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小泉元首相の「原発即ゼロ」を糾す!

■「脱原発」へ突き進む、小泉元首相

「原発即ゼロ」を掲げて、小泉純一郎元首相が、現在「活躍」しています。

首相在任時は、自民党内での反対も多い中、マスコミを巻き込む巧みな手腕で郵政民営化を訴え、「小さな政府」に向けた政策実現をなされたことは一定の評価ができるものでした。

そんな功績を持っておられる小泉氏が、大変残念なことに、日本の将来に大きな影を落とす、「脱原発」の主張を盛んにされております。

■「トイレなきマンション」の論拠だけで決めてはならない「日本のエネルギー政策」

小泉氏が「原発即ゼロ」を考える契機となったのは、今年の夏に行かれたフィンランドで、岩盤を深さ400mまで掘った地下の高レベル放射性廃棄物処分場を見学してからです。

「原発即ゼロ」を訴える小泉氏の論拠は、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場が決まっていないことにあるようです。「10年以上かけて1つも見つけられない」と批判されています。(11/14産経新聞)

いわゆる「トイレなきマンション」と言われるように、原子力発電の放射性廃棄物処理の問題が十分に解決できていないことは事実です。

この問題は、日本の国家全体の問題として、また世界の問題としても、問題解決に向けて取り組んでいかなければなりません。

しかし、放射性廃棄物処理が十分できないことを論拠に、日本で「原発即ゼロ」にする主張は、やはり無責任な主張であると考えます。

現状の日本のエネルギー政策を、エネルギー安全保障、国家安全保障、市場経済への影響、日米間や国際情勢など様々な面から考えたならば、私は「日本に原発は必要」であり、「原発の早期再稼働」を急ぐべきだと考えます。

■「脱原発」を進めたドイツの失敗

小泉氏の目指す、「脱原発」そして「再生可能エネルギー推進」路線を世界に先駆けて進めた国としてドイツがあります。

一部メディアはこの姿勢を賞賛しますが、負の側面はあまり伝えられていません。ドイツの電気料金は過去10年間で、再生可能エネルギーの買取制度等の影響があり「1.8倍」も跳ね上がっています。

ドイツでは、脱原発の電気料金上昇が低所得者層の生活と産業界を直撃しており、買取制度のあり方が連邦議会(下院)選挙の争点になるほどとなりました。(「脱原発」が地方を滅ぼす)

■隠された「不都合な真実」→ 2倍で済まない電気料金

また、2012年9月、支持率低迷にあえいだ当時の民主党・野田首相は、「脱原発」による支持者回復を狙い、2030年代の原発ゼロシナリオ「革新的エネルギー・環境戦略」を検討していました。

この動きの中で、政府のエネルギー・環境戦略会議に提出された経済産業省資料に、「原発ゼロを完全に実施するならば、家庭の電気料金は10月の平均月9,900円から最大で2万712円に跳ね上がる」(「脱原発」が地方を滅ぼす)という電気料金に関わる重大な試算がありました。

しかし、政府は、この不都合な真実を積極的に説明しませんでした。日本が原発を失えば、原油やLNGを安価で大量購入できる保証もありません。「完全に足元を見られる」ことになり、中東をはじめ石油産出国に対する価格交渉力は著しく低下します。

また、ペルシャ湾‐インド洋‐マラッカ海峡を結ぶシーレーンは周辺に政情不安定な国が多く安全保障上のリスクは絶えません。

これに伴い、石油備蓄や資源権益確保などエネルギーセキュリティーにも莫大なコストがかかります。これら試算に考慮されていないコストが追加されれば、電気料金は試算の2倍を超える可能性が十分にあります。

■「原発」が無くなれば国民の安全・命が守られるのか?

私のような「原発推進論者」に対して、「脱原発論者」の方々から、「国民の命より経済・産業を優先している」という御批判をいただくことがあります。

私がその時に考えることは、「原発」や「放射能」が無くなりさえすれば、本当に国民の安全や命が守られるのかということです。

原発ゼロの実現で、その後、電力の安定供給ができなければ、夏の大変暑い日に、御自宅で熱中症により亡くなる方が出る可能性が高まります。

また、電気料金が上がれば、会社の経営が苦しくなり、倒産して失業し、自殺してしまう方が増える可能性もあります。

このように、国民の「命」と「エネルギー」の関係を考えるときには、社会全体の影響も考慮しなければならないと考えます。

■世界共通の「原発問題」は、日本の技術力によって解決を目指せ!

日本が抱えている「原発問題」は、世界各国の共通の問題でもあります。

技術大国・日本が世界に期待されていることは、福島の原発事故を経験した教訓を生かして、日本の技術力によって、世界の「原発問題」を解決してほしいということだと考えます。既に京都大学原子炉研究所・山名元教授の研究では、放射能の寿命を短くする技術研究なども進められております。

小泉氏は、国民に人気があり、影響力を持つ方です。だからこそ、現在主張されている「原発即ゼロ」政策が、日本の将来にとって本当に正しい選択であるのか、国民のために、今一度考え直していただくことを強く求めます!(文責・幸福実現党鹿児島県本部副代表 HS政経塾4期生 松澤力)

松澤力

執筆者:松澤力

幸福実現党公認 薩摩川内市議会議員 HS政経塾4期生

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