解散の足音

また、このような景気後退局面において、政府関係者の間では「3四半期連続(新年度から9ヶ月連続)で成長率がマイナスとなることも想定される情勢で、消費増税ができる環境ではない」という意見が力を持ち始め、「増税延期が最大の景気対策」とする声もあがっているようです。

熊本地震のあとも、安倍総理は、「来年4月に予定通り増税する」旨や、「解散の『か』の字も考えていない」と答弁してはいますが、野党も警戒を続けているように増税再延期を決めて、解散総選挙を総理が選択する可能性は否定できません。

予測されるシナリオとしては、伊勢志摩サミットにおいて、すでにレームダックと化したオバマ大統領が、最後のレガシーづくりのために、アメリカの大統領として初めて公式に広島を訪問し、「核なき世界」パート2を高らかに宣言されるのでしょう。

それに合わせる形で安倍総理も左派にポーズをとって支持率を上げて、さらに消費増税の再延期を決めてサミット後に解散するというものです。

◆総理は責任をとるべき

2014年の4月に8%に上がった消費税ですが、総理はわずか半年後の14年10月には増税延期を決め、11月に増税延期の信を国民に問う、として解散し、12月に総選挙が行われました。

全く大義が立たない解散だったわけですが、今回も同じ理由で解散を企んでいるわけです。一回の総選挙では500億円以上の国民の血税が投入されます。
17日には16年度補正予算として総額7780億円の熊本地震の復興予算が成立しましたが、もし解散を打つようなことがあれば、それこそ全国民、特に熊本の被災者に対する背信行為にあたります。

潔く増税の失敗を認めて総理は責任をとるべきです。私たちは党利党略を優先させた責任回避解散を断じて許しません。

古川 裕三

執筆者:古川 裕三

HS政経塾 担当チーフ

page top