このエントリーをはてなブックマークに追加

中国「対中包囲網」切崩し。菅政権は甘言に騙されるな!【前編】

https://youtu.be/uyE-fld2FWg

幸福実現党党首 釈量子

◆習近平は米国衰退と中国台頭を予想!?

11月25日、中国習近平主席が、アメリカ大統領選で当選を確実にしたとされるバイデン氏に祝電を送り、同時に、中国主導の経済覇権を握ろうと動きを強めています。

すでに10月末に開かれた中国共産党の「第19期 中央委員会 第5回全体会議」(「5中全会」)でコミュニケ(公式声明)を発表しました。

その中で、「国際的なパワーバランスは大幅な調整が起きる」「今世界は、この100年間で見たことのない大きな変化を経験している」と述べています。

この表現には、コロナ後の世界秩序の中で、米国が衰退し中国が台頭するという意味が含まれています。

もともと習近平政権は「塑造周辺(自陣営の周辺国をつくれ)」という外交方針のもとで、米国との覇権争いに備え、東アジア諸国との経済的なつながりを強めてきました。

そうした中国の外交方針を具体化する形で、11月15日、ASEAN+5カ国の計15カ国による「東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)」の合意をしました。

そして20日に開かれたAPEC首脳会議で、習近平国家主席は「環太平洋経済連携協定TPP」への参加を「積極的に考える」と表明し、東アジアの自由貿易を推進する姿勢を強調しています。

さらには、日中韓の自由貿易協定(FTA)の交渉も進めるつもりです。

これはアメリカがコロナ対策や景気対策に当面追われることを見越して、アジアの貿易や投資のルールづくりの主導権をいち早く握りたいと考えているためです。

◆菅政権は中国の甘言に騙されるな!

中国にとって、アジアで経済覇権を握るために、最も取り込みたいのが、わが国日本です。

24日、中国の王毅外相との会談後の共同記者会見で、茂木外相は、尖閣沖の中国公船による領海侵入を取り上げて「前向きな行動」を強く求めたと言います。

これに対して、中国の王毅外相からは、尖閣諸島の領有権について中国側の主張を滔々と述べるという異例の事態となりました。

翌25日の菅首相との会談でも、菅首相は尖閣諸島をめぐる日本の立場を主張しています。

しかし、今年だけで、中国海警局の船が尖閣周辺を300日以上、ほぼ毎日航行し、近く、中国は海警局の船に武器使用を認める法案も成立させる予定です。

尖閣に関して一歩も譲るつもりのない中国に対して、日中の安全保障面の溝が埋まるわけがありません。

にもかかわらず、日本政府は、政治と経済を分離して、「ダブルスタンダード」で、経済交流だけを推進するという姿勢を見せています。

外相会談、菅首相との会談でも、日中の共通課題として、コロナウイルスの感染拡大による経済的打撃について取り上げられました。

その中で、ビジネス関係者の往来を11月末に再開し、今後、日中の経済分野での協力を強化することになりました。

また、2021年の東京オリンピック、2022年の北京オリンピックの相互協力も確認しています。

まるで、感染の少ない日中は、お互いだけ自由に行き来して、日本が中国から二国間だけでも経済発展を続けようと取り込まれているように見えなくもありません。

しかし、これは国益にかなうのか、大いに疑問です。

◆ブータン国境で中国が建設工事

日本メディアはほとんど取り上げていませんが、アメリカの衛星運用会社が撮影した10月28日の写真に、ヒマラヤ山脈沿いのブータンの領土に、中国の大規模な建設活動が行われていたことが判明しています。

CNNの報道では、場所はヒマラヤ山脈のブータン、インド、中国の3か国に接し、2017年に中国が勝手に道路建設を行ってブータンが抗議しました。

ブータンは軍事的にはインドに依存していて、インドのシンクタンクのマノイ・ジョン氏は、次のようなコメントを紹介しています。

「2017年の後、中国はインド側同様、国境側付近の自国領にほとんど人が住んでおらず、パトロールが難しいことを理解した。今や現地に事実を作り上げ、常にそこにあったと主張できる。ブータンが抗議しなければインドができることはほとんどない。」

これは、まるで尖閣領海侵犯を常態化した中国のやり方と共通します。

(つづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

page top