政府は原発を再稼働し、電力の安定供給を死守せよ!――無責任な「脱原発」は使命の放棄である。
関西電力は23日、再稼働が急がれている大飯原子力発電所を含む管内全11基の原発が停止したままだと、様々な対策を講じても今年夏の電力供給が最大で19.3%不足するという見通しを発表しました。(4/24 日経「夏の電力不足、関電は最大19.3% 20%超の節電要請も」⇒http://goo.gl/T4zTn)
2,535万kwの供給力に対し、今夏のピーク需要見通しは3,030万kwと495万kw(原発5基分)の不足を予測し、昨夏比で20%超の節電要請を打ち出す可能性も出てきました。昨夏比20%超の節電になれば、関電圏内に住む人々にとって大変な負担となります。
経団連は23日、電力供給不安による企業への影響調査を発表し、製造業の71%が「生産を減らす」、69%が「収益が減る」と回答。料金上昇も重なった場合は96%が「収益が減る」としています。(4/24 日経「電力供給不安で7割が『生産減』」⇒http://goo.gl/5yBBa)
一方で、大阪市の橋下徹市長は今夏の関西の電力危機について「計画停電もあり得ると腹を決めれば、電力供給体制を変えられる第一歩になる」と極めて無責任な発言を繰り返しています。(4/1 産経「『計画停電もあり得ると腹を決めれば』橋下市長が脱原発へ覚悟訴え」⇒http://goo.gl/1MOrh)
橋下市長は「電力の安定供給」という「電気の質」は、企業にとって生命線であることを理解していません。電力中央研究所による需要家調査(2007)によりますと、事業所の約半数は電気料金の安さより供給信頼度の高さを重視しているといいます。
ある中堅の金型メーカー社長は「政府は絶対に計画停電をしないように策を講じるべき」といいます。金型は液体の中で一か月程度の時間をかけて徐々に作られ、途中で電気が止まれば不良品になります。作り直せば最大で二か月余計にかかり、こんな納期遅れを起こせば、中国などの競合他社との競争に負けてしまうと警鐘を鳴らしています。
計画停電のような大規模停電だけでなく、半導体工場は一秒未満の瞬時電圧低下で約一億円の損害が発生するといいます。
また、橋下市長は関西電力大飯原発の再稼働は反対とした上で「(関電の)原発が全部止まっている状況でも、明日あさって関西府県民が死ぬ状況になるわけじゃない。ピーク時にちょっと我慢して乗り越えられる」と暴論を展開しています。(出典:同上)
評論家でもこのような発言が目立ちますが、「ピーク時にちょっと我慢すれば良い」というのは「机上の空論」に過ぎません。
現実には、リアルタイムにピーク時の需要をカットすることは困難なため、結果的に広域的・長期的な節電は避けられないことは昨夏、経験して来たことです。
供給予備率が低下すれば、最悪の場合、大規模停電が発生します。一般に、供給予備率は8~10%程度が適正で、3%を切ると大規模停電のリスクが高くなると言われています。「ピーク時にちょっと我慢」して乗り越えられるものではありません。
橋下市長は、こうした電力の基礎知識さえ持たずに、日本の「国家解体」を目指している左翼勢力による「脱原発論」に煽られ、市民の生活や経済活動に大きな責任を持つ「市長」の立場で「脱原発」を煽っているのです。
英国原子力公社(UKAEA)のバーバラ・ジャッジ名誉会長が、資源が極めて乏しい日本のエネルギー事情を踏まえ、「エネルギー安全保障上、原子力発電は必要だ」「日本は他国に命運を委ねるような道を歩むべきではない」との考えを示していますが、これは幸福実現党の考えと全く同じです。(4/20 産経⇒http://goo.gl/vu5a2)
つきましては、幸福実現党は「原発の再稼動を求める市民集会・デモ」に参加し、一刻も早い原発の再稼動を政府に求めて参ります。ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。(明日4月25日(水)11:00~ 大阪市役所東側 中ノ島 剣先公園集合⇒http://goo.gl/xCYpv)
4月21日、野田首相はベトナムのズン首相と会談し、ベトナムでの原発建設計画に対する日本の協力推進を重ねて確認しました。(4/22 東京「ベトナム原発 建設協力確認 首脳会談で首相」⇒http://goo.gl/aQGok)
両政府は2010年10月、ベトナムの原子炉二基の建設を日本側が受注することで合意しています。ズン首相は、日本側がベトナムで最先端の技術を使って、最も安全な原発を建設することに期待を表明しました。
アメリカは、東北大震災発災後に34年ぶりに原発の着工を決定しました。東芝の子会社の製品が使われます。今回、アメリカで原発建設が再開されることになったのは、「日本の技術を使えば、マグニチュード9.0の大地震にも大丈夫だ」という信頼感が生じたからだと考えられます。(『Will』4月号 渡部昇一著「原発興国論!」参照)
実際、震源地に最も近かった東北電力女川原発は、原子炉は地震後すべて自動停止し、冷温停止と呼ばれる安全な状態になりました。そこで敷地内の体育館等を開放して最大約360名の避難者を収容し、食事等の提供がなされました。女川原発も、福島第一原発も原子炉は、大地震に耐えたのです。この耐震性の信頼度は世界が認識しました。
日本の原子力発電技術は「世界最高」と認められています。情緒的脱原発論でなく、事実を直視すべきです。
福島第一原発事故で放射線被ばくによる死者はゼロです。福島県民の被ばく線量は、健康被害も全く見られないレベルです。警戒区域の多くは、もっと早くに帰れたはずです。そもそも避難する必要もなかったという意見もあります。(『福島 嘘と真実』高田純(札幌医科大学医療人育成センター教養教育研究部門教授)参照)
日本政府は引き続き、原子力発電を基幹電力の柱とし、我が国のみならず、世界の原発の安全の向上に寄与すべきです。
(文責・加納 有輝彦)