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日米は増税を止め、「自由からの繁栄」を目指せ!

11月10日、野田首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を、次期衆院選の民主党マニフェストに盛り込む意向を示しました。

TPPに慎重である自民党との差別化を図り、TPPを争点に選挙戦を戦う狙いがあると見られています。

しかし、TPPについては、与党内でも意見が割れており、離党者が出て民主党が衆院単独過半数を割る危険性も高まるとされているため、首相がどこまで主張を貫けるか、本当に選挙に打って出るのか、決意が試されるところです。

TPPは、アメリカを含む環太平洋地域の11カ国が、締結を目指して交渉を進めている多国間の自由貿易協定です。

「例外なき関税撤廃」を原則とし、2015年までに加盟国間の全貿易の関税をゼロにすることを目指しています。

交渉に参加するには、現に交渉に参加している11カ国の承認が必要ですが、日本は事前協議で多くの国から支持を得ています。特に、アメリカのオバマ大統領は、日本のTPP参加を強く促してきました。

日本はこれまで野菜や果物などの輸入関税を段階的に引き下げてきましたが、コメや小麦などの基幹作物は、数百~1千%という異常な高関税によって保護し続けています。

TPP参加によって、こうした関税を撤廃し、農業の自由化を進めることができれば、日本の農業をイノベーションすることもできるでしょう。

もちろん、競争に敗れて潰れる農家も多数出ると考えられるため、TPPは特に地方では票に繋がりにくく、選挙の争点としては避けられてきました。

そうした中でTPP参加を明確に主張している点は、野田首相を評価できると思います。

しかし、決して忘れてはならないのは、野田首相が心から日本の自由と繁栄を望んでいるとは考え難く、その最終目標は「消費税の増税」であり、TPPもその布石に利用されているに過ぎない、ということです。

今年3月、野田政権は「消費税を2014年に8%、2015年に10%に引き上げる」との法案を閣議決定しました。

本来ならマニフェスト違反である同法案を通す前に、解散して国民の信を問わなくてはならないはずでしたが、増税については与野党の意見が一致してしまったため、選挙の争点とする気配すらありません。

そして、同法案には、反対派の攻撃をかわすためか、増税の前提条件として「2020年度までの平均で名目3%、実質2%の経済成長率」を「努力目標」とする景気弾力条項が盛り込まれており、これを達成すべく、野田首相はTPPの推進に「努力」しているのです。

ですから、民主党が真に自由や繁栄を求めているかのような幻想を抱いてはいけないのです。

一方、アメリカも、オバマ大統領が再選され、いよいよ年末に「財政の崖」を迎えるか、という危機的状況にあります。

「財政の崖」とは、大規模な増税と財政支出削減が同時に行われ、急激な景気後退が起き、世界大恐慌にも繋がる危険性がある、ということです。

2000年代に始まった所得税や不動産関連税などに対する大型減税、いわゆる「ブッシュ減税」が、2012年末に期限切れを迎えると共に、オバマ政権下の2011年に財政赤字が問題となり、与野党が協議して強制的に歳出を削減することが決められたため、2013年1月から国防費を中心に10年間で最大1兆2000億ドルの歳出削減が行われてしまうのです。

景気後退に苦しむアメリカを立て直すには、減税によって国民の負担を軽減すると共に、政府が大規模な公共投資を行って、雇用を生み出す必要がありますが、実際にはこれと全く逆のことが起きてしまうわけです。

このままでは13年度だけで最大6000億ドル(約48兆円)の増税と歳出削減となり、13年の実質成長率はマイナス0.5%、失業率は9.1%に悪化すると予測され、世界経済にも大きな脅威となります。

こうした事態を避けるには、年末までに米議会が減税を延長させる新しい法律を作ることが必要ですが、オバマ大統領は11月9日、再選後初めて演説し、富裕層向けの減税措置を打ち切る方針を改めて表明してしまいました。

オバマ大統領は、富裕層からお金をとって貧民層にバラまくことが神の御心に叶うと信じて疑わないようですが、本当に貧民を救うためには、政府と富裕層が協力をし、大規模な事業を行い、多くの雇用を生み出さなくてはなりません。

アメリカでは近年、「シェールガス革命」と呼ばれるほど、膨大な埋蔵量を誇るシェールガスの増産が進み、「50万人以上の雇用を生んでいる」「GDPを0.5%押し上げる」などと明るい試算が出されていますが、こうした新産業を発展させるには、それを担う富裕層や大企業に対する、減税などの優遇措置による支援が必要です。

また、アメリカ全土で、インフラの老朽化が心配され、再整備が望まれていますし、広い国土に比して、新幹線やリニアなどの交通網も不十分です。

さらに、中国がサイバー・宇宙空間へも軍事拡大を進めている中で、アメリカがこうした最先端の分野に大規模に投資し、日本とも協力して、技術や規模の面で中国を凌駕し、牽制しなくてはなりません。

15日に国家主席に就任予定の習近平氏の下で、中国はさらなる覇権拡大を目指すと考えられます。

共産党一党独裁体制は、様々な矛盾が露呈し始めており、数年内に崩壊するとの予測もありますが、その過程では大きな混乱が生まれ、国内の不満をそらすために他国への侵略傾向を強める可能性も高く、環太平洋圏は大きな危険に晒されています。

そうした中で、日米が共に増税や歳出削減によって衰退していくようなことは、絶対に避けなくてはなりません。

日本は、国民の自由と活力を奪う増税法案を早急に破棄し、様々な分野で自由化を進めると共に、オバマ政権に対しても政策転換するよう強く働きかけていくべきです。

アメリカが、建国と繁栄の原点にある「自由の精神」を忘れず、「世界の警察官」としての使命を果たし続けられるよう、強力にサポートすることが大切です。

TPPについても、政局や政権の維持に利用するのではなく、「自由からの繁栄を目指す」という強い意志、明確な価値観を持った上で参加するならば、自由と民主主義の価値観に基づく国際体制を固め、中国をもそうしたルールの下に呼び込む力の一助になるはずです。

幸福実現党は「自由からの繁栄」の志を貫き、一貫して増税や緊縮財政には反対し、自由と民主主義の価値観の下、世界の平和を守り続けてまいります。
(文責・HS政経塾第二期生・徳島3区選挙区支部長 小松 由佳)

小松 由佳

執筆者:小松 由佳

HS政経塾第2期卒塾生 幸福実現党徳島県本部副代表

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