Home/ 黒川 白雲 黒川 白雲 執筆者:黒川 白雲 前・政務調査会長 大増税で“野田不況”到来か? 2011.08.29 ようやく、日本解体を進めてきた菅直人氏が退陣しました。6月2日に開かれた民主党の代議士会で、菅直人氏は「(退陣したら)私にはお遍路を続ける約束も残っている」と語っていましたが、菅氏は弘法大師・空海より四国巡礼を禁じられていることを念押しでお伝えしておきたいと思います。 (幸福実現党発行『もし空海が民主党政権を見たら何というか』参照) さて、菅直人氏退陣を受け、本日29日、親小沢派vs反小沢派といった怨念と派閥の駆け引きだけで、民意は全く無視して、両院議員総会で民主党の新代表、次期首相が決定されました。 民主党の新代表に就任した野田佳彦氏は、復興増税や消費増税を強く主張して来ており、首相就任後は増税路線を歩むことが予測されます。 野田氏は民主党代表選の間は、増税慎重派が目立つ党内で支持拡大につなげたい思惑から「いろんな意見を踏まえて対応する」と増税をトーンダウンしたかのように装っていました。 しかし、代表選が終わった直後の記者会見では、野田氏は、東日本大震災からの復興費用の財源については、増税で賄う従来の方針を堅持するとの考えを発表しました。 さらに、野田氏は2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げるとした「税と社会保障の一体改革」を推進する姿勢を堅持しており、自民党を巻き込んだ大連立、大増税路線に向かい、“野田不況”が到来する危険性が出てきました。 野田氏は、松下幸之助氏から直接薫陶を受けた松下政経塾第1期生で、松下政経塾出身としては初の総理大臣となりますが、もはや「無税国家論」を掲げた松下幸之助氏の信条を捨て去っており、「増税路線を突っ走る財務省公認候補だ」と批判されています。 米国をはじめとする世界景気減速の懸念が和らいだこともあって、本日29日の東京株式市場は一時、上げ幅は120円を超えましたが、民主党の新代表に復興増税に最も積極姿勢を示している野田氏が選出されたことで、景気への影響を懸念する売りが出て、53円高で終わりました。 これは投資家が増税を主張している野田氏に対して一定の警戒感を表したものと言えるでしょう。 外交・安全保障政策については、憲法改正や日米同盟重視を持論とする野田氏は保守的立場と言えますが、今後、自らの信念を民主党政権内でどこまで貫けるかは不明です。 例えば、野田氏は「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」と公言していても、野田氏は昨年に続いて、今年も靖国参拝をしておらず、どこまで保守的信条を貫き通せるか疑問を感じます。 中国や韓国は野田氏を「右派」と認識しており、既に警戒感が高まりつつあり、経済運営と同様、外交・安全保障においても野田氏の信念と実力がすぐさま試されることとなるでしょう。 (文責・黒川白雲) 米報告書が「中国の急速な軍事拡張」を警戒―中国が猛反発 2011.08.27 中国国防省報道官は26日、米国防総省が24日に発表した「中国に関する軍事・安全保障年次報告書」について、「強烈な不満と断固たる反対」を表明し、「中国は終始、平和発展の道を歩み、防御的な国防政策を実行している」と主張しました。 中国が問題にしているのは、米国防総省が24日に発表した2011年版「中国に関する軍事・安全保障年次報告書」についてです。 同報告書は、2010年版『4年毎の国防計画見直し(QDR 2010)』を受けて報告されているもので、QDRで指摘されているアメリカの「潜在的な敵国」として、中国の軍事力を分析したものです。 同報告書は、中国は2020年までに欧米並みの近代化された軍の編成を終えることを目標としていると指摘。中国の国産空母の建造が今年中にも始まり、早ければ2015年にも就役すると予測。中国の急速な軍事拡張に警鐘を鳴らしています。 また、同報告書は、中国空軍が開発を進めている新型ステルス戦闘機「殲20」について「ステルス性能や先端航空技術、超音速用エンジンをもつ戦闘機を今後10年間に生産する野望を浮き彫りにした」と指摘。さらに、攻撃型原子力潜水艦と弾道ミサイルなどの近代化が完了すれば、相手国の水上艦艇は中国の領土から1850キロ以内に近づきにくくなると分析しています。 報告書は、中国の軍事拡張のねらいとして「(アジア・太平洋地域において)中国政府は既に台湾海峡危機以外の事態を想定して軍の態勢を整えている」と分析。尖閣諸島を含む東シナ海や、南シナ海での領土紛争を「中台問題に次ぐ優先事項」と位置付けていると警告しています。 同報告書は毎年提出されていますが、一貫して「中国の軍事力が飛躍的に向上している」ことを指摘、警告して来ました。その事例として、中国の弾道ミサイル、海軍戦力、サイバ―攻撃などを挙げ、アメリカの脅威となることを指摘して来ました。 同報告書から導かれるアメリカが取り得る戦略の一つとして、アメリカが日本から少しずつ後退していくというシナリオが、アメリカ政府や議会で真剣に論議されています。 日米関係に影響を与えてしまうため、同報告書では触れられていませんが、アメリカ軍が策定している新しい戦略においても、明らかにこれらの論議を考慮に入れていることが伺われます。 その背景にあるのは、アメリカの巨額の財政赤字と、国防費削減圧力です。 中国の国営メディアは8月6日、米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債の格付けを史上初めて引き下げたことを受けて、米国は「借金依存症を治す必要がある」と米国を厳しく批判。世界で最も多く米国債を保有する中国は、米国に対し構造的な債務問題に取り組み、米ドル建ての中国の資産を保全するよう要求する「あらゆる権利」を持っていると主張しました。 これは、中国が「米国が国防費を削減しなければ、米国債を売り浴びせ、米国債を暴落させるぞ」と脅迫しているに等しい行為です。 様々な要因を受け、アメリカが少しずつ日本から後退していくトレンドができつつある中で、アメリカは日本に自主防衛強化を要求してくる可能性も予測されます。 中国の急速な軍事拡張と米軍の漸次的撤退を踏まえ、日本は確実に自主防衛に向かって進まねばならない国際情勢になっていると言えます。 (文責・黒川白雲) 前原氏、代表選出馬へ=きょう正式表明 2011.08.23 民主党の前原誠司前外相は民主代表選出馬を本日23日に正式表明する予定で、前原氏が出馬に踏み切れば最有力候補となる見込みです。 実質的に次期首相を選ぶことなる民主党代表選では、増税の可否を大きな争点とすべきです。 次期首相の有力候補と見られている前原前外相、野田財務相の増税に対するスタンスはどうでしょうか。 前原氏は、10年代なかばまでに消費税を10%に引き上げるとした「税と社会保障の一体改革」は堅持しつつ、震災復興増税については、来年度からの実施にこだわらず慎重に対応することを主張するものと見られます。 実際、前原氏はテレビ番組で「復興と言いながら増税するのは日本の景気のみならず、世界の潮流から反するのではないか。1、2年は極めて慎重であるべきだ」と指摘しています。 これに対して、増税路線を掲げる野田氏はテレビ番組で「足りない部分は税で対応するしかない」と語っています。 しかし、「足りない部分は税で対応するしかない」という発想は、財務省の発想、昔で言えば独裁的暴君の発想であって、断じて政治家の発想ではありません。 国民の付託を受けた政治家の発想としては、(増税によって)国民に負担をかけずに、景気回復や経済成長による国民所得や消費の増大による税収増(自然増収)を図る志を持つべきです。 菅政権によって遅れに遅れた東日本大震災の被災地域の復興をできるだけスピーディーに進め、「日本再建」に全力を尽くすことこそ、次期首相の条件です。 円高についても、その大きな原因は日本経済がデフレに陥っていることにあり、今、必要なことは「増税」ではなく、大胆な金融緩和などの「デフレ対策」であることは明確です。 その意味で、増税にこだわり、デフレと円高を放置して来た野田財務相は言われているような“経済通”ではなく、“経済痛”、若しくは“経済オンチ”だと言えます。 万が一、野田氏が次期首相になれば、菅首相時代に輪をかけて日本経済を悪化させる危険性が極めて強くなると言えます。 (文責・黒川白雲) すべてを表示する « Previous 1 … 10 11 12