Home/ 黒川 白雲 黒川 白雲 執筆者:黒川 白雲 前・政務調査会長 楽観視できないカダフィ後のリビア 2011.10.21 「私は殉教者として死ぬ」と支持者たちの前で叫んだカダフィ大佐は20日、体制派と反体制派の戦闘に巻き込まれて死亡しました。「アフリカの王の中の王」と呼ばれた独裁者は生まれ故郷のシルトで最後を迎えました。 カダフィ大佐は1969年の革命以来、42年間に渡ってリビアの独裁者として君臨して来ました。カダフィ大佐が死亡したことは、リビアに自由と民主主義をもたらす希望と同時に、情勢次第によっては今後、リビアの混乱が更に継続することも考えられます。 カダフィ大佐の死亡によって、反体制派のリビア国民評議会は今日、明日にも全土解放宣言を行う予定ですが、リビアはカダフィの死亡によって簡単には安定化しないと考えられます。 リチャード・ハース米外交問題評議会会長は「カダフィの死はリビア情勢を部分的に変化させるかもしれないが、それを抜本的に変化させることはない。…当面、国内で戦闘が続く可能性もある」と述べています。(FOREIGN AFFAIRS REPORT 2011/10) リビアの不安定要因の第一は、政治勢力として各地域に根差した部族間の動向にあります。 元々、リビア国内は3つの地域(ベンガジを中心としたキレナイカ地方、トリポリを中心としたトリポリタニア、リビア西部のフェザーン地方)に分かれており、その中でも、キレナイカ地方は今後の安定化のカギを握る地域です。 1969年のカダフィ大佐による革命前は、国王が主権を握る王制であり、国王イドリース1世の出身地域はキレナイカ地方でした。カダフィが実権を握った後は、キレナイカ出身の人間は出世などにおいて冷遇されてきたことが指摘されています。 反体制派が掲げる国旗は王制時代のリビア国旗であり、国民評議会は新生リビアの政治権力をどのように調整し、各地域間をコントロールするか、難しい舵取りが予想されます。 リビアの不安定要因の第二は、今後、どの勢力が新生リビアでリーダーとなるのかが未だ混沌としていることにあります。 現時点で国際的に承認を受けた勢力はリビア国民評議会だけですが、国内には別の勢力もカダフィ体制打倒に貢献しています。特に、トリポリ軍事委員会は国民評議会も無視することができない勢力を保っています。 両者の意見調整が出来なかった場合、トリポリとベンガジを中心とした勢力間で内戦が行われる可能性も捨てきれません。 リビアの不安定要因の第三は、リビア内戦によって落ち込んだ石油生産の回復についてです。 リビアの今後の石油生産で焦点となる地域としてフェザーン地方の油田を指摘できます。同地方は全石油生産量の五分の一を占めており、この地域は遊牧系の武装勢力が標的として石油施設を狙う可能性があります。 カダフィ派の残存勢力がこの地域でゲリラ活動に動いた場合、治安が不安定化することは避けられません。 これら三つの要因によって、今後もリビアは不安定な状態が続くことが予想されます。 ヨーロッパは、リビア内戦への介入を主導してきましたが、カダフィ後の体制づくりには、手助けしようにも、欧州債務危機が足を引っ張り、対応が困難な状況にあります。 カダフィ後のリビアが、こうした多くの難題を克服し、自由と民主主義、希望と繁栄に満ちた国家を築くべく、日本を含めた国際社会は広範な支援を進めていく必要があります。(文責・黒川白雲) 欧米経済危機――減税による内需型成長モデルへの転換を急げ 2011.10.14 国際通貨基金(IMF)は13日、アジア太平洋地域の経済見通しを発表しました。欧州の政府債務問題や米国経済の原則の影響を受け、アジア経済は「明らかに下振れリスクが高い」としています。 また、ニッセイ基礎研究所は14日、来年度から10年間の日本のGDPの平均成長率を実質1.3%とする見通しを発表。 欧州の債務危機や米国の内需の低下による世界経済の減速を見込むと、消費税率を1%引き上げた初年度の実質GDPは0.24%低下するとしています。 消費税増税の前年に想定される駆け込み需要を考慮しても、今後10年間の平均成長率は1.3%に低迷するとしています。 同研究所の櫨浩一・研究理事チーフエコノミストは「深刻な景気後退リスクが増大しており、各国で協調するしかない。日本は内需主導の経済成長を目指す転換が必要だ」と述べています。 実際、ヨーロッパの債務危機はアジア経済に深刻な影響を与えつつあり、13日、中国の9月貿易統計発表された後、中国の税関当局幹部は「輸出に対する多くの不安定要素がある。主な要因は欧州などからきている」と語っています。 アメリカも雇用回復の鈍化と住宅市場の低迷が続き、かつてのように世界経済を牽引する力を失っています。 こうした状況を鑑みると、円高が続くことはトレンドとして避けられず、日本経済は「加工貿易」「外需依存」という、これまで成功して来た成長モデルから脱却し、新しい「内需拡大成長モデル」を確立することが求められます。 実際、09年の日本の輸出依存度は11.4%と、主要国では米国に次いで低く、今後は本格的な「内需拡大」に力点を移していくべきです。 世界経済危機の中で成長していくためには、円高で有利になった資源輸入を最大限に活かし、内需拡大に向けた「消費型経済」を盛り上げていくことが不可欠です。 そのためには、復興増税や、社会保障と税の一体改革に関連した消費税引き上げは断じて行うべきではありません。 ニッセイ基礎研究所の見通しからも明らかなように、増税によって、国民の可処分所得が減少すれば、GDPの約6割を占める個人消費を冷え込ませ、景気回復の足を引っ張ります。 週刊ポスト10/21号は「『増税で税収減』が世界の常識」として、「97年に税率を3%から5%からに引き上げた際には、それまで4年連続で成長を続けていたGDPが翌年からすぐさまマイナスに転じ、その後の経済縮小トレンドを招いた」として、幸福実現党が主張しているように「増税が税収減」を招くと警告しています。 消費税のみならず、所得税や法人税の増税も深刻な影響を及ぼします。日本の所得税・住民税を合わせた最高税率は50%で、高福祉・高負担といわれるデンマーク、スウェーデンなどに次ぎ、世界で4番目に高い水準にあります。 また、10日、米経済誌『フォーブス』がまとめた「世界の法人税の税率ランキング」によると、法人税率40%の日本は世界で法人税が最も高い国であることが指摘されています。 世界ではこの数年、法人税の引き下げ競争が進んでいますが、日本だけは潮流に乗り遅れて断トツに高いままで、法人税を半分程度に減税しなければ、企業は海外に逃げ出し、外資も日本への投資を避けていきます。内需拡大に必要な企業家精神も冷え切ります。 内需型成長モデルに転換していくためには、絶対に増税してはなりません。むしろ、減税により、法人や個人の可処分所得を増やしていくことが何よりも先決です。 増税を回避し、内需型経済への転換に成功すれば、世界経済が低迷しようとも、超円高が続こうとも、自立して成長路線を歩むことができます。 減税や規制緩和、民営化等で多くの企業家が自由で活躍しやすい経済空間を造り出し、日本経済を高度経済成長路線に乗せることこそ、喫緊に必要な最重要の経済政策であります。(文責・黒川白雲) 米国防費大幅削減の危機―迫られる日本の「自主防衛」強化 2011.10.07 米国の国防予算削減問題が、各方面に対して、アメリカの軍事力が世界規模の展開能力を失うのではないかという懸念を抱かせています。 米国のウィリアム・リン国防副長官は10月5日、超党派の議会の特別委員会での歳出削減案がまとまらない場合、国防予算が今後10年で1兆ドル以上削減の可能性があると語りました。 今年8月、米国では財政赤字の増大を防ぐために、議会に超党派の特別委員会を設け、今後10年間に合計1兆5000億ドルの支出削減案を勧告させ、米議会で採決することが決まりました。 同委員会が11月23日までに合意に達しない場合、合計1兆2000億ドルの支出削減が自動的に決まり、その多くが国防費削減になると見られています。 現在、民主党左派は社会保障費削減を絶対譲らず、共和党右派は小さな政府を主張して増税を決して受け入れない姿勢を示しているため、両党の合意は厳しいものと見られており、結果的に国防費に大きな皺寄せが及ぶ見込みです。 その場合、来年度の国防費は1000億ドル(7.7兆円)以上、自動的に削減され、世界での米軍の抑止力が大幅に低下します。 米国下院軍事委員会の調査報告書によると、自動的な支出削減が実行された場合、ここ数年のうちに陸軍と海兵隊の合計兵員が約20万人縮小、空軍の戦闘機が約2100機減少、戦略爆撃機が約50機削減、海軍の艦艇が約60隻削減、空母が2隻削減、大陸間弾道ミサイル(ICBM)が約100基削減されるとしています。 これらは個々に見ると、旧式化した兵器の退役が大半であり、新型兵器への代替や効率的運用を行えば、即座に米軍の実質的な戦力低下をもたらすものとは考えられませんが、過度の削減は、アメリカが緊急事態に対処するための戦力的余裕を喪失させます。 実際、朝鮮戦争は東西冷戦における最初の代理戦争ですが、第二次世界大戦終結に伴う大幅な軍事力削減により、紛争初期においてアメリカ軍の本格的な軍事力投入が遅れ、朝鮮戦争初期の敗北に繋がっています。 また、リン国防副長官は、陸軍や海兵隊など地上部隊の規模が削減の最大の対象になると述べ、「海外駐留米軍の規模は確実に縮小される」と語っています。 その結果、相当規模の在日米軍撤退に至る可能性もあり、日本の安全保障にとっても重大な問題が生じます。 在日米軍の米国本土への撤退が進めば、沖縄や台湾、朝鮮半島有事における抑止力や即応力が犠牲になるばかりか、南シナ海やインド洋における中国の覇権主義的拡張がますます拡大し、シーレーン防衛も深刻な問題になります。 オバマ大統領は就任以降、社会保障の拡充を行い、社会保障費を急激に増やす一方、軍事力軽視を続けており、それが結果的に世界各地における軍事的緊張を高めることに繋がりかねません。 米国の軍事費の大幅削減を見据え、日本としては日米同盟強化を基軸としつつも、憲法9条改正、空母艦隊保持や核抑止力強化などの「自主防衛」強化に取り組むべき時期が目前に迫っていると言えます。(文責・黒川白雲) 【尖閣危機】野田首相は尖閣諸島を守る気概はあるのか? 2011.10.01 9月29日午前8時50分、沖縄県・久米島の北西約246キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋調査船「科学3号」が航行しているのを海上保安本部の航空機が発見しました。 同日午後8時35分頃には、同船が尖閣諸島久場島の北約45キロのEEZで、再びワイヤを垂らして航行しているのが確認されました。 9月26日にも尖閣諸島久場島北北東約145キロの日本のEEZで「科学3号」が航行したことが確認されています。 中国の海洋調査船が連日、沖縄県・尖閣諸島沖で活発に活動している理由を推測してみたいと思います。 一つには、中国の海洋調査船は、ワイヤで曳航しているソナー(水中音波探知機)で、潜水艦の航行のために必要な潮流、海底地形、水質(水温・水分・塩分)、地磁気等のデータを収集していることが推測されます。 潜水艦の発する音の伝播は海水の温度に影響を受けます。また、海水の塩分濃度は、潜水艦の行動に不可欠な浮力に関係しています。 中国海軍は、尖閣諸島沖や東シナ海、西太平洋で潜水艦を運行していくために、これらの情報を収集している可能性があります。 フォークランド紛争では、イギリス軍は原子力潜水艦で地上部隊を上陸させましたが、中国はフォークランド紛争史を詳細に研究しており、当然ながら、潜水艦による島嶼上陸作戦も選択肢として検討しているはずです。 もちろん、同海域に潜行して、同海域を航行する米軍空母に攻撃を行うことも大きな任務とするはずです。 これは、中国海軍が尖閣侵攻に向けて着々と手を打っていることを意味します。 二つ目は、潜水艦の作戦行動に必要な海底地形の情報を集めている可能性が考えられます。海底に潜水艦が潜めるような地形がある場合、待ち伏せ攻撃に非常に有利です。 また、海底資源の調査のために、海底地形の情報を収集している可能性も高いと言えます。中国が沖縄を狙っている理由は、海底資源の確保も含まれているためです。 中国のこのような行動に対して、日本としては、中国に対して事前通告した通りの行動をするように警告し、今回のように、事前通告通りに行動しなかった場合、中国の大使を呼び出して抗議するぐらいすべきです。 また、幸福実現党が訴え続けているように、沖縄に海上自衛隊の護衛艦を配備し、海上保安庁の巡視船と連携して同海域を防衛すべきです。 同時に、普天間基地問題を迅速に解決し、日米同盟を強化し、中国の尖閣諸島侵攻に対して「日米同盟による抑止力強化」を図るべきです。 いずれにしても、「(中国の実効支配が確立してしまった)南シナ海の轍(てつ)は踏まない」という明確な「国家意思」を持って、中国に対峙する気概が不可欠です。 中国は強烈な「国家意思」を持った国家であり、何の意味も無く、海洋調査船を尖閣諸島に派遣することはありません。 「国家意思」無き国は滅びます。日本は、中国の尖閣諸島領有の「国家意思」を超える、強い「国家意思」を持って、今すぐ尖閣諸島防衛に臨まねば「尖閣喪失」の日は近いと言えます。 野田首相にそれだけの覚悟と気概があるのか。命を懸けて尖閣諸島を守る気概が無いならば、泥の中に潜って延命を図ることはもう辞め、日本のために潔く辞任すべきです。(文責・黒川白雲) 【尖閣諸島防衛】日本政府は行動で「領有の意思」を示せ! 2011.09.23 尖閣諸島漁船衝突事件から間もなく1年を迎えようとしていた8月24日の早朝、尖閣諸島の周辺海域で中国の漁業監視船2隻が日本の領海に侵入したことは記憶に新しい。危機管理対応が鈍くなる政権移行期の政治空白を突かれた形です。 そして野田政権発足後も、中国は野田政権は「どうせ何も出来ないだろう」と見くびり、試すが如く、尖閣諸島に対するアプローチをエスカレートさせています。 昨日22日、中国の程永華駐日大使が都内で講演し、尖閣諸島は「もとより中国の領土で、中国の関係機関がいろいろと活動している」と演説。漁業監視船の活動は「正当だ」と力説しました。 その上で、程大使は「なるべく早い時期に野田総理大臣の訪中が実現することを望む」と述べています。 中国大使の発言は、野田首相がオバマ大統領と初会談し、「日米同盟が日本外交の基軸だ」と語った直後のタイミングであり、中国としては野田首相に踏み絵を迫る意図もあるのでしょう。 現在、野田首相の年内訪中に向けて具体的日程を調整中とのことですが、野田首相がこのまま中国大使の発言に何ら抗議もせず、訪中するのであれば、野田首相の訪中は「朝貢外交」そのものであります。 同じく22日の日中外相会談においても、中国の楊外相が沖縄県・尖閣諸島について「中国領土である」と主張しました。これに対して、玄葉外相が「歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土であることは明確」と応酬したことは評価されます。 尖閣諸島は終戦直後に締結されたサンフランシスコ平和条約第3条に基づき、アメリカの施政下に置かれていましたが、71年の沖縄返還協定に基づき、施政権が日本に返還されています。 尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも、国際法上も何ら疑いようのない事実であり、中国が尖閣諸島の領有を主張する正当性は歴史的にも、国際法的にも全くありません。 しかし、1968年に日本、中華民国、大韓民国の海洋専門家が国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の協力の下に東シナ海一帯の海底を学術調査した結果、東シナ海の大陸棚に大量の石油資源が埋蔵されている可能性が指摘されると、中国は急に尖閣諸島の領有権を主張し始め、領有に向けて着々と行動を始めています。 日本が尖閣諸島の領有を主張するのであれば、中国と同じように具体的行動で「領有の意思」を示し、中国が抗議して来たら堂々と外交交渉するべきです。 中国大使が「中国の領土だ」と表現したことは、中国の尖閣諸島に対する「領土的野心」を剥き出しにしたことを意味します。当然、日本としては尖閣防衛を強化すべきです。 日本は尖閣諸島海域に海上保安庁の巡視船を進出させると共に、南西諸島の防衛強化に向けて、海上自衛隊の護衛艦を配備し、海保の巡視船と密接に連携させることも重要です。 尖閣諸島の領海パトロール・防衛強化は、中国の海洋覇権の動きを牽制する上でも大きな効果をもたらすでしょう。(文責・黒川白雲) ルールを踏みにじって暴走を続ける沖縄県教委 2011.09.16 沖縄県石垣市と与那国町、竹富町からなる「教科用図書八重山採択地区協議会」が選定した育鵬社の公民教科書を一転「不採択」とした9月8日の協議について、中川正春文科相は13日、「協議が整っていない」として「無効」を宣言しました。 森裕子文科副大臣も15日に会見を行い、「現時点で文科省が認めているのは(育鵬社を選定した)8月23日の答申だ」「(9月8日に育鵬社を不採択とした協議は)3教育委員会の合意の上で設置されたとは確認できない」と述べ、8日の採択結果は無効であり、育鵬社を採択することを求めました。 そして、文科省は15日、「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果(筆者注:育鵬社を選定)に基づき、3市町教育委員会が同一の教科書を採択するよう指導を行う」ことを求める通知を沖縄県教委に提出し、教科書の必要冊数の報告期限である16日までに結論を出すよう求めていました。 すなわち、文科相、文化副大臣、文科省は沖縄県教委に対して、一貫して、(育鵬社を不採択とした)9月8日の協議は法的に「無効」であり、8月23日の八重山採択地区協議会において選定された育鵬社教科書に一本化するよう指導していました。 文科省の指導は、これまで幸福実現党が主張して来た通りの内容で、法治国家として極めて当然と言える指導内容です。 ところが、本日16日、沖縄県教委が文科省の指導に真っ向から反発。行政機関自らルールを踏みにじって暴走を続ける前例なき事態が勃発しました。 まず、沖縄県教育委員会の大城浩教育長が記者会見を行い、育鵬社を不採択とした8日の協議は「協議の場として成立している。採決の状況については有効と捉えている」と文科省の公式見解を真っ向から否定。中川文科相の発言には「いささか困惑している」と不快感を示しました。 続いて、狩俣智義務教育課長は「県教委の認識では、3教委の採択に違法性はない」「有効か有効でないかという判断はまず、当事者がすべきだ。第三者が一つの団体の協議の有効性をいうべきものではない」と県庁の一課長でありながら、文科省に反旗を翻しました。 沖縄県教委は、左翼特有の「ゴネ得」や「自らの間違いを決して認めない、反省できない習性」「上位の階層に対する闘争本能」等を見事に体現しています。教師の範たるべき教育委員会の姿としては誠に情けない限りです。 しかし、どのように沖縄県教委が「ゴネ得」を図ろうとも、法律に則って正式に決議された8月23日の地区協議会での育鵬社教科書の選定は「合法」であり、育鵬社を不採択にするために仕組んだ9月8日の協議は「違法」であることは決して覆せない事実です。 文部科学省は、法治国家のルールを踏みにじる沖縄県教委を責任を持って指導すべきであり、断じて“ゴネ得”による例外を認めてはなりません。 (文責・黒川 白雲) 八重山教科書問題 野田日教組内閣と文科省の無責任 2011.09.11 沖縄県石垣市、与那国町、竹富町からなる「教科用図書八重山採択地区協議会」が選定した育鵬社の公民教科書が一転不採択とされたことについて、10日、石垣市教委が県教委に対し、育鵬社の教科書を不採択とした採決協議自体が無効であることを求める行政訴訟を検討していることが分かりました。 八重山地区の教科書採択を巡って、市と県とが法定で争う異例の事態となりそうです。 9/8に開催された「地区教育委員協会(八重山教育委員協会)」臨時総会における育鵬社の教科書の一転不採択が「無効で違法性がある」というのが石垣市側の主張です。 文科省の見解では、協議会とは別の協議(今回の「地区教育委員協会」)を新たな採択機関とするには「3教委(石垣市、与那国町、竹富町)の合意」が前提とされています。 しかし、石垣、与那国の両教委は「合意」していないにもかかわらず、県教委が主導して「地区教育委員協会」を採択機関と決め、育鵬社の一転不採択を決定しました。 この点について、石垣市の玉津教育長は「3市町の間で了解は成立していない」と指摘。与那国町の崎原教育長も「強引に採択協議をした。違法性がある」と主張。「3教委の合意」が無かったことは明らかで、「地区教育委員会」の協議が無効であることは明確です。 9日には、育鵬社の教科書を執筆した「日本教育再生機構」理事長の八木秀次高崎経済大教授と理事の高橋史朗明星大教授が文科省で会見して、「8日の『新たな協議の場』に採択に関する権限は存在せず、不採択決定は無効だ」と訴えています。 また、10日には、石垣、与那国両市町側は、文科省と県教委に対し、「協議無効」とする申し立てを文書で行っています。 文科省は今回の採決の有効性について明言を避けていますが、県教委の違法行為を放置している文科省の無責任・不作為は大問題で、結果的に沖縄県教委の法律を無視したやりたい放題を容認することに繋がっています。 その背景には「野田日教組内閣」があります。野田首相は「日教組のドン」である輿石氏を党運営の要である幹事長に据え、その意向を受けて、日教組出身の神本美恵子、水岡俊一両参院議員を、文部科学政務官と首相補佐官に起用する異例の人事を行っています。 日教組出身者が文部行政に入るのは左翼・村山政権以来の異例の事態で、その結果、文科省が日教組の意向を汲み、結果的に保守系教科書採択を阻止する事態に至っていることは大問題です。 (文責・黒川白雲) [参考]八重山地区の育鵬社不採択は完全な違法行為。法治国家として大問題 八重山地区の育鵬社不採択は完全な違法行為。法治国家として大問題 2011.09.09 沖縄県八重山地区(石垣市、竹富、与那国両町)で来年度に使う中学校「公民」教科書採択を巡る問題で、3市町からなる「教科用図書八重山採択地区協議会」が選定した育鵬社の公民教科書を一転、不採択とし、東京書籍を採択しました。 これは法治国家の原則を大きく逸脱する完全な違法行為です。まず、経緯を時系列でまとめさせて頂きます。 8/23 石垣市、竹富町、与那国町から成る八重山採択協議会が公民教科書として育鵬社を選定。各教委に採択を委ねる。 ↓ 8/26 石垣市教育委員会(以下、「教委」)、与那国町教委が育鵬社の公民教科書を採択。 ↓ 8/27 竹富町教委が育鵬社の公民教科書を不採択。 ↓ 8/30 県教委は3教委に対し、「教科書無償措置法」の規定に従い、採択地区内で一つの教科書に統一するよう通知。 ※市町村立の小中学校で使う教科書の採択権限は各市町村教委にありますが、「教科書無償措置法」により、一定区域を採択地区(この場合、石垣市、与那国町、竹富町を合わせた「八重山地区」)として定め、地区内の市町村は同じ教科書を採択することとされています。 ↓ 8/31 教科用図書八重山採択地区協議会(以下、「協議会」)が協議の上、竹富町教委に対し、協議会の答申通りに育鵬社の教科書を採択するよう要請。 ↓ 9/2 協議会の要請を無視して、竹富町教委が育鵬社教科書を不採択。県教委が3教委に対して協議し、打開策を検討するよう通知。 ↓ 9/8 八重山教育委員協会が臨時総会を開き、育鵬社を不採択。東京書籍を採択。 では、何が問題なのでしょうか? (1)「教科書無償措置法」により、採択地区の市町村は同一の教科書を採択しなければならないが、8/31の協議会の要請に対し、竹富町教委が従わなかったこと。【竹富町教委の違法行為】 (2)にもかかわらず、沖縄県教委会が、竹富町の違法状態を指導しなかったこと。【県教委の不作為】 (3)9/8に開催された「地区教育委員協会(八重山教育委員協会)」臨時総会は、教科書を採択する法的権限が全く無いにも関わらず、県教委が教科書無償措置法第13条4項に定める「(教科書採択の)協議」と位置づけたこと。【県教委の違法な指導】 ※「地区教育委員協会」とは、地区の教育委員が集い、交流、研修等を行う親睦団体に過ぎず、教科書採択に関して何ら法的権限を有していません。 (4)3教委の了解が無いまま、法的根拠が全く無い「地区教育委員協会」の決定が、法的に適性な手続きを踏んだ協議会の結論を覆したこと。(昭和38年の現行の教科書制度が始まって以来、初めての事態)【地区教育委員協会の違法行為】 (5)3市町の人口構成は石垣市4万9千人、竹富町4千人、与那国町1600人であり、石垣市が9割を占めているが、「地区教育委員協会」では石垣市と竹富町それぞれ同数の構成員で多数決を行い、人口比7%に過ぎない竹富町教委のゴネ得を押し通したこと。【悪平等とゴネ得】 (6)8月3日に、県教委が教育事務所を通じ、「協議会メンバーに校長・三市町教委指導主事を新たに追加すること」を求め、教員出身委員の比率を高め、日教組色を強めようとしたこと。【県教委の不当介入、市町教委の独立性の侵害】 まとめると、石垣市教委と与那国町教委は協議会が選定した育鵬社の教科書を採択。竹富町教委が協議会の要請に従わず、育鵬社採択を拒否。県教委の不当介入と違法な指導で、法的根拠ゼロの「地区教育委員協会」が協議会の決定を覆して、八重山地区の公民教科書として育鵬社を不採択としたのが経緯です。 東京書籍は「日本軍=悪」、沖縄被害者史観で貫かれています。例えば、東京書籍は、沖縄戦の集団自決では「日本軍によって集団自決に追い込まれた」とあります。 一方、育鵬社は「日本軍は沖縄県民とともに必死の防戦を展開し米軍に大きな損害を与えました。(中略)この戦いに従軍して命を落とす人も少なくありませんでした。米軍の猛攻で逃げ場を失い、集団自決する人もいました」とあります。 八重山地区にある尖閣諸島について育鵬社は「沖縄県八重山諸島北方の尖閣諸島は、日本の領土です。(中略)中国が挙げている根拠はいずれも『領有権の主張を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とはいえません』」と、日本の立場を踏まえ、中国の主張に正当性がないことを明記。自衛隊の違憲の可能性を指摘する東京書籍とは大いに異なります。 中国の漁業監視船による領海侵犯等、尖閣諸島侵略の危機が迫る中、国境最前線の八重山地区の育鵬社採択を覆し、東京書籍を採択すれば、最も喜ぶのは中国であることは間違いありません。 また、文科省の沖縄県教委に対する指導が曖昧で、現地に責任を押し付けていたことも問題点として挙げられます。国会で大問題にすべきです。 (文責・黒川白雲) 経済成長なくして、財政再建なし 2011.09.05 野田首相は組閣を受けた会見で「私は財政原理主義ではない」と語りましたが、同時に「財政が安定し、政治が信頼され、課題を乗り越えたところで、ようやく外交力の源泉が生まれる」と健全な財政が政策実行の前提であるとの考えを示しました。 しかし、この考えはやはり「財政原理主義」「財政再建至上主義」に近いと言わざるを得ません。 幸福実現党は、財政再建は「経済成長」を実現した結果、達成されるのであり、「財政再建」を目的としたら、経済成長も財政再建も失敗すると指摘しています。 例えば、財政赤字削減に取り組んでいるギリシャでは、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)の増税や歳出減による緊縮策が取られています。 しかし、緊縮策により景気後退が予想以上に悪化。ギリシャ経済は今年、最大5.3%のマイナス成長が予測されています。 その結果、増税による歳入増も予想以下になる見込みで、ギリシャ政府は9月2日、今年の財政赤字の削減目標が達成困難になったと発表しました。 9月2日付WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)によれば、ギリシャ政府当局者は「多くの国民は納税すべきお金を持っていない。景気を拡大させなければならないが、緊縮政策が全ての足かせとなっている」と述べています。 景気が悪化し、GDPが減少すれば、当然、財政赤字の対GDP比が増大し、財政指標が悪化します。家計に例えれば、借金は変わらないのに、年収が減少すれば借金の負担が重くなるのと同じです。 今後、ギリシャ政府は更なる付加価値税増税に踏み込む方針ですが、悪循環に陥っていると言わざるを得ません。 野田首相が復興増税や消費税増税、公共事業削減などの緊縮政策を取れば、景気は悪化し、日本もギリシャと同じような悪循環に陥ることは避けられません。 幸福実現党は、大胆な財政政策や金融緩和、規制緩和、未来産業の育成等の複合政策による「高度経済成長政策」を打ち出しています。 高度経済成長が実現すれば、GDPが増大しますので、財政赤字や債務残高の対GDP比率が小さくなり、財政指標が大幅に改善されます。家計に例えれば、年収が倍増すれば、借金負担が半分に軽くなるのと同じです。 財務官僚の振り付けによって「財政再建なくして経済成長なし」として増税を唱える野田氏に対し、「経済成長なくして、財政再建なし」との立場から、幸福実現党は増税に絶対反対、高度経済成長の実現を訴えてまいります。 (文責・黒川白雲) 「シビル・アンコントロール」内閣 2011.09.04 一川防衛相は防衛大臣就任に伴い、「私は安全保障の素人だが、それが本当のシビリアン・コントロール(文民統制)だ」と述べました。 この発言に対して、自民党の石破茂政調会長(元防衛相)は「閣僚解任に値する。任命した野田佳彦首相の見識も問われる」と批判し、国会などで追及する考えを示しました。 「シビリアン・コントロール(文民統制)」とは、「民主主義国家における軍事に対する政治優先」、または「軍事力に対する民主主義的な政治統制」を意味しています。 研究社の新英和中辞典によれば、“civilian”とは、名詞として「(軍人・聖職者に対して)一般人、文民、軍属、非戦闘員」とあり、形容詞としては「文官の」「文民の」という意味があります。 すなわち、(軍人でない)政治家が軍を統制することであり、広い意味では(政治家を選ぶ)国民が軍を統制する原則です。 これは、旧憲法下において統帥権が独立し、内閣の統制が及ばずに軍部が独走した反省を踏まえ、国民の意思によって、自衛隊が整備・運用される制度を企図したものです。 具体的には、内閣総理大臣は自衛隊に対する最高の指揮監督権を有し(菅直人氏は首相就任後、しばらくしてこの事実を知ったそうですが…)、防衛大臣は自衛隊を含む防衛省全体の組織を統括することでシビリアン・コントロールが図られます。 防衛大臣は、防衛官僚や自衛隊高官の意見を聞き、決断し、一国の運命と国民の生命・安全・財産を守る責任があり、その判断責任は極めて重く、決して素人であって務まるものではありません。 特に、現状においては、軍拡にひた走る中国の覇権主義に対する対策、尖閣諸島防衛の強化、北朝鮮の核ミサイルと朝鮮半島有事への対応、普天間基地移設問題の解決等、我が国を取り巻く外交・国防上の課題は緊急かつ重大な局面を迎えています。 そうした中、防衛大臣が“安全保障の素人”では、防衛省や自衛隊を統制できず、「シビル・アンコントロール(無統制)」状態に陥ってしまいます。 野田首相は新内閣を「適材適所の布陣だ」と自負していますが、防衛大臣のみならず、外務大臣に就任した玄葉光一郎氏も外交経験がありません。また、財務大臣に就任した安住氏も財政、為替、経済政策等の経験がなく、素人同然の布陣だと言えます。 重要三閣僚がこれでは、野田内閣を「シビル・アンコントロール」内閣と命名したくなります。 (文責・黒川白雲) すべてを表示する « Previous 1 … 9 10 11 12 Next »