北朝鮮の核実験、日本の抑止力
文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治
◆北朝鮮が核実験
北朝鮮が6日、水爆実験に成功したと発表しました。
規模的に水爆かどうかは疑わしいのですが、地震計による測定は核実験の特徴を示しています。
北朝鮮は、核弾頭の小型化を狙って核実験を繰り返し、命中精度の向上を狙ってミサイル実験を繰り返しています。
ミサイルに搭載できるまで核弾頭の小型化に成功していれば、とりもなおさず日本への大きな脅威です。
北朝鮮の核兵器に対する抑止力が求められます。
◆抑止について考える
抑止とは、攻撃のメリットよりもデメリットの方が大きい、と相手に判断させることです。
基本的には、「やっても無駄」と思わせるか、「やったらひどい目に合う」と思わせることです。
核抑止においては、「やられたらやり返す」が基本です。
相手に「やったらひどい目に合う」と思わせて、核攻撃を踏みとどまらせるわけです。
これが核兵器を持つ理由です。
◆核兵器の現実的な使い方、「脅迫」
もう一つ、有効な使い方があります。それは、核兵器を持たない国への「脅迫」です。
一つ例を挙げてご説明します。沖縄県の尖閣諸島に、中国が攻めてきたと仮定します。
これに対して、自衛隊が防衛に成功しかけたとしましょう。この時に、何が起こるでしょうか。
中国が「尖閣諸島をあきらめなかったら、日本の大都市に核ミサイルを打ってやる!」と脅迫してきたら、日本に何ができるでしょうか。
多数の人が住んでいる大都市と、無人島の尖閣諸島を比べるわけです。
日本に核抑止力がなかったら、尖閣諸島を取られて泣き寝入りになるのではないでしょうか。
◆アメリカの「核の傘」が役に立つのか
しかし日本にはアメリカの「核の傘」 があります。日本は核兵器を持っていませんが、日本に核攻撃があったらアメリカがやり返してくれるはずです。
ところで、本当にアメリカはやり返してくれるのでしょうか。尖閣諸島のために、アメリカは「核の傘」で日本を守ってくれるでしょうか。
中国から日本へ核攻撃があった場合に、アメリカが核で中国に報復すると、今度は中国からの再報復がアメリカに向かうことになります。
アメリカ政府は、アメリカ国民を核攻撃の危険にさらしてまで、本当に日本のために報復してくれるのでしょうか。
この点に関しては、日米ともに多くの専門家が「報復する訳ないでしょ!」と言っています。
アメリカの「核の傘」とは、日本の核武装を阻止するためのアメリカの言い分に過ぎないとみるべきでしょう。
◆ソ連の「脅迫」に対して
ここで、実際に起こった核の「脅迫」の歴史を紐解いてみましょう。
1970年代末、西欧諸国は短射程の核ミサイルしか配備していませんでした。
その西欧諸国に対して、ソ連が長射程の核ミサイル「SS-20」をもって「脅迫」しました。
西欧諸国がアメリカの長射程の核ミサイル「パーシングII」の導入を試みるなら、ソ連の「SS-20」で焼け野原にしてやる、と。
同時にソ連は、大量の資金と工作員を送り込んで反戦平和運動を盛り上げ、数十万規模のデモも起こりました。
ところがこの時の西欧諸国も、アメリカの「核の傘」に疑念を持ちました。
そして西ドイツとイギリスの総選挙では、「パーシングII」の配備を求める保守政党が勝利したのです。
この時イギリスのサッチャー首相は、「広島・長崎の悲劇は日本が核を持っていなかったからであり、だから我々はパーシングIIを受け入れる決断をした」と演説しています。
ちなみに、実際にトルーマン大統領との原爆投下の会議に参加していたジョン・マッケロイ元陸軍長官の下記の発言を、加瀬英明氏が紹介されています。
「もし日本が仮に一発でも持っていたら、我々が広島・長崎に原爆を落とすことはあり得なかった。」
◆核兵器から国民を守る具体策を
世界中から一切の核兵器が無くなればよいのに、と思います。
しかしその目途が立たない間は、まずは国民の安全を考えるべきでしょう。
核兵器とは、こちらが持っていなければ、あちらから使われる可能性がある兵器なのです。こちらが持っているからこそ、間違いなく相手もその使用をためらうのです。
そろそろ日本も、核武装の議論をしても良いのではないでしょうか。
まず、議論することです。どうするかは、議論を通じて決めればよいことです。
◆北朝鮮に妥協するな
北朝鮮に対しては、資産凍結、送金禁止、入港禁止などの厳しい経済制裁を加えるべきです。
北朝鮮の一時的な低姿勢には、今後一切だまされることがあってはなりません。