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国防強化は戦争を招くか?

◆集団的自衛権行使容認に慎重な日本国民

安倍首相は22日の衆院予算委員会で、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に関し「行使するには、担保する法律がなければならない」と述べ、自衛隊法改正などの法整備が必要との考えを示しました。(10/22 産経「首相、集団的自衛権に『法整備必要』」)

安倍首相は同日、「行使の権利を持つのと、行使できるのと、行使するのは大きな隔たりがある」と指摘しています。

こうした集団的自衛権行使に前向きな安倍首相に対し、左翼勢力からは「『集団的自衛権は行使できない』という憲法解釈があったからこそ、自衛隊の海外での戦闘行為に『歯止め』が働いていた。」
「この『歯止め』を取り払って、米軍と肩をならべて海外で『戦争する国』につくりかえることが、集団的自衛権行使の狙いではないか。」というような「戦争を招く」「戦争に巻き込まれる」といった批判が続々と出ています。(10/19 赤旗)

朝日新聞社の世論調査によると、憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることについて、賛成は27%で、反対の59%が大きく上回っています。(8/26 朝日)

多くの国民は、左翼勢力や左翼マスコミが作り出した「集団的自衛権の行使を認めると、戦争を招くようで恐い」といった論調に影響を受けているようです。

◆集団的自衛権や国防強化は隣国を刺激するか?

しかし果たして、本当に集団的自衛権行使の容認や憲法9条改正は戦争を招くのでしょうか?

集団的自衛権のみならず、憲法9条改正、自衛隊強化等の一連の安全保障強化策に対して、「中国や北朝鮮、韓国を刺激して、戦争を呼び込むのではないか」といった意見を聴くことがあります。

しかし、中国や北朝鮮は、日本が国防強化しているから軍事力や覇権主義を強化しているのではなく、日本の動きとは無関係に、尖閣領域への侵出や核開発を進めています。(実際、日本の防衛費はこの二十年間、横ばいで推移しています。)

そうした国々が領土拡張欲を持っていることは明白であり、日本が国防を強化しなければ、ますます彼らは増長し、攻勢を強めて来ることは避けられません。

◆国防の強化こそが、戦争を防ぐ

こういった日本の危機に対し、「抑止」という平和への努力が必要です。

「抑止」とは、日本が国防の努力を高めれば、侵略国は相応の損害を覚悟しなければならないという状況をつくることで、戦争を未然に防ごうという考え方です。この考えの上に、自衛隊は成り立っております。

これは「勢力均衡理論(Balance of power)」に基づく考え方です。

「勢力均衡理論」は、イギリスの基本戦略であり、「力が均衡している国家同士では戦争は勃発しにくい」という統計に基づき、小さな島国であるイギリスの独立を守るべく、自国の軍事力を高め、周辺国とのパワーバランスを保つ戦略を取って来ました。

しかし、現在、日本は憲法や様々な法律上の制約から、「抑止力」が充分に機能しているとは言えず、勢力均衡が崩れ、中国や北朝鮮をして、好き放題にさせている原因になっています。

現在の日本憲法では、残念ながら他国の侵略に対して、極めて脆弱です。

日本国憲法は、結論から言えば「何もしないことが平和」と言っているだけで、侵略に対して白旗を揚げるという意味での「平和憲法」と読めます。

したがって、護憲勢力は「白ハト」勢力ではなく「白旗」勢力だと言えます。

確かに白旗を揚げれば、戦争にはなりませんが、中国に占領されたチベットのような地獄になります。これだけは絶対に避けなければいけません。

ですから、「国防の強化こそが、戦争を防ぐ」という一見、反対に見えることが現実であることをご理解頂きたいと思います。(文責・岐阜県本部副代表 河田成治)

河田 成治

執筆者:河田 成治

岐阜県本部副代表

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