「子ども・子育て支援新制度」のゆくえ
文/愛知県本部副代表(兼)青年局長 中根 ひろみ
◆子ども・子育て支援新制度
平成24年8月、自公民3党合意を踏まえ、子ども・子育て関連3法(【1】子ども・子育て支援法 【2】認定子ども園法の一部改正法 【3】児童福祉法の一部改正等関係法律の整備法)が成立しました。
そして、いよいよ来年4月から、「子ども・子育て支援新制度」が本格的にスタートするということで、今年は全国各地で説明会が行なわれ、私も参加しました。
説明会に参加している理事長や園長は、まず何が変わるのかを理解することから始まりますが、正直なところ最たる関心事項は「公定価格はどうなるのか」ということです。
保育業界は、国からの予算なしには成り立たない業界になっていると、私自身、認可外保育施設の立ち上げに携わった後に、社会福祉法人の保育園園長を務める中で実感しているところです。
◆公定価格と保育業界
「公定価格」とは、政府が経済統制を目的として決定する価格です。自園もこれにより決まった予算をもとに保育運営を行っています。
保育業界における公定価格の骨格に関しては、内容が複雑なためここでは触れませんが、公定価格は、社会主義国家の計画経済の下で行われるものが代表的です。
今の保育業界は、規制緩和により株式の参入が行われるなど「自由経済」の兆しが見えつつありますが、根本的には経済統制のもとに存在し、民間の自由な経済活動が制限されています。
◆保育所の成り立ち
初めて児童福祉法が制定されたのは、戦後、昭和22年で、保育に欠ける児童を保育することを目的とした児童福祉施設である「保育所」が国の制度として誕生しました。
その後、ベビーブームによる出生数の増加に対応し、保育所の量的拡充が課題となったことに加え、高度経済成長の時代には、既婚女性の就業者数が増加したことから、保育所の整備促進が必要とされました。
しかし、現在はその逆で、不景気の影響で、子育てに専念したくても働かざるをえない既婚女性が増加したことから、保育にかける児童が増えている状況です。
待機児童の問題は、園を増やしたり、認定こども園など制度を複雑にしなくても、景気を悪化させる「消費税の増税」をやめ、経済を成長させることで、多くの保護者の悩みが解決します。
◆新制度のための予算
ところで、「子ども・子育て支援制度」は、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援の「質の向上」と「量の拡充」を図ることが目的ではありますが、この新制度を実施するための予算がどこからくるのか、ご存知でしょうか。
「社会全体による費用負担」つまり「消費税引き上げによる増収分から、毎年7,000億円程度が充てられる」ということになっています(実際には、0.7兆円程度を含めて、1兆円超程度の追加財源が必要)。
しかし、消費税率8%への引き上げの影響を受けた4~6月期の実質GDP(国内総生産)は、年率換算で6.8%のマイナスとなりました。
◆子どもたちの未来のために
幸福実現党は、「社会保障と税の一体改革」の先にあるのは、国民の富を「税金」として大量に吸い上げ、「富の再配分」を行う「社会主義国家」であると、警鐘を鳴らし続けてきました。
「社会保障と税の一体改革」と称し、それが財政を圧迫し、更なる増税が要求され、経済が徐々に疲弊し、働かざるを得ない保護者で溢れ、家計も心もゆとりがなく、虐待にも繋がりかねません・・・これは国民にとっても、子ども達の未来にとっても幸福なこととはいえません。
「量の拡充」のためにできることは、前述の通り「消費税の増税」をやめ、待機児童を減らすことです。「質の向上」に関しては、規制を緩和し民間に委ねてゆけば、競争原理の中でより質の高い保育サービスを受けることができます。
「子ども・子育て支援新制度」は、「消費税の10%への増税」と共に、今後、見直しが必要であると考えます。