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米国が警戒する中国共産党のデジタル・レーニズムとは?【後編】

※本日は前回に引き続き、後編をお送りいたします。

(広報本部)

■米国が警戒する中国共産党のデジタル・レーニズムとは?【後編】

https://www.youtube.com/watch?time_continue=5&v=j8HueuQd0UY

【対談】釈量子党首×渡瀬裕哉氏(パシフィックアライアンス総研所長)

◆次期米大統領選の行方

釈:米大統領ですが、この時期にウクライナの問題が出ています。

渡瀬:大変ですね、あのようなスキャンダルも。

大統領選全体の状況ですが、トランプ大統領が出てくるというのは、共和党の全国委員会でオーソライズされているので、ほぼ決定です。

民主党は二つに割れていて、バイデン元副大統領とペロシ下院議長のグループの中道派、どちらかというと民主党の中でも、まだ共和党と妥協もできるグループがいます。

もう一つは左派で、サンダースやウォーレンという、結構狂信的な人たちがいます。

ウクライナの話というのは、バイデン氏が副大統領時代に、ウクライナで息子がやっていた会社に捜査が入ったという話がありました。

そしてバイデン氏から当時ウクライナ大統領にその捜査をやっている検事総長をクビにしてくれと言ったというスキャンダルがあり、その調査をトランプ大統領が今の副大統領に軍事支援と引き換えに頼んだという話です。

この話はまずバイデン氏は自分の息子の話なので痛いのですが、このスキャンダルが本当だとするとトランプ大統領が安全保障という国の大事と引き換えにしたことになるので、トランプ大統領にとっても痛い話です。

◆トランプ大統領弾劾を巡る民主党の思惑

民主党左派にとってはうれしい話で、バイデンさんを倒して自分たちが大統領候補になりたいわけですから。

本当は民主党の中では、トランプ大統領の弾劾というのは、あまりやりたくなかったのです。

バイデンさんがやられているので、今、一気にトランプ大統領の弾劾という話に民主党が流れているという状況です。

釈:ペロシさんも弾劾と言っていましたが、最初はあまり本意ではなかったということですか。

渡瀬:ペロシさんは、本当は弾劾したくない人です。

これには二つ理由があって、一つはインフラ投資、公共事業政策で、トランプ大統領とペロシ下院議長は話がまとまりそうだったのが、弾劾という話が出て流れているからです。

もう一つの理由は、選挙です。クリントン時代に共和党側がクリントン氏を弾劾しようとしたことがあり、逆にやり過ぎだという声が上がって、弾劾した共和党が、そのあと選挙で負けてしまったことがありました。

なので、それと同じことが起きるのではないかと、ペロシ下院議長は心配しているので、あまり弾劾をやりたくなかったのです。

釈:この弾劾の行方は、結局はどのあたりに落ち着くのでしょうか。

渡瀬:結局、上院は共和党が多数を占めているので、これが相当な数、引っくり返らないと、弾劾は正式に可決しません。

その意味では、下院の左派が弾劾だと騒いで、もしかしたらバイデンさんが負けてしまい、左派の大統領候補者が出てきてトランプ大統領と戦うという話になるかもしれません。

これは結構複雑で、トランプ大統領は、弾劾されたら景気対策やインフラ投資ができなくなるので嫌ですけれども、民主党が左派の大統領候補者になると、トランプ大統領は勝てる可能性があります。

釈:サンダースやウォーレンなら勝てる。

渡瀬:イメージとしては、バイデンは野田元首相で、サンダースは枝野幸男。ウォーレンは山本太郎です。

釈:なるほど。位置づけがすごくわかりやすい。

渡瀬:今、山本太郎というか、ウォーレンがバイデンに勝ちそうですね。

となると偏っていると思うアメリカ国民が多いはずなので、「じゃあトランプでいいか」という人が増えそうということです。

◆トランプ再選は五分五分

釈:トランプ大統領の再選の行方は、どうでしょうか。

渡瀬:これは今、五分五分です。

釈:五分五分!?

渡瀬:前回の大統領選挙と比べると、難しくなっています。

釈:でも、経済はかなり好調で来てて・・・。

渡瀬:米中貿易戦争が結構響いています。

それを補うためにFRBの利下げをやるというのは、追い込まれてしまっている、あとは景気対策のインフラ投資をやらなければいけない。でもこれも弾劾で難しくなっているので、景気がよくならないのです。

前回の大統領選の勝敗を決めたのは、ラストベルトという製造業地帯でしたが、ここは今、トランプと民主党候補者たちは互角でいい勝負をしています。

でも、8月初旬の世論調査では、本丸のテキサス州でバイデンとサンダースに、トランプは支持率で負けています。

これはどういう状況かというと、徳川家康が関ヶ原ではいい勝負をしているけれど、それをやっていたら本丸の江戸が落ちちゃったという状態です。

釈:なぜテキサスがそんな状態になったのですか。

渡瀬:メキシコからヒスパニックがどんどん入ってきていて、今、白人の人種構成が50%以下になったというのが一つです。

二つ目は、カリフォルニアなどでお金を稼いだリベラルな金持ちが、テキサスに引っ越してくるからです。

テキサスは税金が低いので、普段は税金を上げろと言っている連中が、テキサスに引っ越してきて、「これは税金上げた方がいいんじゃないか」とわけのわからないことを言ってリベラル化しているというのが、一つあります。

三つ目に、トランプ大統領は関税政策で中国ともめていますが、テキサスは輸出が盛んなので苦戦しているからです。

前回は中西部のラストベルトを取ればよかったのですが、今は守りもやらなければいけない。これは難しいです。

四つ目は、前回の大統領選はどちらになるかという勝負でしたが、今回は議会もみなければいけません。

前回、議会は共和党が勝つとわかっていましたが、今回は、議会は民主党が強いかもしれない。全部民主党になる可能性もゼロではないというぐらい、今は危機的な状態です。

釈:これはアメリカの危機でありながら、日本の危機でもありますね。世界にとっても、そうなると中国の「デジタル・レーニズム」が広がるということにもなります。

渡瀬:そうなると、景気も悪くなることは、間違いないです。

釈:世界中は全部つながっていますので。

今日は俯瞰した形で、アメリカの政治、アジア、大統領選をみてまいりました。本当にわかりやすかったと思います。またぜひよろしくお願いいたします。

webstaff

執筆者:webstaff

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