中国が核大国へ、台湾侵攻で日本が戦場になる!核抑止論をタブー視するな【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆核保有国の判断
フランスは、シャルル・ドゴールが大統領の時、1960年に核を持ちました。
当時は米ソ冷戦真っただ中で、隣国のドイツで東西が衝突し、核戦争の可能性が高まっている時期でした。
ドゴールは、NATOの司令官やアメリカのケネディ大統領と話をした結果、「ヨーロッパの同盟国を守るために、アメリカが核兵器を使用する保証など何処にもない」と判断し、アメリカの反対を押し切って、核装備を進めました。
その後、国連で「核拡散防止条約」ができ、アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国の5ヵ国が核保有国とり、その他の国の核保有を禁止しました。
しかし、インド、パキスタン、北朝鮮、そして核保有を否定も肯定もしていないあいまいなイスラエルの9か国が核を保有しています。そして、そうした国と核をレンタルするなどの方法を取っている場合もます。
いずれにしても、核戦略は、核を落とすような敵国が現れた時、国内世論はもちろん、アメリカなど大国と渡り合い、断固、国を護るという政治家の肚がいります。
◆日本は正当防衛の範囲内で核装備を
日本における「核装備の議論は、1957年の国会答弁で岸信介首相が「自衛の範囲内を超えない限り、核を保有しても違憲ではない」と答えています。
岸信介首相は「防衛上、核武装の必要に迫られれば日本は核武装をする」とアメリカに非公式に伝達し、これに驚いたアメリカは「核の傘」を検討し始めたと言われています。
その後、1965年には佐藤栄作首相も、前年に核実験を成功させた「中国が核兵器を持つなら日本も持つべきだ」と言っています。
それに対して、アメリカは日本の軍事的自立を阻止したかったので、「核の傘で中国の核の脅威からしっかり守る」という「核の傘」を用意しました。
こうした背景もあって、1967年12月の衆院予算委員会で佐藤栄作首相は「核は保有しない。製造もしない。持ち込まない」という「非核三原則」を打ち出しました。
その功績で1974年にノーベル平和賞を受賞しましたはが、まるで用意されたかのような受章ではあります。
北朝鮮が核実験した2006年には自民党の政調会長をしていた中川昭一氏が日本の核装備に言及すると、マスコミや野党から袋たたきにあいました。
さらにアメリカのライス国務長官が日本にすぐにやって来て核装備の動きを牽制しました。
そして現在の政府は、「憲法9条のもとでも核装備は合憲である」というのが、内閣法制局の公式見解です。
2016年、安倍首相の時に内閣法制局長官が「憲法上、核兵器使用が禁止されているとは考えていない」と国会でハッキリ答弁しています。
憲法9条や非核三原則は戦後日本の平和主義を象徴するものですが、中国や北朝鮮の脅威が迫り、いまだかつてないほど、核戦争の危機が迫っています。
すでに中国の核の照準は日本の各都市に向けられています。核兵器の最大の効能は、「他の核兵器保有国に核兵器を使わせない」ということです。
先日も、フジテレビの朝の番組で、フランスのエマニュエル・トッド氏が出演し、「日本の唯一の安全保障は核を持つことだ。核を持てば安全で、中立的な立場をとることができる」と発言しました。
「核なんて落とすわけがない」というのは日本人の感覚であって、世界はそれぞれの国が自国の「正義」の名のもとで、核を使う可能性が未だかつてないほど高まってきています。
幸福実現党は日米同盟を基軸としつつも、憲法9条改正と正当防衛の範囲内での核装備を一貫して訴えてきました。
アメリカ一国で世界を守ることが難しくなった今、東アジアの正義と平和のために、日本が核抑止力を持つことを考えるべきです。
防衛費をGDPの2%に引き上げることも大事なことですが、どうすれば国民を護れるのかという本質を突き詰めていくと、日本が中国や北朝鮮の核の恫喝に屈せずに、独立を守り抜くことを考えないといけません。
今こそ、本気で国防強化を行うときではないでしょうか。