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2014年にこそ、国防政策の確立を!

文/HS政経塾 遠藤明成

◆元旦から「中国軍」を取り上げた読売新聞の危機感

本年の元旦の各紙の1面記事のテーマを見ると、朝日は「教育」、日経は「科学」、東京は「東電」、産経は「歴史観」、そして、毎日と読売は「中国軍」を取り上げており、その中に各紙の問題意識が映し出されていました。

その中でも特に目を引くのが、読売1面の「中国軍 有事即応型に」と書かれた大見出しで、中国が陸・海・空軍を一体化させ、ハイテク兵器を用いた戦争を可能にする「軍の機構改革」を進めていることを危惧した記事です。

その中の「運用の近代化が実現すれば、日本や米国の脅威となるのは必至だ」という記述からは、あえて正月にこの記事を一面に出してきた危機感が伝わってきます。(読売7面にも関連記事あり)

毎日新聞は、「防空識別圏」の問題を取り上げていますが、読売新聞のように「海洋強国」をつくってアメリカに対抗しようとする中国の野心までは論じていません。

◆「有事即応」体制の確立を目指す中国軍

その主たる内容は、

1:国内に設置している地域防衛区分である「7大軍区」を、有事即応可能な「5大戦区」に改編

2:従来の陸上防衛中心の「軍区」を、東シナ海や南シナ海等の「海洋権益」を含めた「戦区」に変える(→近隣諸国の領土・領海までを自国の「海洋権益」と見なして“防衛”する体制になる)

3:陸軍主導の体制を改め、陸・海・空軍とミサイル部隊を一体化し、戦力の相乗効果を高める。

という3点が中心であり、同記事は中国軍が2020年までに軍の近代化を完成させ、3つの空母機動部隊の編制を目指していることも取り上げています。

その中には、中国軍が03年比で人員(非戦闘員中心)を30万人削減するという構想も入っていますが、これは削減した人件費分の資金を装備やハイテク機器、研究開発に投資するための措置です。

人員削減=軍縮と誤解する人もいるかもしれませんが、削減した人件費分の資金を軍の近代化のために使うのは、鄧小平が百万人の人員削減を行って以来、その後継者たちが用いてきた手法なのです。

◆年初から「中華民族の偉大な復興」を説く習近平

こうした改革案は、中国軍の研究者には既に知られている話ではありました。

(例:『軍事研究2013年2月号』〔P28~43〕では09年9月に中国の軍事雑誌『鏡報月報』に掲載された改革案を分析している)

しかし、こうした中国の軍事戦略を大手の新聞社が正月から一面で取り上げるのは珍しいことです。これは世の中にも「中国の覇権主義の危険性」が認知されてきたことの一例だと言えるでしょう。

こうした中国の覇権主義は本年の習近平氏の新年挨拶(1月1日付「人民日報・日本語版」HP記事)にも見て取ることができます。

習氏は、「中華民族の偉大な復興」や「中国の夢」の実現を訴え、地球70億人の人々は、「共に困難と幸福を分かち合い、共に発展していくべき」であると述べていますが、彼らは日本に向けた核ミサイルを廃止しませんし、台湾や尖閣諸島、南沙諸島などへの野心を放棄することもありません。

それは、この「中国の夢」が平和の夢ではなく、アジアの覇権獲得を目指す一党独裁国家の野望にすぎないことを端的に示しているのです。

◆「危機認識」なくして「国防政策」の実現はありえない

こうした状況の中で、安倍首相は本年1月1日の「年頭所感」(官邸HP)にて、「『積極的平和主義』こそが、我が国が背負うべき『21世紀の看板』である」「国民の生命と財産、日本の領土・領海・領空は、断固として守り抜く」「憲法についても……国民的な議論をさらに深めていくべきである」と訴えていました。

しかし、自公連立政権では集団的自衛権の解釈変更も先延ばしにされており、国防政策を確立する歩みは、目的地である九条改正までの距離を考えると、進展してはいるものの、遅々たる歩みが続いています。

昨年秋から冬にかけての一部マスコミによる「特定秘密保護法」反対の大合唱と、その後の政権の支持率の低下を見れば分かるように、国防政策の前提である「危機認識」そのものが、今の日本には十分に根付いていないのです。

安倍首相は国防政策を重視してはいますが、本年4月の消費税増税が経済の失速をもたらした場合には失脚の危険性がありますし、充分な能力を備えた人材が後継者になる保証もないことを考えると、今の日本の政治は、「国民の生命と財産」を守るに足りる水準であるとは言えません。

そのため、危機認識を欠いた世論に警鐘を鳴らし、弱腰になりがちな安倍政権に向けてあるべき国防政策を示す幸福実現党が2014年に台頭しなければならないのです。

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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