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成長戦略インサイト(8)勤勉性を失わせる財政は正されるべき

http://hrp-newsfile.jp/2021/4057/

幸福実現党成長戦略部会長 西邑拓真

――先月26日、令和3年度予算案が成立しました

新年度の国の一般会計総額は、前年の当初予算に比べて3.8%増となる106兆6,097億円に達し、9年連続で過去最大を更新する形となりました。

歳出がここまで積み上がったのは、年金や医療に対する歳出額が高齢化の進展で自然増となったほか、デジタル庁の発足に向けた予算や、新型コロナウィルス対策に向けた予備費が計上されたことによります。

政府の予算は、今回成立した「当初予算」だけに留まりません。「雇用調整助成金」の受給期間が6月末に切れるなど、政府による一連の措置の期限切れを迎えます。

追加の「経済対策」を実施するにあたって、今後、補正予算の編成に向けた議論が本格化すると見られますが、秋までに実施される次期衆院選を見越して、「大盤振る舞い」となる可能性は高いでしょう。

米国ではバイデン政権が、「8年間で2兆ドル(約220兆円)」のインフラ投資を実施するとの計画を示すと同時に、すでに、連邦法人税率を21%から28%に引き上げるとの考えを明らかにしています。

「播いた種は必ず刈り取らなければならない」のは、財政においても同じであると言えます。お金が成長に資する部分に効果的に使われなければ、納税者はいずれ、さらなる大増税に見舞われることになります。

バラマキ・増税は、国から「勤勉の精神」を失わせ、国民に貧困と苦しみを与えることになりかねません。

バラマキを受ける側は「頑張らなくても食べていけるのなら、働かなくても良い」という心理につながり、また、バラマキの原資を獲得するとして高所得者や企業を狙い撃ちに増税を実施するなどすれば、納税する側は、「収益を上げるために知恵を絞って勤勉に働こう」というモチベーションを低下させることになるでしょう。

国として、コロナに対して、適切なバランス感覚を持って必要な対策は実施しつつも、財政のあり方を「国の援助ありき」という考え方から、「自助努力」を促す方向に転換すべきだと思います。

――さて、今、香港や新疆ウイグル自治区などで激しい人権弾圧を繰り広げている中国に対し、国際世論が厳しい目を向けている

香港において、一連の政治統制が繰り広げられているほか、ウイグルでは拷問や強制労働のほか、ウイグル人女性に対して、組織的な性被害や不妊手術の強制などが行われており、中国による人権弾圧は苛烈さを増しています。

先月30日、米国務省は、人権に関する年次報告書の中で、中国によるウイグル人の弾圧を国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と「人道に対する罪」と非難しています。 

また、米国のほか、これまで中国と良好な関係を築いてきたEUも、ウイグルでの人権侵害を理由に、中国共産党幹部を対象とする経済制裁を発動しています。

翻って日本政府は、加藤勝信官房長官が「深刻な懸念」を表明するに留まっています。そもそも日本は、人権侵害を理由に経済制裁を課す法律が、G7で唯一整備されていないというのが現状です。

こうした中で、超党派で法整備を進めようとの動きがあるのも事実ですが、中国への配慮もあってか、政権与党である公明党は法整備に慎重な考えを示しています。

日本の政治は戦後、国際社会における「正義」とは何かを顧みることなく政治を行ってきたと言えます。

かつて中国で起きた天安門事件では、日本は、国際的に孤立していた中国政府を擁護する姿勢をとりました。このことが、その後の「中国の巨大な勃興」を許してしまったのは否めません。

人間にとって尊い「人権」を踏みにじる国家による覇権拡大は、決して許されるべきではありません。日本は国際的な正義に照らして、人権弾圧を断固として許さないとの姿勢を明確に示すべきです。

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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