温室効果ガス排出削減目標の大幅引き上げは、国家破滅への道そのもの
http://hrp-newsfile.jp/2021/4069/
幸福実現党政調会エネルギー部会長 壹岐愛子
■温室効果ガス排出削減目標の大幅引き上げ
4月 22〜23日、気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)が開催されました。
この中で菅義偉首相は、2030年度のCO2等の温室効果ガスの排出削減目標(NDC)について、現行の「26%減」から、「46%減」への大幅引き上げを表明しています。
菅首相はさらに、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」とも強調していますが、NDCの引き上げなど脱炭素化の動きというのは、結論から言えば「国家破滅への道」にほかならず、大いに問題があると言わざるをえません。
■NDC引き上げの弊害
NDCを引き上げた今、「脱炭素」に向けて具体的なアクションを取れば、日本にはどのような弊害が生じると考えられるでしょうか。
例えば、「太陽光や風力発電、電気自動車の導入を急拡大すれば、日本の製造業は、レアアース含めた鉱物資源を多く有する中国への依存を高めることになる」といった指摘もなされています。
グリーン投資(環境に配慮した経済活動への投資)を日本国内で進めるとしても、再エネを導入する資金は中国に流れて同国を大きく利する形となり、かたや日本の経済成長にはほとんど寄与しないというのが実際のところでしょう。
また、今回のNDC引き上げにより、今後、環境規制の一環として、「炭素税」の本格導入など含め、環境分野における課税強化がなされることも想定されます。
しかし、こうした増税など行えば、製造業の生産コストをむやみに高めることになり、場合によっては、厳しい環境規制にさらされていない国に生産拠点が移り、日本は「産業の空洞化」を経験することにもなりかねません。
いずれにしても、日本の産業界はエネルギーコストの上昇に直面する可能性が高く、経済活動は大きく阻害されることが懸念されるのです。
■環境規制は行うべきではない
以上を踏まえて、今回のNDCの引き上げは、国富を中国に流出させることになるほか、エネルギーの供給体制を脆弱にして日本の安全保障をも脅かすことになることから、「百害あって一利なし」と言えます。
そもそも、CO2などの温室効果ガスが地球温暖化に影響を及ぼしているということは、仮説の域を超えていないのが実際のところです。この考えをもとに環境規制を強化することなど、本来あってはならないことのはずです。「炭素税」なども国民の財産権を不当に侵害する手段として用いられかねず、絶対に導入すべきではありません。
NDCの引き上げや「カーボンニュートラル宣言」は、外交関係を踏まえれば、ある程度やむを得ない部分はあったという見方もできるでしょう。
しかし、そもそも「CO2温暖化」は「フェイク」と言え、脱炭素はやればやるほど中国にお金が流れ、軍事費となって日本の脅威として跳ね返ってくるというのが事実ではないでしょうか。
(参考)
杉山 大志「CO2ゼロで高まる日本の中国依存とサイバー攻撃の脅威」(キャノングローバル戦略研究所, 2020年11月16日)