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スイスの「民間防衛」に学べ

文/幸福実現党・熊本県本部副代表 木下順子

◆スイスの「民間防衛」

スイスが永世中立国であることはご存知の方も多いと思いますが、軍事力を放棄し、ただ「平和」を唱えているわけではありません。

スイス政府編による「民間防衛」という本はあらゆる危険から身をまもるために、敵の戦略とその対処方法が具体的にわかりやすく記載されています。

そしてこの本はスイス政府により、全家庭に配布されたものです。

核兵器・生物兵器・化学兵器・心理戦・妨害工作とスパイ・外国の宣伝の力・避難所・燃料の統制・配給・食糧の割当、配給などが事細かに記されています。

◆避難所の必要性について

人口1,000名以上の自治体については国の法律により、避難所を建設する義務が課されています。

「1,000名以下の場合でも特定の自治体については、州の規則により同様の義務が課されている。」

「これらの自治体では、新しい建物を建てる場合には、少なくとも最低の基準に合った避難所を作らなければならない。」

「このような避難所の建設費用については、連邦、州、市町村が、その約75%を負担する。」

「避難所を建設する義務のない市町村において、現存する建物あるいは、新築の建物にでも、基準に合った避難所をつくる場合には、連邦、州、自治体から、さらに多額の補助を受けることができる。」

とあります。

2006年には、スイスにはおよそ30万の核シェルターが個人の家屋、施設、病院といった場所にあり、5100の公共の防衛施設があり、通算すると、860万人もの人々が避難できます。

これは、当時のスイスの人口比で考えると、114%もカバーできる計算になるようです。

◆事実を直視せよ

昼間人口13万人の都市の上空600メートルにおいて、20キロトンの爆弾が爆発した場合、準備の程度によって大体、次のような損害がでるでしょう。
・急襲されたとき(死亡者35%、負傷者30%、助かる人35% 45,500人)
・警報があったとき(死亡者23%、負傷者17%、助かる人60% 78,000人)
・全員が避難所にいるとき(死亡者8%、負傷者2%、助かる人90% 117,000人)

日本を取り巻く諸国は、核保有国であり、大砲、ミサイルなどその他の誘導兵器は、原爆や水爆など、これらの爆弾や弾頭を自由に目的地まで運ぶことができます。

誘導兵器を意のままに使える国は、あらゆる地点からそれを発射させることができ、ですから、われわれが生き延びられるかどうか、被害を小さくできるかどうかは、事前の準備が充分にできているかどうかによるのです。

原爆に対する防禦の用意を完全に行っている民族だけが、核兵器による脅し、圧力に抵抗することができ、最悪、原爆が使用されてもあわてないように、平素からその準備をととのえておくことによって、初めて自分の国を守ることができるのです。

スイスは平時から、戦時に備えて2年間分位の食料、燃料等必要物資を貯え、24時間以内に最新鋭の武器を具えた約50万の兵力の動員が可能という体制で、平和と民主主義を守っています。

戦争に備えず、ひたすら平和だけを唱える我が国、日本もスイス政府に習い、政治、経済、心理面での防衛に、民間防衛および軍事防衛を加えた全面防衛に早急に取り組むべきです。

※補足
スイスでは徴兵制度が採用されており、男子には兵役の義務があります。また、現役軍人以外は予備役軍人となり30年間務める必要もあります。

これらを全て合わせるとスイス国民の約10%が軍人であることとなるのでスイスの人口は世界銀行のデータによると、2013年の段階で約809万人。つまり、80万人以上が軍人ということになります。

なお、日本の2013年の人口約1億2837万人に日本の自衛官の数は約22万人。

参考
「民間防衛」スイス政府編:原書房

木下順子

執筆者:木下順子

熊本県本部副代表

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