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北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【中編】

https://youtu.be/0pCKwKCeZZA

幸福実現党党首 釈量子

今回は中東イスラム諸国を一つずつ、見ていきたいと思います。

≪エジプトの事例≫

長い歴史を持ち、人口も1億人を超え、アラブのリーダー国家とされるエジプトですが、2017年、ウイグル人イスラム教徒たちが一斉に逮捕され、約20人が中国に強制送還されるというショッキングな事件が起こりました。

多くは、イスラム教の名門アズハル大学の留学生で、ウイグル人が集まるレストランや家にエジプト治安当局が押しかけましたが、中国政府の要請で動いたとみられています。

背景にあるのは、習近平主席とシーシー大統領の「蜜月関係」です。

2014年12月、両首脳が両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしてからは、カイロの「新行政首都」の建設や、スエズ運河経済特区への投資など、中国から莫大な投資を受け入れ、2015年からは合同軍事演習も行なっています。

元来、エジプトは米国の同盟国ですが、ここ10年、対米関係には隙間風が吹いています。

エジプトの立場から見ると、人権問題に敏感な欧米諸国と異なり、国内の政治情勢や人権侵害(特に女性)を融資の条件としない中国の方が、商売上、好都合なのかもしれません。

≪サウジアラビア、UAEなど湾岸諸国の事例≫

ウイグル人と同じ「スンニ派」の盟主サウジアラビアが、沈黙を保っているのもおかしな話ではありますが、今、最大のビジネス相手国は中国です。

少し古いデータですが、サウジ国内において建設・電気通信・インフラ・石油化学分野など、140社以上の中国企業が事業を展開し、約2兆円相当と言われる莫大なチャイナマネーに魂を奪われた状況と言えます。

また、サウジアラビアをはじめ、UAE(アラブ首長国連邦)やカタールなどは、2019年国連人権理事会において提出された「ウイグルの人権弾圧に対する非難書簡」に対し、中国を擁護する立場に回っています。

こうした中東の小国は、国際社会の動きを敏感に察知しており、特に「バイデン大統領弱し」と見て、中国への傾斜はより鮮明になっています。

昨年11月には、UAEの首都アブダビの港で、中国が秘密裏に軍事基地を建設していたことが発覚しました。アメリカの介入で急遽中止となり、UAEは「軍事施設だとは知らなかった」と弁明しています。

その後12月半ばには、トランプ政権時に締結していたF35の購入計画を凍結されましたが、中国への情報漏洩を恐れた米国側が厳しい要件を付けたことに、UAEが反発したと言われています。

昨夏には、UAEドバイに中国の秘密拘置施設があり、複数のウイグル人が拘束されているとAP通信で報じられました。中東一開かれた観光都市であるはずのドバイのダークな一面が見えてきます。

≪トルコの事例≫

更に、ウイグルと信仰面でも、民族的にも同根のトルコですが、ウイグル弾圧に対しても、5万人のウイグル人を受け容れ、世界各地で発足されたウイグル人組織の先駆けにもなりました。

2009年には、エルドアン大統領はウイグル問題が「大量虐殺」に当たると批判し、中国との緊張が激化。2018年にもトルコ政府はウイグル弾圧を激しく批判しています。

しかし近年、エルドアン大統領の中国批判のトーンは急激に下がっています。

昨年3月、トルコ野党が「中国によるウイグル人に対するジェノサイド」と認定する決議案を国会に提出しましたが、エルドアン大統領率いる与党AKP(公正発展党)が反対、決議案を握りつぶしました。

最大の要因は経済的な問題でしょう。トルコリラの暴落など、経済的苦境が続くトルコが、新型コロナの拡大も相まって中国依存を深めました。

エルドアン大統領が中国製のワクチンを率先して打ち、中国へのすり寄りを国民に示した姿は、実に残念でなりません。

それ以外でも、中東における最大の親中国イランはもちろんのこと、南アジアのパキスタンなども、中国の悪行には目を瞑っています。

(後編に続く)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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