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バラマキのオンパレードで到来するマズイ未来とは?

https://youtu.be/Hs7wA_DRHa0

幸福実現党政調会・西邑拓真

◆日本政府の財政は加速度的に悪化している

今月9日、財務省は、国債などの政府の借金が2023年末時点で、1286兆4520億円になったと発表しました。

現在、2024年度予算案の国会審議が行われていますが、昨年末に閣議決定された当初予算案では、2年連続で110兆円超えとなる112兆717億円となっています。

歳出と税収の時系列の動きを表したものを「ワニの口」と表現されますが、歳出は上がり続ける一方、ゼロ成長が続いたことで、税収はほとんど増えなかったことから。ワニの口が開き続けています。

歳出を税収で賄えない部分は国債で穴埋めされますが、財政健全化の見通しがつかない中で、政府の借金は構造的に膨らむ一方となっています。

岸田文雄首相は昨年、「次元の異なる少子化対策」として、児童手当の拡充など、今後3年間で子ども・子育て関連予算を年3兆5000億円積み増し、将来的には倍増することを掲げました。

その財源として、現在、医療保険の枠組みを使い、社会保険料を増加することで賄う方向となっていますが、当初は財源を明確にしないまま、お金を使うことだけを先に決めてしまいました(※1)。

安倍晋三政権をはじめとする歴代政権が、一時的な歳出は行うにしても、恒久的な歳出の拡大は行ってこなかったのとは対照的に、岸田政権では財源の見通しを立てないままに恒久的な歳出の拡大を決定した点で、政府の財政のスタンスが「変質」したとする向きもあります(※2)。

つまり、日本政府の財政は、現政権下で不健全化が加速している状況です。

岸田政権ではこれまで、少子化対策や原油高対策の補助金策などを行ってきましたが、では、こうしたバラマキはどのような帰結を招くのでしょうか。今回は以下の3点に焦点を当てて、議論を進めてまいります。

◆バラマキがもたらすもの(1)大増税

一つは、言わずもがな「増税」であり、もう少し正確に言えば、「国民負担率」が増加するということです。

政府の歳出が拡大し続ければ、増税圧力が必然的に増すことになりますが、増税という形でなくても、岸田政権における少子化対策の財源のように、社会保険料が高くなるという場合もあります。

いずれにせよ、国民負担率は上昇し、国民に負担が重くのしかかることになります。

現在、おおむね50%の国民負担率も、現在の財政スタンスが維持されれば、将来的な国民負担率は60%、70%へと増大することは避けられないでしょう(※3)。

◆バラマキがもたらすもの(2)世代間格差の拡大

バラマキがもたらす弊害として、二つ目に挙げられるのが、世代間格差の拡大です。

政府がこのままバラマキを続け、その原資を増税や社会保険料負担ではなく、国債発行に頼るとすれば、どうなるでしょうか。

この時、国債を60年かけて返済するといういわゆる国債の「60年償還ルール」の下で、政府によりこしらえられた借金のツケは、若者や将来世代に回されることになります。

高齢者に手厚い今の社会保障制度の下で、負担の将来への先送りを続ければ、高齢者と若者、あるいは現在世代と将来世代との間における世代間格差が拡大することになります。

島澤諭氏の推計によれば、今の社会保障制度を維持するという前提で考えた時、生涯にわたる社会保障給付やその他の歳出により生じる負担から受益分を差し引いた「生涯純負担額」について、0歳児は一人当たり3,737万円の純負担となり、負担よりも受益の方が大きい90歳に比べて、およそ9,000万円の格差が生じるとしています(※4)。

生まれた途端におよそ4000万円の負担を背負うと同時に、こうした世代間格差に直面することになるわけですから、これはまさに「財政的幼児虐待(※5)」と言えるでしょう。

バラマキで借金を積み増せば、これから人生を歩む世代の負担は、さらに高まっていくことになります。

経済学の格言で「フリーランチはない」というものがありますが、これは、すなわち、「何も失わずに何かを得ることはない」ということを表しています。

これは政府によるバラマキも同じです。例えば、一人当たり10,000円の現金給付を行う場合、国民からお金を徴収し、それを配るというコストを考えれば、10,000円以上のお金が必要となりますが、こうしたお金は、増税、社会保険料で現在の世代か、あるいは国債発行で将来の世代かが、必ずツケを払わなければならないのです。

◆バラマキがもたらすもの(3)インフレ

3つ目は、物価高騰、すなわちインフレです。

13日、米国の1月の消費者物価指数の上昇率が、前年同月比で3.1%になったことが発表されました。米国の物価はやや落ち着きを見せてはいるものの、まだ高インフレから脱却したとは言えない状況が続いています。米FRBは早期の利下げには慎重な姿勢を見せており、円安・ドル高の基調はしばらく続く可能性が高いと言えます。

さて、これまで、日本や米国をはじめとする先進各国が高インフレに苛まれたのは、コロナ禍による供給網の遮断や石油価格の高水準が続いたことなど供給側の要因だけではなく、コロナ禍における財政出動が過大だったという、需要側のいわば「財政インフレ」の面もあるのは確かです。

このことは、コロナ対策としての財政出動が限定的だった新興国は、資源高が収まると、先進国よりも早くインフレが低下する方向に向かっていったことからも言えるでしょう。

河野龍太郎氏は、1980年代の米国における高インフレを抑えたのは、「小さな政府」路線を掲げ、社会保障など歳出を抑制したレーガン大統領の財政スタンスにあったと指摘しています(※6)。

日本はもとより、先進各国が「しつこく高いインフレ」から抜けるには、今こそ「小さな政府」路線へと舵を切り、歳出のあり方を見直す必要があるのではないでしょうか。

◆必要なのは「返済計画」と、財政を健全にするという政府のコミットメント

財政出動は一般的に、景気を刺激するとされていますが、歳出が拡大し、債務が積み上がると、人々は増税や財政破綻への不安を覚えるようになり、政府の意図とは裏腹に、家計や企業は消費や設備投資を控えるようになってしまいます。結局のところ、バラマキで経済がよくなることはないのです。

腰の入った景気回復に向けて、今、日本政府が行うべきは、国民の「将来不安」を払拭することにほかなりません。将来不安の一要因となっているのがまさに、日本の財政です。

大川隆法党総裁は、『減量の経済学』の中で、今必要なのは、「政府の借金を返す計画である」とする旨を言及しています。

やはり、こうした返済計画を立てると同時に、その計画を政府が着実に履行するというコミットメントを与えることが必要です。政府はバラマキはやめ、抜本的な歳出削減を実践することも行っていくべきです。

(※1)今月16日、少子化対策の財源として、医療保険料とあわせて徴収する「子ども・子育て支援金」を活用することなどを盛り込んだ、少子化対策関連法案が閣議決定されている。

(※2)河野龍太郎『グローバルインフレーションの深層』(2023年, 慶應義塾大学出版会)より

(※3)将来的な国民負担率の増大に影響を及ぼす最大の要因は社会保障費と考えるが、紙幅の関係により、今回は議論を割愛した。

(※4) 島澤諭『教養としての財政問題』(2023年, ウェッジ)より

(※5)「財政的幼児虐待」という用語は、米国の経済学者ローレンス・コトリコフ教授が唱えたもの。

(※6)河野龍太郎『グローバルインフレーションの深層』(2023年, 慶應義塾大学出版会)より

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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