世界に広がる「中国離れ」――平和国家・日本は誇りある外交を!
文/HS政経塾スタッフ:遠藤明成
◆アジアと中米で起きた象徴的な出来事
昨年の終わり頃から本年初めに世界で中国離れの進展を予感させる出来事が起きています。
中国は、スリランカ前大統領の地元であるハンバントタの港湾開発を支援し、インド包囲網を進めてきましたが、1月9日の同国大統領選では親中外交の見直しを訴えたシリセナ氏が当選しました。(スリランカはインド、日本との関係強化を進めるとの憶測が各紙で報道されている)
また、メキシコでは昨年11月に中国から受注した首都と工業都市を結ぶ210キロの高速鉄道プロジェクトを白紙撤回しています。
昨年12月に着工した約5000億円の大きな契約が受注3日後に撤回され、その代替案が日本の新幹線をも含めて再検討されているのです。
◆外務省の調査で判明した、米国世論の「日中逆転」
また、昨年11月、中国でのAPEC開催前に外務省はアメリカで行なった世論調査の結果を発表しました。
この調査は昨年夏に行なわれましたが、アメリカの有識者と国民に「アジアで最も重要なパートナーはどこか」と問いかけたところ、有識者と国民の双方で、中国よりも日本を挙げる人が上回ったのです。(外務省HP「米国における対日世論調査」2014/11/7)
≪一般国民の部≫(約1000人)
「日本」と答えた割合は46% (前年35%)。
「中国」と答えた割合は26% (前年39%)。
≪有識者の部≫(約200人)
「日本」と答えた割合は58% (前年39%)。
「中国」と答えた割合は24% (前年43%)。
昨年と比べると「日中逆転」し、09年以来、はじめて「日本」が一般と有識者の双方で1位となりました。4年連続で米国の「有識者」が日本よりも中国を「重要なパートナー」と見なしてきた趨勢が変わったのです。
そして、日米安全保障条約は「維持すべき」との回答が、一般の部で81%(前年67%)、有識者の部で85%(前年77%)へと増えています。
結局、中国の反日外交は、米国世論の「親日度向上」という予期せぬ”成果”を生みました。
◆歴史観においても日本は正論を貫くべき
良識あるアメリカ人は過去だけを見ているわけではありません。中国が東シナ海や南シナ海で繰り返した「現在の蛮行」に厳しい判定を下しています。
また、歴史観についても米記者のマイケル・ヨン氏と産経記者らが「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告」を調査し、日本関連の約14万2千ページの文献の中に軍が慰安婦を強制連行した証拠がないことを明らかにしました。
ようやくこの分野でも米国世論が変わる兆候が出てきたのです。
しかし、安倍政権は年頭記者会見で「村山談話を含めた、歴史認識に関しての歴代内閣の立場を継承する」と明言しています。これでは日本は自虐史観の見直しを海外に発信できません。
産経新聞のインタビュー記事(12/31)では、米グレンデール市の慰安婦像撤去訴訟の原告となった目良浩一氏が「朝日新聞が誤報を認めたと記事にしても米国人で朝日を読んでいる人が果たして何人いるか。いないに等しい」と述べていました。
やはり、こうした海外の日本人の努力と期待に応えるためにも、安倍政権は河野談話、村山談話を破棄すべきです。
◆平和国家として正論を貫き、仲間となる国を増やすべき
日本は、平和国家としての「現在の行動」に誇りを持ち、「敵を減らし、味方を増やす外交」を進めなければなりません。
朝日新聞や毎日新聞、東京新聞などの報道を見ると、まるで中国と韓国だけが世界の世論であるかのような書きぶりですが、台湾やインド、バングラデシュ、トルコ、ブラジルなど、世界各地に多くの親日国があります。
日本は昨年にフィリピンへ巡視艇を10隻(ODAの円借款を活用)、ベトナムへ巡視船に転用可能な中古船6隻(ODAとして無償供与)の供与を決めました。
現在、ODAの範囲拡大に向けて議論が進められていますが、日本は、欧米諸国が行っている「対外援助協力」(Foreign Aid)を参考とし、人道支援、経済援助、軍事援助などを多角的に構成し、親日国を支援すべきです。
(※「対外援助協力」は民生分野が中心のODAとは異なり、安全保障分野にまで踏み込んだ援助を行なうことに適している)