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ネット空間が戦場?―サイバーセキュリティを強化せよ!

文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし)

日本年金機構に続き、東京商工会議所がサイバー攻撃を受け、個人情報が流出する事件が発生しました。

サイバー攻撃は、「サイバー犯罪」「サイバーテロ」「サイバー戦争」に分類されますが、それぞれ重なり合っており、境界が非常に曖昧です。

サイバー戦争となると、水道・ガス・電力などのライフライン、防衛システム、金融システム、通信システムなどを麻痺・停止させ、国家を窮地に陥れるほどの威力を持ちます。

IT化された社会は、サイバー攻撃によって崩壊する危険性があるのです。

サイバー空間における脅威の深刻化、拡散、グローバル化が急速に進展している中、サイバーセキュリティの確保は、社会経済システムを健全に機能させ、国家に安全且つ豊かな日常生活をもたらすだけでなく、経済の好循環を支え、持続的な経済成長を実現させるのに不可欠です。

◆私たちはサイバー空間という戦場の中で生活をしている

ブルース・ウィルス主演の「ダイハード4.0」ではサイバーテロの恐ろしさを見事に表現しておりますが、これはフィクションではなく、現実の世界です。

米国を例に挙げれば、1998年に米国軍部のコンピューターが攻撃され、軍事や原子力に関するデータ盗難の被害にあいました。

さらに2003年、NASAや国立研究所など多くの機関がサイバー攻撃を受け、コンピューター・ネットワークへアクセス侵入されています。

サイバーセキュリティは2011年7月14日、時代の転換点が訪れます。

米国防総省が今後のサイバー攻撃に対する基本姿勢となる「サイバー空間作戦戦略」を公表しました。

その戦略の中で、サイバー空間を陸、海、空、宇宙に次ぐ「第五の作戦領域」として定義し、サイバー攻撃にもミサイルなどの通常兵器による報復攻撃を辞さないと明言したのです。

つまり、コンピューターやスマートフォンなどネット空間・サイバー空間は私たちの生活の場として定着していますが、そこは戦場にもなっているということです。

◆日本を取り巻くサイバー事件

実際に日本も狙われています。

2011年、三菱重工の防衛・原発関連の拠点にて他国からサイバー攻撃を受け、国家の安全保障の根幹にかかわる事件と報道されました。同年、衆議院および参議院の公務用PCやサーバーがサイバー攻撃を受けました。

また、2012年には尖閣諸島情勢と関連したとみられるサイバー攻撃を受け、裁判所や重要インフラ事業者などのウェブサイトが改ざんされる被害を受けました。

国家は社会経済システムを安定的に機能させ、国民の安心・安全を守り、経済の更なる発展、文化の繁栄に寄与しなければなりません。

そして、人々を真なる幸福の実現へと導き、この国に生まれ、この時代に生まれてよかったと、人々が心の底から喜べるような国造りをすべきです。

◆サイバーセキュリティで遅れをとっている日本と今後の対策

日本はサイバーセキュリティに遅れを取っていると言わざるを得ません。人材と予算において米国と比較をしてみたいと思います。

米国はシリコンバレーを拠点に民間企業の協力を得てサイバー攻撃を防ぎ、軍のサイバー軍を2016年までに6,200名へ増強する計画を立てています。官民の専門化が常駐し、協力してサイバー対策技術の開発や人材確保など手がけています。

これに対し、日本は今年1月に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を立ち上げましたが、人員は約80名。増員する方針ですが「100名以上」にとどまっています。

昨年3月に発足した自衛隊のサイバー防衛隊も約90名。原発など重要インフラの対策はNICSや所管省庁が担い、サイバー防衛隊は防衛省・自衛隊を対象にしたサイバー対処が主任務となります。

双方を合わせても200名に届かず、人材不足が課題です。

さらに、予算規模も開きがあり、米国はサイバーセキュリティ強化に向けて2016年度予算案に140億ドル(約1兆7,276億円)を割り当てています。

それに対し、日本では2015年度の情報セキュリティ関連の予算概算要求額は367億円。国家規模の違いを考慮に入れたとしても、遅れをとっている状況を鑑みて、もう少し力を入れても良いと考えます。

今後の対策としては、サイバーセキュリティを確保するための人材確保と育成強化。産学官民が一体となりサイバー脅威への対処能力を培うための啓発活動の促進。

サイバーセキュリティにおける国際パートナーシップの強化。サイバー攻撃があった際に反撃を可能とするなど毅然とした対応が出来るよう法的整備を促進することが考えられます。サイバーセキュリティの面においても、国防意識の強化を促していかねばなりません。

油井哲史

執筆者:油井哲史

幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生

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