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里山資本主義から日本の使命を考える

文/幸福実現党岐阜県本部 政調会長 加納有輝彦

◆待ったなしの人口問題

先月8日、民間研究機関が2040年までに全国の1742の市町村のうち約半数にあたる896の自治体で、20~39歳の女性が半減し、このままでは人口減少が止まらず行政機能の維持が困難になると発表しました。

若年女性が半減した自治体は、介護保険や医療保険などの社会保障の維持が困難で、雇用も確保しづらい「消滅可能性都市」になると指摘。896のうち人口が1万人を切る523は消滅の可能性が高いとセンセーショナルな報道がなされました。(朝日5/8)

幸福実現党釈量子党首も月刊ザ・リバティー7月号誌上にて「新しい『日本人創り』で『自由の大国』を目指せ」と、人口問題を取り上げました。(「釈量子の獅子奮迅(p94~95)」現在全国書店にて発売中)

またブログでも釈党首は、真正面から人口問題に取り組む決意を自ら吐露しています。

「人口問題に踏み込まない政治は、無責任の誹りをまぬがれません。しかし、この日本の危機は、生みの苦しみであり、日本に新しい出発を促していると思えてなりません。」
(釈量子オフィシャルウェブサイトhttp://shaku-ryoko.net/youth/3667/

今回は、地方の「限界集落」等の問題に関して、現在注目されている考え方「里山資本主義」を考察し、幸福実現党の「政治思想」との接点、あるいは相違点等を踏まえながら問題解決の道筋を探りたいと思います。

◆里山資本主義とは

「里山資本主義」は、NHKドキュメンタリーシリーズとして2012年から2013年にかけて中国地方5県限定で放映され、2013年には同名で書籍化された新書が、新書大賞2014第一位を獲得するなど世間の耳目を集めています
(里山の力http://www.nhk.or.jp/eco-channel/jp/satoyama/interview/motani01.html)

里山資本主義は、マネー資本主義のアンチテーゼとして生まれた思想です。

マネー資本主義とは、2009年NHKスペシャルで5回シリーズで放映。ウォール街で金融工学を駆使してモンスターの如く暴走しバブルとバブル崩壊を引き起こした一連の経済活動原理を指します。

里山資本主義の実例として、岡山県真庭市のある製材所が番組で紹介されました。製材の過程で発生する木くずを利用して「バイオマス発電」を行い、工場で利用する電気のほぼ100%を賄い、電力会社からは一切電力を買わず、年間一億円の電気代を浮かせているといいます。

瀕死にまでおいこまれていた真庭市が、バイオマスの町として生まれ変わったといいます。真庭で広がった木のエネルギーの活用は、いま各地に広がりつつあります。

高知県は知事自ら積極的に動き、不振にあえぐ林業の立て直しのため、真庭モデルの導入を決めました。

このように里山では、水も燃料も食糧も必ずしもお金を必要としない。マネーに依存しないサブシステム、これが里山資本主義の極意であるといいます。

これらの自立したサブシステムは雇用も生んでいます。里山の新しいライフスタイルに魅力を感じ、リタイアした年金生活者、そして若者のIターン、Uターンが増えている事例もあるといいます。

地元に存在する資源を活用し限界集落を再生するという里山資本主義の考え方を紹介いたしました。

◆里山資本主義の注意点

この考えを主導する藻谷浩介氏(日本総研調査部主任研究員)は、人口減少問題、エネルギー、食糧が自給できない等の問題も、スマートシティーのような最先端技術と里山資本主義の両輪が解決していくのではないかと語ります。

世界と戦う戦士、日本を背負う精鋭は「優秀な勇者」でなければならないが、その一方で地域のつながりに汗を流す人、山を守る人もいなければならない、多様であることこそ豊かさなのだと非常にバランスのとれた考えを述べておられます。

往々にしてバイオマス発電等の限定的な成功事例を取り上げ、だから原発は必要ない(脱原発)というような小さい事例で、大きなシステムそのものを否定してしまうという荒っぽい論理が見られがちですが、藻谷氏の言説には、バランス感覚を感じます。

ただ、里山資本主義を実践して成功している小国オーストリアが、憲法に「脱原発」を明記しているように、この思想の性質上、成長の否定、原発の否定へ流れる可能性は高いと感じます。これは注意しておく必要があると感じます。

◆人口問題へ新たな光を

幸福実現党は、日本人一人一人の個性、多様性、自由を最大限保障する自由の大国の建設を目指しています。そして一人一人がその人固有の社会的使命を持って生まれてきている事を信じます。

ゆえに、人間存在を単に生活者とだけは見ておりません。日本国を単に生活者の集合体とだけは見ておりません。

幸福実現党大川隆法総裁は、日本をこう定義付けておられます。

「日本は今後、いかなる国であれ、不当な侵略主義により、他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神となることをここに誓う。」
(「大川談話」http://special.hr-party.jp/policy2013/okawa-danwa/

平和と正義の守護神の一構成員としての日本人の自覚を持つ時、他国の悲劇を見ず、里山で生活をエンジョイすること(これ自体は素晴らしいことです)のみを持って、己の使命が果たせるのか否か、これは各人の良心に照らすべきことでありますが、もっと大きな使命を我々日本人は持っていると信じます。

その観点から、人口問題に新しい光をあてようとする釈量子党首の月刊ザ・リバティー7月号「新しい『日本人創り』で『自由の大国』を目指せ」をご一読頂ければ幸いです。

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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