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最終判断が迫る東京五輪、北京五輪で踏み絵を迫る覇権国家中国の思惑【前編】

https://youtu.be/RAT3hERDzoo

幸福実現党党首 釈量子

◆はたして開催できるのか?タイムリミットが迫る東京五輪

コロナ禍においては、現代の社会の様々な問題が浮き彫りになっておりますが、近代オリンピック(以後、五輪と表記)もその一つです。

東京五輪、次には北京五輪が迫っておりますが、今回は「五輪の限界」について取り上げてみたいと思います。

現段階(2月17日収録)では、大会組織委員会の森会長による「女性蔑視」発言と、後任人事(2月18日、橋本聖子五輪担当相が会長職を受諾)を巡っての混乱が続いていますが、まさに東京五輪を開催できるかどうか、最終判断のタイムリミットが迫っています。

というのも、世界各国から選手を東京に送り出すための予算組みの期限が「3月末」という国が多く、更に3月25日からは聖火リレーが開始される予定となっております。

聖火リレーのスタート地点は福島県のサッカー施設ですが、先日、震度6強の地震に見舞われました。

世界中に「フクシマ」で「大震災の余震が続いている」という報道がなされたことは、不安要素となってしまいました。

◆IOCはなぜ「開催中止」を宣言できないのか?

そもそも、東京五輪が完全な形で開催できるのかといえば、全世界のコロナ感染が終息しない以上、難しい状況です。

一方で、開催の決定権を持つIOC(国際オリンピック委員会)が、自ら「開催中止」を言い出せない理由があります。

その一つが放送権収入です。

五輪によってIOCは巨額の放送権収入を得ていますが、IOCが自らの責任で「開催中止」と言ってしまうと、放送権の購入者から損害賠償請求をされ、巨額の損失を被らなくてはならない可能性があるわけです。

IOC元副会長で、名誉委員でもあるケバン・ゴスパー氏(豪州)は「開催可否の判断を、国連に委ね、それをIOCが受け入れる形にしてはどうか」という提案をしています。

◆東京五輪に関する経費はとてつもない規模に・・・

また、受入れ側の日本政府が「できません」と口が裂けても言えないのは、投資したお金の回収が見込めないからです。

五輪開催の経費は、既に、とてつもない規模になっています。

延期に伴って約3000億円の支出が増え、大会経費の総額は、国・都・組織委員会を合わせて1兆6,440億円となり、五輪の経費としては過去最大です。

更に、開催とは直接関係のない五輪関連支出が、国の予算としては1兆600億円、東京都として7,770億円が計上され、総額は3兆円以上に上ります。

◆花見酒経済の終焉で増税のツケが国民に?

しかも、1,500億円以上かけて建設された新国立競技場をはじめ、多くの会場が、「結局使われない」ということになりかねず、その後は民間主導で活用し、投資を回収する努力が必要となります。

巨額のコロナ対策の経費と併せて、「大増税」となって国民にツケが回ってきかねない状況です。

経済を吊り上げる効果を狙っての「打ち上げ花火としての五輪」というのは、失敗に終わったといえるでしょう。

また、安倍政権からの路線であった外国人観光客、五輪、カジノ等に頼った「花見酒経済」に依存し、経済を持ち上げようとしたことの限界が露呈してしまった、何よりの証拠ではないでしょうか。

◆紛糾する東京五輪、花が添えられた北京五輪

東京五輪が紛糾すればするほど、「それに比べて」という図式で目立ってくるのが、2022年に迫る「北京五輪」です。

後任人事で紛糾する東京の様子は、「民主主義の脆弱さ」をあざ笑うように、全体主義国家の北京五輪に花を添えてしまっています。

中国では、2008年に北京で夏季五輪が開催されましたが。2022年は習近平政権下での初めての五輪開催となります。

予定では東京五輪の半年後になるので、東京五輪の開催可否は、北京五輪の開催可否とも密接にかかわっています。

◆北京五輪開催を巡る世界各国からの反発

北京での五輪開催を巡って、米議会で大きな動きがありました。

2月3日、共和党の上院議員5人が、「2022年の北京冬季五輪の開催地変更」をIOCに求める決議案を提出したことを明らかにしています。(2月15日には、上院に続いて下院でも、共和党議員から開催地変更とボイコット決議案が提出されている)

リック・スコット上院議員は声明で、中国政府によるウイグルでの集団虐殺、香港での人権制限や台湾への恫喝等を挙げ、「2022年の五輪開催は許されるべきではない」と述べています。

こうした動きに対して、中国外務省は「スポーツを政治化する試み」と猛反発しています。

北京五輪を巡っては、昨年10月、英ラーブ外相も不参加とする可能性を示唆しており、中国との対立が深刻な豪州でも、アベッツ上院議員が「自由を愛する国々が北京に『もううんざりだ』と言う時が来た」と述べ、複数の国会議員が北京五輪をボイコットすることを豪政府に求めています。

また2020年9月、世界160余りの人権団体が、香港での国家安全維持法による人権弾圧、ウイグル人の強制収容といった人権侵害を非難し、IOCに連名で「北京五輪の開催撤回」を求める要望書を提出しています。

(つづく)
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釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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