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「イスラム国」の問題を通じて中東に、世界に、そして宗教に目を向けよう

文/幸福実現党世田谷区代表・HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作

◆複雑な中東の歴史

先日のISIS(通称「イスラム国」)によって日本人人質が殺害されたとみられる事件について日本中に衝撃が走りましたが、私たち日本人にとっては中東問題の本質についてはなかなか理解が難しいのが現実ではないでしょうか。

2月3日付の当ニュースファイルでは、幸福実現党山形県本部副代表の城取氏が「今まで大半の日本人からすると、中東は『遠くて縁の薄い地域』」だと指摘しいています。また外交評論家の加瀬英明氏も指摘するように、中東の歴史は複雑を極めるといわれます。

私たち日本人は永く単一民族で海に囲まれた国家として和を尊び生きてきたため理解が難しいものの、まずその多民族と宗教の入り乱れる中東の歴史を学ばなければ、現在起きている中東での問題も結局のところ本質が見えず、理解ができないまま翻弄されることになるのではないでしょうか。

◆キリスト教国によって引かれた中東の国境線

それ以前、オスマン・トルコ帝国が支配していた広大な地域に対して、サイクス・ピコ協定といわれるものをもとにして引かれた、定規で引いたような不自然で直線的な国境線は、そこで暮らしている住民の宗教や民族の実態を無視しています。

それを進めたのはキリスト教国であるのイギリスとフランスというヨーロッパの強国であり、植民地支配を進めていた第一次世界大戦後に行なったものです。

自分たちの住む場所に、実態を無視した国境線を引かれたらどう思うでしょうか。

それも、他の国の植民地支配を受け、植民地支配をする国同士で勝手に決めて押し付けられた国境線です。不満が募るのは当然の結果だと言えます。

この国境線の存在と、そこでの分断された民族の問題という一つをとっても、私たち日本人にとってはなかなか理解するに難しい問題です。

◆宗教を教えない戦後教育

イスラム教という宗教についても日本では十分な宗教教育が行われていないため、いったいどのような宗教であるのかについて、それぞれの個々人が自発的に学ぼうとしない限り、ほとんど理解も進まないのが現実です。

そしてそれはキリスト教やユダヤ教についても同様です。敗戦後「宗教」そのものをタブーにして教育の場から追放してしまった結果、日本人は宗教の問題についてとても疎くなっているのではないでしょうか。

宗教を信じない人が戦後増加し、宗教について学ばないゆえに、世界での宗教対立の歴史や現在ただいまの問題についても適切な理解が進まないのではないでしょうか。

◆宗教教育の大切さ

私も知人と話す中で「宗教というものがあるから対立が起こる。宗教がなければいいのだ」というようなことを言われたこともあります。

しかし、それは人間の内心の自由を侵すものであり、単なる「無神論のススメ」であり、何の解決をもたらすものではありません。内心の自由を否定されたならば人間はその自由と尊厳を完全に失うことになります。

また、神や仏の存在を否定した無神論国家の中国や北朝鮮の行っている激しい人権弾圧やその蛮行をみても、神や仏や信仰を否定するとことが人間の目指すべき道ではないと思います。

今私たち日本人は、なぜキリスト教・ユダヤ教文明国とイスラム教文明国との間で対立が起こるのか、戦争はなぜ起きているのか、テロはなぜ起きているのか、イスラム教国内でも内戦が起きているのはなぜなのかについてもっと関心を持たなければなりません。

そして、「イスラム国」などと名乗る過激な集団はなぜ生まれたのか、彼らの掲げる大義は何なのか、ということについて考える中で、中東の問題、宗教に対して理解を深めるべき時が来たのかもしれません。それは必ず世界への理解を深めるものにもつながるはずです。

◆「和をもって尊し」としてきた日本の使命

今回、ISISによる痛ましい人質殺害によって失われたお二人の尊い命の犠牲を無駄にしないためにも、国民の安全を守るための法整備を進めることは当然です。

さらに日本が世界の中で国や宗教や文明間の紛争や対立の調停役を果たせるような国家へと一歩でも歩みを進めるべきです。

平和を愛する国家として、「和をもって尊し」としてきた国家として、その使命を果たすためにも、私たち日本人は今回の事件を契機とし、中東から世界に目を向け、そして宗教というものに目を向ける必要があるのではないでしょうか。

参考:『加瀬英明のイスラム・ノート はじめての中東入門』
『日本は中東から決して退いてはいけない!』HRPニュースファイル2月3日
http://hrp-newsfile.jp/2015/2009/

そが 周作

執筆者:そが 周作

政務調査会 都市計画・インフラ部会長・HS政経塾第2期卒塾生

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