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アメリカ「新国防戦略」を発表――イランと中国を名指しで批判

オバマ米大統領は1月5日午前(日本時間6日未明)、国防総省で演説し、新国防戦略を発表しました。新国防戦略の主旨は、国防費削減に対応すると共に、アジア・太平洋地域の米軍戦力を増強することにあります。

具体的には、イラク戦争終結等を踏まえて、地上戦力を中心に、米軍全体の規模を大幅に縮小すると共に、中国の台頭を念頭にアジア太平洋地域への戦力の重点化を急ぐ「選択と集中」が示されています。

新国防戦略では、中国とイランを名指しして「精密兵器で米国の前方展開に対抗する手段を追求し続けている」と強く批判。中国を事実上の「仮想敵国」として位置づけています。(1/6 時事通信「対中国・イラン鮮明に=即応で軍事的優位性維持―地上戦力は限定・新米国防戦略」http://p.tl/-thD

オバマ大統領は「アジア太平洋地域における中国の台頭が、将来的にアメリカ経済や安全にさまざまな影響を及ぼす可能性がある」と述べ、中国の潜在的な脅威を強調。「アジア太平洋地域での展開力は強化し、国防費の削減はしない」と述べるなど、軍備増強を進める中国を強く意識したものになっています。(1/6 NHK)

新国防戦略は、オバマ大統領が今後10年間で4900億ドル(37兆円)の削減を目指す方針を示したことを受けて見直されたものであり、「引いていくアメリカ」を印象づけるものとなっています。

米軍が約20年間にわたり維持してきた二つの紛争に同時対処する「二正面作戦」を放棄することを表明し、イラク駐留米軍の完全撤収とアフガニスタンからの段階的撤収を受けて、アメリカ軍の中核部隊である陸軍(27,000人)や海兵隊(20,000人)等を大幅削減することを盛り込んでいます。

これに伴い、米国は、日本など同盟国に対して「負担増」を強く求めていくことは明らかであり、日本政府にとっても「日米同盟強化」の姿勢が本気であるかが真剣に問われることになるでしょう。

幸福実現党が主張している通り、普天間基地の県内移設、集団的自衛権の行使容認等によって日米同盟を修復、強化していくことは急務です。

こうした米国の大きな戦略転換を受けても、一川防衛相は「アジア太平洋地域を重視する米国側の姿勢は変わらないので歓迎したい」「具体的な政策は引き続き米国側と協議するが、今の段階でわれわれの方針に影響があるという認識はない」と相変わらず「平和ボケ」した発言をしています。

野田首相は内閣改造を13日に行い、一川防衛相を交代する方針ですが、一川氏が「国民の生命・安心・安全を守る」覚悟と能力が無いことが明白である以上、交代は当然で、野田首相の任命責任も厳しく問われるべきです。

今回の新戦略の背景には、中国の覇権主義の拡大による極東の安全保障環境の悪化があります。

実際、中国領有権を主張する香港や台湾などの団体でつくる「世界華人保釣連盟」が1月3日午後、香港から所有する漁船で尖閣諸島を目指すなど、年初より緊迫する報道が続いております。

野田首相は「消費税増税」に向けて「不退転」に取り組んでいますが、今は内向きの、しかも国力を弱体化させる増税政策を急ぐべき時期では断じてありません。

今後、極東情勢は極めて不安定な状況が続きます。日本政府は自衛力を行使できない現状を迅速に解決すべく、憲法9条改正、自衛隊法の改正、領海法の制定、非核三原則の見直し等、重要課題に次々と取り組んでいくべきです。

激動する国際情勢を見据え、独立国家として、国家の存続を賭けた安全保障のあるべき姿を真摯に議論し、万全な体制を構築すべきです。
(文責・小川俊介)

小川 俊介

執筆者:小川 俊介

幸福実現党 三重県本部参議院選挙区代表

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