これで良いのか、日本のエネルギー政策
文/幸福実現党・福井県本部副代表 白川 康之
◆未来塾フォーラム
11月29日(日)福井県敦賀市にて「未来塾フォーラム」が開催されました。
会場は「福井県若狭湾エネルギー研究センター」で、この施設では原子力発電だけでなく、陽子線治療や、放射線による植物の品種改良、その他の工業分野への活用などを研究しています。
「未来塾」とは、「福井県と日本の未来の繁栄を考える人々の会」であり、月に一度会合を開いており、テーマは、政治、経済、宗教、科学、歴史、文化など様々です。
今回のテーマは、日本の繁栄にとって極めて重要なエネルギー問題でした。
原発の再稼働の遅れが日本の繁栄にとって深刻な影響を及ぼしているということから、なかでも日本最大の原発の集積地域である福井県の住民として、「何故原発が必要なのか」という勉強会でした。
◆驚くべき電気料金の推移
この「未来塾フォーラム」で、山野直樹教授(福井大学附属国際原子力工学研究所・特命教授)をお招きし、「日本のエネルギー安全保障の行方」と題して講演がありました。
中でも驚くべきことは、「日本の電気料金の推移」(「エネルギー白書2015」)です。2010年度と2014年度を比較すると、電気料金は、家庭用で25.2%、産業用で38.2%も増えているのです。
これでは家庭はもちろんの事、産業界も製造コストが高騰し悲鳴を上げるのは当然です。
電気代高騰の理由は、原発を止めたことで石油などの化石燃料で火力発電を動かしているからです。2010年と2014年を比べると、3.4兆円の燃料費が増加しています。
これは国民一人あたりにすると、年間3万円を負担していることになります。(「エネルギー白書2015」)
そうした現状をみると原発によるエネルギー供給がどれだけ重要かがわかります。原発を稼働させれば、当然、火力発電の稼働が抑えられ、電気代は下がります。
◆原発におけるリスクの受容をどう考えるか
ここで重要なことは、原発のリスクも含めて、それでも原発を選択する理由です。山野教授は、講演の中で原発の「リスク」についても解説されました。
人類が生み出した「人工物」には、当然「便益」と「危害」の両方が存在します。この両方を考えた上でリスクを受容するのか、拒否するのか、つまりリスクのトレード・オフ(相関)関係を考慮しなければなりません。
例えば「放射線」には「便益」として高機能材料、病気の早期発見、エネルギー保障、豊かな生活などがあり、「危害」としては、発癌などの健康に対する影響があります。
その上で、原発を選択するのは、原発技術に対する価値観の違いによるものでもあります。
◆世界人口100億に向けたエネルギー対策
原発技術に対する価値観には、様々あるとは思いますが、世界の人口問題から考えてみましょう。
「世界のエネルギー消費量と人口の推移」(「エネルギー白書2015」)を見ると、エネルギー消費と人口は正の相関関係にあることが明確に分かります。
1950年から2000年の間に、人口は2.4倍、電気の発電容量は21倍になっています。これから世界人口は100億に向かいます。日本は国内のエネルギーだけのことだけ考えていればよい状況ではありません。
日本は世界のリーダーとしての世界のエネルギー政策を支える行動が求められるのは明らかです。
◆科学技術に退歩はない
動物にない人間の特性は進歩、発展することです。技術というものは開発を続ける限り、進歩することはあっても退歩することはあり得ません。
原発を止めることは簡単ですが、一度止めてしまえば、その技術もなくなってしまいます。
「原発は危ないから停止」ではなく、新たな「科学技術の挑戦」によって問題を解決することもできます。
科学技術の発展によって問題を乗り越え、人類の幸福に貢献することが真の選ぶべき道ではないかでしょうか。
幸福実現党は、エネルギー問題について、原発の稼働を推進し、「科学技術の挑戦」によって解決していくことを訴えて参ります。