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ウイグル人権弾圧、岐路に立つ日本外交と企業【後編】

https://youtu.be/bbWJoSzrZus

幸福実現党党首 釈量子

◆北京冬季五輪ボイコット、3つの方法

「ユーラシアグループ」が提唱する「北京冬季五輪ボイコットの3つの方法」の一つ目は、外交的ボイコットと呼ばれるもので、可能性が60%あると見ています。

これは、政府高官を北京に派遣させないことで、オリンピック開催国としての立場を外交面から批判するものです。

参加国は、米国、カナダ、英国、オーストラリアに加え、EUの数か国と予想し、日本やインド、韓国は中国との経済的なつながりが大きく、参加しないと見ています。

二つ目は、アスリートのボイコットで、可能性が30%あると見ています。

アスリートのボイコットは、米国内の政治圧力により、オリンピック選手が競技に参加することを中止させることです。

また、米国民が観客として北京に行かない、米国内でテレビ放映も行わない、スポンサーにならないことによって中国に利益を与えない、という経済的ボイコットもあります。

アスリートのボイコットや経済的ボイコットは、外交的ボイコットよりも厳しい対応になるので、米中関係は冷戦状態に入り、中国政府は欧米ブランドのボイコットを指示するだろうと予想しています。

三つめは、当たり障りのない中国非難声明を出すものです。これは、公式のボイコットではありませんが、一番可能性が低く10%と見ています。

米上院議員(ロムニー)の中には、外交的ボイコットと経済的ボイコットの併用が最善の策だと主張しています。

なぜなら、米国民が観光客として北京に行かないので、中国はホテルや食事、チケットで儲けることができない。

一方で、人生をかけて練習してきたアスリートの舞台を用意することができるからです。

今後も、米国やヨーロッパで北京オリンピックのボイコットについて議論されると思います。

米国務省は、「ボイコットを公式に決めてはいないが、今後大いに議論したい」と、ボイコットに含みを持たせています。

◆ウイグル人権弾圧、岐路に立つ日本企業

日本はウイグル人権弾圧に対する制裁と同じく、新たな外交姿勢が問われることになります。これまでの加藤官房長官や公明党・山口代表の発言を見ると、これからも「中国忖度政治」が続くような気がしてなりません。

民間企業にも影響が出ています。衣料品ブランドは批判リスクを負って、新疆綿を使い続けるか、取引を止めて中国の不買運動を受けるか、難しい対応を迫られています。

スウェーデンのH&Mは強制労働の疑いがあるので、新疆綿を使用しないと発表しましたが、中国の不買運動に直面しています。

ナイキも、同様の理由で、新疆綿の使用を停止しました。

しかし、無印良品の良品企画は新疆綿の使用を継続し、問題があれば取引を停止すると発表しました。ユニクロの柳井会長は「政治問題なのでノーコメント」と答えました。

日本企業は歯切れの悪い対応となりました。そんな中、カゴメが新疆産のトマトペーストの使用を中止すると発表しました。

総じて、H&Mやナイキなどの欧米の企業は、ウイグルで人権弾圧の疑いが残っている限りは、取引しない。日本の良品企画は、確かな証拠がないので、取引を継続する。このように判断が分かれています。

日本政府や日本の企業は新たな対応を迫られています。日本が中国との経済的関係が深いのは確かですが、現在、経済原理を超える価値判断が求められています。

日本人の意識も変わりつつあります。産経新聞とFNNの世論調査によると、ウイグルや香港の人権問題について、日本も国会決議や制裁で関与すべきかどうか聞いたところ、8割が「関与すべき」と答えています。

中国の人権弾圧に対して、日本は宗教観や政治哲学に基づいて、価値判断すべき時が来ているのではないでしょうか。

今後は欧米に足並みを揃えるという消極的姿勢ではなく、アジアのリーダー国として日本が率先して人権擁護に動くべきだと思います。
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釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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