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松下政経塾の原点を忘れたドジョウ宰相

「経済成長と財政健全化を車の両輪として同時に進めなければならない。これが天上の人となった松下幸之助さんに対して私が一番やらなければならない使命だ。」

野田佳彦首相は15日の衆院本会議で、かつて学んだ松下政経塾の創設者に増税を進める固い決意を語りました。

松下氏の名を先に出したのは、質問者の渡辺喜美みんなの党代表でした。松下氏が生前に説いた「無税国家論」を引き、「厳しい経済状況のときこそ大減税で景気を直すべきだ」と、首相に減税を迫りました。

これに対して、野田首相は「松下さんは財政危機について真剣に考え、国債残高増大に歯止めをかける必要性を主張していた。今や松下さんの想定よりもはるかに深刻な状況だ」と述べ、財政健全化のため増税は避けられないとの立場を強調しました。

しかし、こうした経済が深刻な状況にある時にこそ、国は減税を行い、国民の負担を減らすべきだというのが松下幸之助氏の教えだったはずです。

野田首相は『VOICE』2011年9月号においても「厳しい経済状況のときこそ、国は大減税をして景気を直すべきだ」「国費20%削減の大ナタを振るったうえで、思い切った『救国国債』を発行し、健全経済をつくりあげる大規模な先行投資を行うべきだ」 「毎年の予算の余剰金を積み立てて、ゆくゆくはその利子収益の分配だけで税金が不要となるような『無税国家』を目指すべきだ」と松下幸之助氏の「減税による景気回復」「大規模な先行投資」「無税国家論」等の政治哲学を紹介しています。

一見、松下幸之助氏に対して敬意を表しているかのようですが、結論として「当時から実行していれば、松下流の無税国家もいまごろ実現していたかもしれない」と、国会での答弁と同様、暗に時代錯誤だと批判。松下氏の信条を全て切って捨てています。

松下幸之助氏は「無税国家」「新国土創生」など、あるべき政治の実現を志して松下政経塾を創設。ついに第1期生から初首相誕生したことを喜ぶべき所でしょうが、その理想を捨て去り「まず、増税ありき」のドジョウ宰相では、松下氏もさぞ無念でありましょう。

※松下幸之助氏の野田首相に関する評価については、9月20日発刊『沈みゆく日本をどう救うか―野田佳彦総理のスピリチュアル総合分析―』(大川隆法著、幸福実現党発刊)の松下幸之助氏の霊言をご参照ください。

野田首相が「夢」「矜持」「情」という言葉を大切にしているのであれば、門下生として、松下氏の掲げられた理想実現にこそ、誠を尽くすべきです。

野田首相は自身の著書『民主の敵』では「消費税5%分に相当する巨額の税金が、天下り法人に流れているわけです。消費税は何%が適切かといった議論は、日本の財政を完全情報公開したうえでの話だと思います」と増税する前提として、徹底した無駄の削減と公務員改革を訴えています。

しかし、現状、歳出削減には何も手を付けず、国民の負担を無視し、財務省と一体となった「増税ありき」の姿勢に「正心誠意」は感じられません。

所信表明から4日間で見えてきた、野田首相の「正心誠意」。何か信用できない「疑念」を感じるのは私だけでしょうか。

(文責・政務調査会部長代理 小川俊介)

小川 俊介

執筆者:小川 俊介

幸福実現党 三重県本部参議院選挙区代表

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