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集団的自衛権行使の本質を問う

岐阜県本部政調会長 加納有輝彦

◆20年前の警告が今現実に

今を遡ること20年前、朝鮮民主主義人民共和国を建国した金日成の死去(1994.7.8)より4日後の7.12に東京ドームで開催された講演会「異次元旅行~仏法真理のもとに地球を一つに~」にて幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、北朝鮮の核保有疑惑に関し、「これは疑惑ではなく、北朝鮮はすでに核兵器を保有しております。」と警鐘を鳴らされました。

また、中国の軍事的拡張主義、覇権主義の脅威にも言及され「このあとに来る軍事的拡張主義が恐ろしい。」「ベトナム沖の油田、その他、経済的利権になる所に対し、触手をのばすことが危険である。」と同じく警鐘を鳴らされました。

今、その警鐘が現実のものとなりました。

大川総裁より警鐘が鳴らされた20年前より我が国が対北朝鮮、中国の軍事的拡張主義に対し、しっかり対応していれば、「集団的自衛権」に関し議論が紛糾して喧々諤々たる現在の国内状況はなかったのではないかと悔やまれます。

事実は、当時の村山政権から時代が逆回転をし、阪神大震災、オウム事件、民主党政権の迷走、東日本大震災、自虐史観の蔓延等々、20年の停滞を経験し、未だ脱出していない状況が続いています。

◆南シナ海の危機的状況

ここにきて南シナ海における中国とベトナム、フィリピンの衝突がにわかに頻発し、ベトナムでは反中デモが開かれ、中国人の死者が出るなど事態は緊迫しています。

中国のベトナム、フィリピンへの挑発行動は、先月4月のオバマ大統領の日本を含めたアジア4か国訪問の直後に起こっています。

オバマ大統領は、同盟・友好国にアジア重視の政策は不変であり、安心して欲しいと保障するためアジア4か国を訪れました。

しかし、行く先々で「我々の目標は中国に対抗することではない。中国を包囲することでもない。」と中国を気遣う姿は、尋常なものでなかったと田久保忠衛氏(杏林大学名誉教授)が産經新聞の正論(5/16)で述べておられます。

大川総裁は5月17日、静岡県浜松市にある中部正心館で行った法話「愛が時代を動かす」の中で、中国はアメリカが何もできないところを世界に見せて、この海域を実効支配できるところをPRしていると分析しました。

月刊ザ・リバティ 大川隆法総裁 法話レポート

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7844

そして中国とベトナム、中国とフィリピンの戦争が差し迫っている、いつ戦争が始まっても不思議でないと警告を発されました。

◆戦争勃発の危機

これに関しては、同日夜のTBS「新・情報7daysニュースキャスター」に出演した藤原帰一東大教授も、中国とベトナム、フィリピンの間に戦争の危険が高まっているとコメントしていました。現役東大教授のコメントとしては踏み込んだもので、それだけ危機的状況にあることが分かります。

また、15日に官邸で行われた安倍首相の集団的自衛権行使に関する記者会見を受け、翌日の東京新聞が朝刊で『「戦地に国民」へ道 』と赤旗新聞顔負けの大見出しを一面に打ちました。

しかし行使反対を鮮明にした東京新聞の長谷川幸洋論説副主幹も、18日に関西の人気民放番組に出演し、集団的自衛権に関して、日米同盟それ自体が集団的自衛権の発動であると、その必要性を認識していると発言し、東京新聞の論説と一定の距離を示していました。

このように中国とベトナム、中国とフィリピンの戦争の危機が現実となった今、個別的自衛権では対処できない集団的自衛権の必要性が認識されてきます。15日の安倍首相の記者会見の説明は、邦人保護の説明が中心であり、必ずしも集団的自衛権の必要性を説明できていないと容認派、反対派双方から批判が出ています。

◆集団的自衛権問題の本質

問題の本質は、例えば、中国とベトナムが戦争状態になった時、日系企業も多いベトナムの「助けて下さい」という要請を全く無視し、アメリカまかせで済むかという事です。

植民地を解放してくれたと未だにアジアの人々から尊敬されている日本が、果たして「無視」「見殺し」にできるのか。私たちの先輩が命をかけて勝ち得た「尊敬」を、私たち子孫が反故にしてしまってもよいのでしょうか。

17日の講演で大川総裁は「全体主義とは、人々を愛する神仏の心を無視した国家の暴走」と定義付けられました。

さすれば、集団的自衛権を戦争に巻き込まれると忌避し、己の安全のみを考え、第三国の紛争に知らぬ存ぜぬを貫くことは、これまた人々を愛する神仏の心を無視した利己主義という横暴に他ならないのではないでしょうか。

時の政権の解釈で憲法が変わってしまうとすれば、「立憲主義」を破壊するものであると手続き論でいろいろ批判されていますが、こうした批判について、大川総裁は「法律のために人間があるのではなく、人間のために法律がある」と指摘されました。

憲法の遵守や、その改正手続きにこだわって、日本人の生命、安全やアジアの平和を危機に陥れてしまえば、元も子もありません。現状は、憲法改正の手続きを踏んでいては間に合わないほど緊迫した状況にあります。

大川総裁は、結語として「『国民を護り、世界の平和に寄与する』という一点を貫くべき」であり、「愛の行為が、同時に神仏の願う正義とも一致していくよう、努力すべき」と主張しました。

厳格な法律論・手続き論に拘泥し、国民の生命を危機に陥れることのないよう幸福実現党は、引続き、安倍首相が公明党に遠慮して言えない正論を訴え続けてまいります。

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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