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オバマ大統領の再選と日本の道筋~日本から陽を昇らせるのは今!

2012年11月6日、世界が注目したアメリカ大統領選挙は、民主党オバマ陣営が共和党ロムニー候補を破りました。

両者が拮抗していた9つの州(バトルグランドステイツ)のうち7州をオバマ陣営が勝利し、大統領選挙人票303票を獲得して勝利しました(ロムニー氏は235票)⇒2012 Total Overall Votes

私は現在、ワシントンD.C.におりまして、オバマ大統領再選が確定した後、ホワイトハウスに行ったところ、多くのオバマ支持の若者が、集まって喜びを分かち合っていました。

オバマ大統領は若者に人気です。オバマ氏を強く支持する層として、黒人・ヒスパニック・女性・30歳以下の若者・労働組合・同性愛者・ユダヤ教が挙げられます。(11/ 7 ニューヨークタイムズP4)

めまぐるしく変わった選挙情勢

10月に入るまではオバマ陣営が一貫してリードをしていましたが、10月3日の1回目の大統領候補ディベートで、ロムニー氏が大差でオバマ氏を破ったことを皮切りにロムニー陣営が盛り返し、一時は主要な世論調査の平均出しているRCP Average世論調査でもロムニーが僅差ながらリードした時期もありました。

しかし、10月29日アメリカ東海岸に上陸した大型ハリケーン・サンディが過ぎ去ってから、「Pew世論調査によれば、ハリケーン・サンディはオバマ氏への追い風にもなったようだ。69%の有権者がオバマ大統領の嵐への対応を評価している」(11/5 ワシントンポスA1)ともあるように、再びオバマ陣営が勢いを取り戻しました。

そして、オバマ陣営がロムニー陣営を僅かにリードしながら選挙当日を迎え、オバマ大統領は再選されました。

◇これからアメリカは何をするのか――フィスカル・クリフ

オバマ大統領の再選後のトピックはフィスカル・クリフ(財政の崖、Fiscal Cliff)をどうするかが話題となっています。

フィスカル・クリフというのは、文字通り、「財政赤字という厳しい崖をいかに乗り越えていくか」という比喩で使われる言葉です。

11月7日のワシントンポストでは「With Voting Over,‘fiscal cliff’ countdown begins(選挙は終わり、フィスカル・クリフのカウントダウンが始まる)」という見出しで、これからオバマ大統領、アメリカ議会が直面する財政問題について述べています。

ポイントを4つ紹介します。

1.再選したオバマ大統領は、アメリカを不況へ陥らせかねない、(何もしなければ)来年1月に自動的に発動する、約5000億ドル(40兆円)の増税と歳出カットに対していかに対処するかという問題に直面している。

2.フィスカル・クリフを回避する妥協点を見出せば、移民法・環境政策・教育投資・製造業の復興に力を注げる。

3.妥協点を見出すために、アメリカ議会に残された期間は、2012年末までの49日間。

4.オバマ大統領は、今後10年間で1.5兆ドル(120兆円)の新しい財源を求めている。そのために、年間25万ドル(2000万円)の高所得者への増税と税金控除の制限を課すことを提案している(富裕層への増税)。(11/7 ワシントンポストA27より)

現在のアメリカの財政赤字は、16.2兆ドル(約1,296兆円)です。財政赤字の上限16.4兆ドルを引き上げれば、自動的に発動する増税と歳出カットを回避できるので、この案も議論があるようですが、昨年末、この提案をしたことで、共和党の支持率が下がったこともあり、共和党は慎重姿勢のようです。

アメリカの今後

大統領選挙の主要争点は、議会運営にも大きな影響があります。今回の大統領選挙は、景気回復が一番の有権者の関心事でしたので、連邦議会も「経済の回復」を念頭に置いた動きになると考えられます。

これらを考えると、「中間層の味方」をアピールしたオバマ大統領ですから、全体的な大幅増税はしないと思われますが、富裕層への増税は行うと思われます。

それと同時に、2009年の就任時のように、大きな財政出動をすることが考えられます。

この財政出動も既存の産業をいかに守るか、雇用を創れるかという発想に留まっており、大川隆法・幸福実現党名誉総裁がアメリカに期待されている「フロンティアの創造」へのチャレンジには至っていないように思います。

そして、増税と財政出動は、幸福実現党がかねてから主張しているように、ブレーキとアクセルを同時に踏む政策ですので、アメリカ経済が劇的によくなるということはないと思われます。

◇なぜ、アメリカ国防予算が削減の対象になるのか。

アメリカの予算には義務的支出(mandatory)と裁量的支出(discretionary)があります。社会保障費は義務的支出になります。

日本と同様に社会保障は増大傾向にあり、義務的支出をまかなうために、裁量的支出に削減圧力がかかっています。

アメリカの国防費は、裁量的支出に入っているために、今後10年間で、1兆ドル規模の削減をするといわれているわけです。

しかし、アメリカ財政赤字が大変だからといって、日本も同じようにしてはいけません。アメリカと日本では状況がまったく異なっています。

アメリカの財政赤字の海外政府・投資家の保有率が31%、日本の場合は7.4%です(大和総研「海外主体の日本国債保有増の背景と含意」)

日本には、実は、財政規模を拡大できる余力があるのです。したがって、金のなる木、新産業の育成をし、経済を拡大させる決断が必要なのです。

日本の道筋

日本は、日米同盟を深めながらも、いい意味でアメリカ頼みを脱却する必要があります。アメリカの動向だけで、耐え忍びの4年になるのでは、世界の大国・日本としてはあまりに主体性がありません。

日本自身がはっきりと方向性を示し、アメリカを追い抜いて世界一になる時間が短縮したと捉えるべきだと思います。

東京都知事選挙に立候補表明した、幸福実現党・青年局長トクマ氏が「国防や教育、暮らしなど東京から日本を変えたい。まだ陽は上ります。東京から上らせましょう」(リバティWeb:⇒http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5111)と訴えているように、今回のアメリカ大統領選挙の結果は、日本から世界に、国民の幸福はこうやって広げるんだと示す正念場のホイッスルといえるのではないでしょうか。
(文責・吉井としみつHS政経塾・第1期生幸福実現党東京都第9選挙区支部長)

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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