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「日米」対「中朝」冷戦の本質は、「自由」対「全体主義」のイデオロギー戦争である!

12月26日、第二次安倍政権が発足しました。三年有余の民主党政権で政治は混乱を極めましたが、中でも特に経済、外交・安全保障は消費税増税、日米同盟の危機、中国・北朝鮮の脅威など課題が山積しており、まさしく「波乱の船出」となっています。

先般12月21日の[HRPニュースファイル494]で、私は「安倍政権は『防衛計画の大綱』を見直し、国防強化に本腰を入れよ」と提言しましたが、安倍首相は提言を受け入れ、27日、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を見直す方針を決めました。(12/27 時事「防衛大綱見直しへ=中国にらみ態勢強化-安倍政権」)

今回の記事は、もう少し視野を広げ、「世界の中の日本」という視点から日本の役割について提言したいと思います。

安倍首相の外交・安全保障問題に関する議論は「国家安全保障基本法を制定する」「集団的自衛権の行使を視野に入れる」「日本版国家安全保障会議(NSC)を創設する」などといったテクニカルな議論に終始しており、ビジョンを示すまでには至っていません。

一方、お隣の中国は習近平総書記が12月15日に「中華民族の偉大な復興の実現」「チャイニーズドリーム」構想を発表したように、明確なビジョンを持っています。(11/30 サーチナ「中国の新総書記、中華民族の復興に努めると明言」)

今後の中国は、それを達成するために様々な政策を世界中で推し進めることは想像に難くありません。

安倍首相は今一歩踏み込んで、「日本は自由の国であり、全世界に『自由』を広める責任を持つ国である」というビジョンを示して頂きたいと思います。

世界中には本当の「自由」を知らない人々がたくさんいます。そのような人々は真に幸福であるとは到底言えません。

例えば、中東の国々では人々が自由を求めて革命―アラブの春―が起きました。

特に、エジプトは中東の大国であり、その動向が注目されています。エジプト政府は憲法を制定し、12月25日、国民投票の結果承認されたと発表しました。

しかし、女性の権利や「言論の自由」「信教の自由」「表現の自由」などが制限されることを憂慮する知識人や野党、リベラル派、人権活動家、コプト教徒(エジプトのキリスト教徒)などの幅広い層が反対を表明していましたが、新憲法が制定されました。

国民投票の投票率も32.9%と低調であったことから、現在、国論が二分された状態になっています。

もう一つの例は、中国と北朝鮮です。この二つの国は長らく一党独裁が続いており、しかも軍備拡張が著しいという特徴があります。

また、自由や人権がないことも共通しています。実際、中国では、ノーベル平和賞を受賞した民主活動家の劉暁波氏を長年投獄し、チベットでは焼身自殺をして抗議する人々が後を絶たないなど、「自由」とは程遠い状況が続いています。

日本は国家として、このような自由を阻害している国を改心させるというミッションがあります。

米ソ対立の冷戦は「軍事競争」「経済競争」の様相を呈していましたが、その本質は「自由主義」対「共産主義」という「イデオロギー戦争」でした。

同じく、日米と中朝の冷戦の本質も、「自由」対「全体主義」のイデオロギー戦争であると言えます。

これまでアメリカは発展途上国に対して、「民主化こそが発展の基礎だ」という思想を広めて来ましたが、現在、中国が発展途上国に対して、「全体主義でも発展できる」という「チャイナ・モデル」を押し付け、西側包囲網を作ろうとしています。

日米は「イデオロギー戦争」という側面からも、自由の盟主として「中国包囲網」を形成していく必要があります。

特に中国に対しては、南シナ海における国々と積極的に交流を図って中国の野心的な進出を防止すると共に、インド洋周りの航路の安全を図るためにインドとの同盟関係を結ぶべきです。

また、中東問題に関しては、日本は石油及び天然ガス資源を依存している関係上、外交により中東地域の安定化に務め、有事の際には断固とした行動をとるべきであると考えます。

このような対策を実行するためには、まず国内の経済を立て直し、日本の国防を磐石のものにする必要があります。

そのためにも、日本人の自由を脅かす消費税増税を取りやめて景気を浮揚させることで日本を繁栄に導き、安全保障政策も根本から見直す必要があります。

このように視野を広くして世界の情勢と日本の役割を考える時、どの党の政策が相応しいのかと言えば、やはり幸福実現党しかあり得ないと考えます。
(文責・黒川白雲)

黒川 白雲

執筆者:黒川 白雲

前・政務調査会長

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