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CO2排出量実質ゼロがもたらす日本の安全保障危機 【前編】

https://youtu.be/eqPU4TAIgVw

幸福実現党党首 釈量子

◆「カーボンニュートラル」とは何か

アメリカ大統領選挙が混乱する中、気候変動、温暖化防止のための「パリ協定」から脱退宣言したトランプ氏を「非科学的だ」と批判していた勢力が、一斉に色めき立っています。

日本でも、菅首相が、大統領選に先立つ10月26日、所信表明演説で「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言いたしました。

小泉環境相も「バイデン氏になったら日米関係はカーボンニュートラル同盟だ」と発言しています。

日本のエネルギー自給率は2018年現在11.8%。資源のない日本にとって、エネルギーは国家安全の根幹中の根幹です。

まず「カーボンニュートラル」とは、そのまま訳すと「炭素中立」ですが、二酸化炭素の排出をゼロにする、ということではありません。

「二酸化炭素の排出量と森林などで吸収されたり、排出量の取引などを通して、全体として均衡させて「実質ゼロ」にすることを意味します。

これは、2015年にフランスのパリで国連変動枠組み条約締約国会議(通称COP21)が開催され、ここで「パリ協定」が採択されたことに基づきます。

最近は「気候変動」ではなく「気候危機」という言葉が使われ始め、「パリ協定」では「地球の平均気温を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことを各国が合意したわけです。

ところがその後、2018年に韓国で開催されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会で、「1.5度特別報告書」が採択されました。

この内容が、2018年末ポーランドでの「COP24」の議論に反映され、世界各国で「2050年排出実質ゼロ、カーボンニュートラルを目指す」と宣言する動きが一気に出てきたわけです。

◆トランプ氏は「温暖化全体主義」と戦った

しかし、こうした「温暖化の原因は二酸化炭素なのか」という世界中の「思い込み」をバッサリ一刀両断したのが、トランプ大統領でした。

アメリカの海洋大気庁(NOAAノア)が「人工衛星から測定した温度によると、IPCCの示す測定データに比べてはるかに温暖化が緩やかであることを示しています。

そもそも「IPCC1.5度報告書」の前提となったコンピューターによるシミュレーション「世界気候モデル(GCM)」も、二酸化炭素の果たす役割が過大評価されている、と指摘する学者もいます(気象学者J・レイ・ベイツ教授)。

そもそも地球温暖化は、今日のように化石エネルギーを使用していなかった1850年ごろに始まっています。人為的な二酸化炭素が大量に増えたのは、戦後の1946年からです。

現実には、地球は温暖化と寒冷化を繰り返しているという自然のサイクルだという説のほか、太陽活動の活発化、地軸の傾きなど、二酸化炭素よりも地球の気温により大きな影響を及ぼしていると指摘する地球物理学者もいます。

現在、二酸化炭素温暖化論に疑問を呈する政治家や科学者にレッテルを張り、マスコミがセンセーショナルに取り上げていますが、これは地球規模で「炭素全体主義」まかり通っているといっていいでしょう。

◆化石燃料から急激に脱却したら日本は…

世界120か国以上が「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、バイデン氏も大統領選挙の公約で掲げています。

バイデン氏は、4年の任期中に2兆ドルを投資する予定で、その予算を捻出するために、軍事予算の削減が予想されます。

ちなみに中国は2050年ではなく2060年にカーボンニュートラルを目指すといっています。

日本では、すでに安倍政権で「2050年に80%削減」という長期目標を掲げていた時点で、かなり野心的と言われていました。

工場や家庭では石油やガスを一切使わず、自動車や航空機もすべて二酸化炭素の排出をなくし、火力発電をすべて止め、一部の産業以外の二酸化炭素排出は認めないとしないと、実現できない水準だったわけです。

それを超える「2050年カーボンニュートラル」は、民間に相当な負担を強いるのは間違いありません。

当然、民間からは「国がやるというなら、それなりの措置を講じてください」と、国の投資がなければできないと、口を揃えて主張している状況です。

では、具体的に、どのようなことが心配されるのでしょうか。

(つづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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