LCCの参入促進で、観光立国日本を目指せ!
文/HS政経塾4期生 窪田 真人
◆圧倒的な伸びを見せる訪日外国人旅行者数と旅行収支の黒字化
2003年度から精力的に行われてきた「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の効果もあり、2014年、訪日外国人数は過去最高の1341万4千人を記録しました。
また海外からの旅行者が日本で使った金額が日本からの旅行者が海外で使った金額を超え、旅行収支が黒字化しました(外国人:2兆2344億円>日本人:2兆245億円)。
これは海外旅行自由化前の1959年以来、55年ぶりの快挙です。
さらに2014年10月には、化粧品、食品など免税対象品の幅も広がったこともあり、訪日外国人一人当たりの旅行消費額は、前年比約6%増となりました。
まさに日本は観光立国への道を一歩ずつ歩んでいます!
◆日本へのアクセスコストを下げよ!
こうした観光立国への実現を妨げている要因として度々挙げられるのが、航空券の高さです。
ではなぜ日本の航空券は高いのでしょうか?
その理由の1つが公租公課の高さです。
公租公課とは、国または地方公共団体から航空会社に、国内の空港や航空管制を整備、維持するために課される金銭負担です。
その公租公課が航空券代に含まれ、旅行者に課せられている現状が挙げられます。
これまでにも公租公課の見直しは行われてきました。
特に2014年公租公課の引き下げを目的に、国内線、国際線ともに航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度が導入されたことは記憶に新しいところです。
しかし残念ながらこうした政策の効果はあまり出ていません。
2014年1月より国が管理する28の空港のうち、地方都市に存在する各地方空港の着陸料を新規就航や増便に限って、3年間30~80%割引く政策も昨年よりはじまりましたが、これまでに制度適用が認められた案件はありません。
また2014年11月からは羽田空港の深夜早朝における国際線旅客便の着陸料を3年間20~50%割引く軽減措置を実施しましたが、航空券料金の低下は大きく見られず、こちらに関しても課題が残ります。
このような現状を踏まえ、航空券料金を下げるべく、新たな政策が求められています。
◆LCCの参入を促し、観光立国日本の実現へ!!
その解として、国をあげてLCCの参入を促すことが挙げられるでしょう。
具体的には大きく2つの政策が挙げられます。
1つ目に、補助金を通しLCC専用のターミナルを建設、開業を促すことが挙げられます。
実際に2015年4月に、成田空港にてLCC専用の新たなターミナル(第3ターミナル)が開業しましたが、建設コストを削減することで、従来の半額程度に航空各社が負担する施設の使用料を抑え、LCCの新規参入や増便を促すことに成功しています。
また2つ目に、空港発着枠について国土交通省が有している決定権を見直すことが挙げられます。
国土交通省は航空会社の過去のデータより「運賃水準の廉化の努力」、「安全性の確保(過去5年間の事故率)」などを元に評価を行い、発着枠の配分を決定しています。
なぜその評価を行うのが国土交通省である必要があるのか、また客観的に見て納得できる評価であるのか、再考の余地は十分にあります。
さらに既存の利用枠についても再度検討を行うべきです。既存枠は、JAL、ANA等のネットワークキャリアの既得権益となっており、LCCなど新規参入企業は参入の機会すらないのが現状です。
この点については既得権益を保護する仕組みが成立していると言え、航空会社間の競争が発生しにくい状況が存在し、航空運賃が下がらない理由の1つになっています。
LCCの参入を促すことで、訪日外国人数をもっと伸ばせるはずです。
航空業界に変革を起こすことで、観光立国日本を実現して参りましょう!!
執筆者:窪田真人