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北朝鮮の人権弾圧を終わらせるための覚悟を

文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ

◆日米韓首脳会談が実現

日米韓国首脳会談が25日、オランダのハーグで実現しました。

日本メディアの中には、朴槿恵大統領が安倍首相と目線を合わせず、握手を拒否したことを揶揄するような報道もありましたが、三カ国首脳会談が開かれたことだけでも重要な一歩です。

今回の会談に反発するかのように、北朝鮮は日本海側に向けて中距離弾道ミサイル「ノドン」を発射しており、例え形だけであったとしても、三カ国の首脳会談が北朝鮮への圧力になると証明されました。

日本としては、さらに三カ国の連携を深め、東アジア有事に対応できるよう努力すべきでしょう。

◆韓国では意外と知られていない北朝鮮の人権侵害

北朝鮮については人権状況に関して、先月17日に、国連の人権委員会に報告書が提出されました。

表現・思想の自由がないこと、政治犯収容所行なわれている拷問や公開処刑、さらに外国人に対する拉致などについて人道に対する罪に当たると指摘しています。

強制収容所における労働や拷問などによって、過去50年で数十万人が死亡。
現在も8万人以上が収容されていると報告書は伝えています。

同様に、拉致については子どもを含む外国人20万人以上が犠牲になったとされています。
特に、強制収容所における人権侵害は目を覆うものがあります。

北朝鮮の強制収容所12号を抜け出した女性脱北者は次のように語っています。
「遺体から出てきたうじ虫を、周りの人は捕まえて食べていました。

私は、体に悪いのではないかとも心配しましたが、生き延びるために、私も食べるようになるのではと想像しました。

(収容所では)ねずみを生で食べていました。口が血で真っ赤なのを覚えています。
収容所ではたくさんの人が殺されます。1か月に3人も殺されていました。」
(参照:http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2014/03/0317m.html

しかし、韓国国内では、北朝鮮で目を覆いたくなるような人権侵害が行なわれていることは、それほど知られていません。

北朝鮮でのキリスト教徒への迫害を描いた『神が送った人』という映画が公開されていますが、これを見た観客は「北朝鮮の現実についてあまりに無知だった」と感想を述べています。(2月25日付朝鮮日報)

また、日本では強制収容所の悲惨な実態を描いた映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』が公開されていますが、韓国では親北の国会議員の反対で上映される予定はありません。

韓国では、北朝鮮の人権侵害を伝える脱北者に対し、親北の議員が「裏切り者」「変節者」「ゴミ情報を量産している」と攻撃することもめずらしくなく、本来であれば一番同情すべき韓国人が北朝鮮問題に関して一致団結して解決に当たることができていません。

◆封殺される親日派の声

それに対し、親日的な言動については、強硬な統制が行なわれています。

昨年7月に、韓国出身の呉善花(オ・ソンファ)氏が韓国への入国を拒否されたことは有名です。

韓国政府は入国拒否の理由を明らかにしていませんが、呉善花氏の言論活動が親日的であるとみなされ、そのために入国できないのではないかと考えられています。

『親日派のための弁明』の著者である金完燮(キム・ワンソプ)氏は朝鮮半島の日本統治を肯定的に評価したため、本書は有害図書に指定され、金完燮氏は名誉毀損と外患扇動罪で逮捕されています。

同様に、日本による統治が韓国の近代化につながったという論文を発表している李栄薫(イ・ヨンフン)氏もソウル大学の教授を辞職するように圧力を受けました。

残念ながら、韓国では親日的ととられる言論は攻撃され、学問の自由も保障されていない状況にあります。
その結果、世論は「親北反日」に偏っていく一方です。

◆今こそ行動を起こす時

こういった世論を考慮すると、日本と協力関係を築き、北朝鮮と対抗していく困難が理解できます。

その中でも、日米韓の首脳会談が開けたことは大きな一歩です。3ヶ国は北朝鮮の人権問題の理解をさらに深めるとともに、拉致被害者が出ているヨーロッパ各国にも協力を要請し、この問題を一日でも早く解決できるよう連携を深めるべきです。

ただ、韓国国内世論と朴大統領の今までの言動を見ていると、どれだけ信頼関係を構築できるか楽観できません。

また、アメリカが外交よりも国内問題を優先する孤立主義の時代に入りつつあります。
最終的には日本単独でも北朝鮮に対処する気概が必要です。

北朝鮮の人権状況について報告書をまとめたカービー委員長は、証言の多くに涙を流さずにはいられなかった、と述べ、次のように訴えました。

「これまで国連は報告を受けても行動をおこさなかった。今こそ行動を起こす時です。」

21世紀、最悪の人権弾圧を終わらせる覚悟が必要です。

伊藤 のぞみ

執筆者:伊藤 のぞみ

HS政経塾1期卒塾生

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