ウクライナ紛争で核戦争も辞さず。プーチンの覚悟とは? 【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆北朝鮮のミサイル発射
アジアに目を転じると、北朝鮮の金正恩総書記が、核兵器の有効性を確信して、ミサイル発射を繰り返しています。
3月24日には、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と言われている「火星17型」を発射しました。
高度6000キロメートル、滞空時間70分と言われ、米国に到達可能なミサイル開発が成功したことになります。
今回のミサイル発射には、金総書記の「ウクライナ問題を見ても、米国には核戦争の勇気はないが、北朝鮮はその覚悟がある」というメッセージが込められているように思います。
◆ウクライナの次は台湾?
そして、中国がいま、虎視眈々と台湾を狙っており、トランプ前大統領は、2月22日に出演したラジオ番組で、「次は台湾だ」と警告しました。
3月18日、バイデン大統領が習近平国家主席との電話会談で、「同盟関係強化による対中包囲網を形成せず、台湾独立を支持しない」と述べました。
この電話会談で、習氏は「あなた(バイデン大統領)の表明を非常に重くみている」とクギを刺したと報じられています。
ロシアを制裁するために中国に協力をお願いするようなバイデン大統領を、習氏は足元を見ているわけです。
◆バイデンは台湾を守るのか
ウクライナは独立国ですが、NATOに加盟していないため、NATOは軍事行動をしていません。台湾がウクライナと異なる点は、米国と台湾の間に「台湾関係法」があることです。
しかし、「台湾関係法」には、台湾防衛に必要な戦闘機やミサイルなどの供与は書かれていますが、軍事的関与は、明記はされていません。
◆蔡英文総統の台湾国防策
一方で、台湾の蔡英文総統は米国に頼るだけではなく、自衛力を強化しています。
台湾では2018年に徴兵制を止め、現在志願制を採用していましたが、少子化などで十分な兵員数を確保できていません。
そこで、志願していない18歳~36歳の男性を対象に4か月の軍事訓練義務を今後、1年間に延長しようとしています。
さらに、台湾政府はハンドブックを作成し、緊急事態やゲリラ戦を想定し、市民の戦争への準備を行う予定です。
5月には、ミサイル攻撃を受けた場合の避難訓練も行います。まさに戦争前夜です。
◆バイデン外交の限界
3月24日、バイデン大統領は訪問先のブリュッセルで、記者からロシアに対する「経済制裁による抑止」は見通しが甘かったのではないかという質問を受けました。
これに対してバイデン大統領は、「経済制裁で、プーチン氏を抑止すると言ったことはない」と語気を強める場面がありました。
「核を落とすぞ」といった強い姿勢があれば止められたのかもしれません。しかしバイデン大統領は「アメリカは軍事介入しない」と早々に言ってしまっています。
バイデン大統領は、アフガンに続いて、ウクライナへの対応についても「失敗した」と見られ始めています。
大川隆法党総裁は3月26日、『金正恩の霊言』の冒頭で、バイデン外交の問題点を次のように指摘しています。
「バイデン大統領が、権威主義VS民主主義の戦いで、独裁者スタイルでやっているところを全部敵に回しているが、勢いだけで煽って、人気を取ろうとした場合、後始末しなくてはいけなくなる。」
バイデン大統領から権威主義国家と見なされたロシアや中国、北朝鮮、イラン、パキスタンなどの国の結束がどんどん強くなり、世界大戦の構図が出来つつあります。
厄介なことに、権威主義国家はどこも核兵器を保有しており、国を護るためには核を撃つ決断ができる国家元首ばかりです。
◆日本はいかにあるべきか
ひるがえって日本の岸田首相は、3月27日、防衛大学校で「事態の展開次第では世界や日本も戦後最大の危機を迎えることになる」と話しました。
核シェアリングを含めた核装備など、戦後日本がタブー視してきた防衛策についても踏み込まないといけません。
ウクライナ問題は、「世界大戦、核戦争を防ぐためにどうすべきか」という大局的な観点から「ウクライナの中立化」を目指すべきだと思います。
最近、ゼレンスキー大統領が「中立化」を受け入れる準備があると報じられましたが、日本はロシアとウクライナが早く合意する方向で努力してほしいと思います。