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中国の国防費は日本の五倍以上――今こそ防衛予算を倍増せよ!

文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆安倍NATO演説とその後の中国

安倍首相は5月6日に、ベルギーのブリュッセルにて、中国が不透明な軍事費を26年間で40倍に拡大させ、近隣の国々を脅かしていることを批判しました。(NATO〔北大西洋条約機構〕本部での演説)

この数字は、防衛省が本年に初めて一般公開した資料と一致しますが、その資料では14年度の中国の公表国防費を約12.9兆円(日本の約2.7倍)と見積もり、「中国の公表する国防費には、外国からの兵器調達等の費用が含まれておらず、実際の国防費は公表額の約1.3~2倍との指摘(米国国防省報告書)がある」と述べられています。(「中国の2014年度国防予算について」)

中国側は、「日本の指導者は、外部の脅威を宣伝することで、日本を軍事大国にしようとしている」(産経ネット版5/7)と安倍首相に反論しましたが、その当日(7日)に、80隻以上の中国艦船を油田掘削のためにベトナムのEEZ(排他的経済水域)内に送り込み、ベトナム艦船との衝突事件を起こしました。

中国側の主張は、自国の蛮行を棚に上げた言いがかりだと言わざるをえません。

◆不透明な中国軍事費の実態とは?

共同通信社は2010年に「中国軍事費は公表の1・5倍 軍幹部、初めて認める」と題した記事を配信しています。(7月8日付。以下、要約)

・中国軍幹部が09年秋にまとめた内部報告書の数字では、本当の「軍事費」は公表の「国防費」の約1.5倍

・その報告書は「軍事費」が「10年後にほぼ倍増し、20年後には3倍増となる」と予測している

・当時の中国の表向きの「国防費」はGDPの1.4%程度だが、その報告書は、真の「軍事費」をGDPの約2.5%と見積もっていた。

これは「中国筋」の話ですが、国際政治アナリストの伊藤貫氏は、西側の軍事専門家は中国の真の軍事予算は公表値の2.5倍程度で見積もっていると述べています。

伊藤氏は、その中に、「人民解放軍の衣食住コスト」「人民武装警察部隊コスト」「ミサイル戦力コスト」「軍と武装警察の医療費コスト」「輸入兵器の金額」「軍経営の企業予算の軍転用分」「宇宙戦争予算」等が含まれていないことを危険視しているのです。(『中国の核戦力に日本は屈服する』P147~151)

◆今こそ、防衛予算の倍増を

中国の本当の軍事予算が実際の2倍だと仮定すると、本年度に、中国は日本の5.4倍の軍事予算を使えることになります。(公表値が日本の2.7倍のため)

「自衛隊の装備や練度のレベルは中国よりも高い」と言われますが、毎年、中国が5倍以上の軍事予算を使えるならば、戦力比で見た時に、日本が年を追うごとに不利になることは避けられません。

やはり、今こそ、幸福実現党が主張する「防衛予算の倍増」が必要なのです。

日本の防衛予算はGDP比の約1%ですが、アメリカの同盟国や友好国を見ると、2013年のGDP比で見た防衛費は、「イギリス:2.3%、フランス:2.2%、韓国:2.8%、インド:2.5%」となっています。(“SIPRI Fact Sheet April 2014”)

そして、アメリカはウクライナ危機の後、NATO加盟国に国防費増額を要請しました。(読売朝刊5/4)

米国で国防予算の削減が始まった以上、今後は同盟国や友好国が防衛費の負担を増やさざるをえません。日本は、今こそ、財政難のアメリカに替わり、アジアの自由を守る責任を果たすべく、防衛予算倍増に向けて勇気ある決断を下すべきなのです。

※「年間1ミリシーベルト以下」を目指した除染事業など、無駄な事業を廃止し、その予算を国防のために使うべきでしょう。例えば、SAPIO(2014年4月号)記事は、そのための除染予算は2459億円(11年度)→4924億円(14年度)と増加し、「これまでの総額は1兆8899億円」となっており、「専門家の間では1ミリシーベルトにするにはさらなる期限の延長が必要との見方もあり、産業技術総合研究所のグループは除染にかかる総額を5兆円以上と試算した」とその膨張ぶりを批判しています。

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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