破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!! 【前編】
※今回は、下記の映像からお送りいたします。 (広報本部)
破綻か?再建か?日本の年金問題を斬る!!~5年に1度の年金財政検証~(及川幸久)
幸福実現党 外務局長 及川幸久
◆「財政検証」は年金制度の健康診断
8月27日、厚生労働省が5年に1回行っている年金の財政検証の結果が発表されましたが、これは要するに、今の年金制度の健康状態を診断するようなものです。
その結果、何がわかったかというと、要するに「公的年金」の健康状態がだんだん悪くなってきて、今までは「100年健康だ」と言われていたはずなのに、だんだん、100年はちょっと危なくなってきたなというわけです。
どういうことかと言うと、少し専門的になりますが、「所得代替率」という「年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合か」を表す指標があり、現状として「50%」という無理のある想定がベースとなっているのです。
そして、その指標をベースに「(平均所得の)50%は必ずもらえますよ、100年安心ですよ」という話だったのですが、その50%がだんだん下がってきているという話です。
100年安心するためには、そもそも年金給付の年齢を68歳、70歳、そして75歳とか、どんどん先送りにしないとならないというのが、財政検証の結果から分かるシンプルな事実です。
◆大炎上した「老後の2000万円問題」
財政検証から少しさかのぼりますが、今年の5月頃、突然「老後の2000万円問題」というものも出てきました。
金融庁から提出されたこの報告書の内容は、要するに「公的年金だけでは足りませんよ。今から一生懸命働いて、毎月ちゃんと貯めて、老後までに2000万円用意して下さい。」というものでした。
これが日本中で炎上しました。100年安心だという話が、いつのまにか自助努力とか言われて、自分で2000万円貯めろという話になってしまったからです。
5月に出てきた老後2000万円問題、そして8月27日に出てきた財政検証。この辺は全部つながっていて、与党にとっては都合が悪く、参議院選挙が終わるまで隠していたのが真相です。
◆「政府君」という友達のたとえ話
ここで、日本で今起こっている年金問題を友人関係のたとえ話を使って説明してみたいと思います。
皆さんの友達の一人に「政府君」という名前の友達がいて、彼は皆さんに、「毎月毎月、3万円貸してくれよ」とお金を借りに来るんです。
政府君は「利息を付けて必ず返す。ただ返すのは、お前が60歳になった時だ。必ず増やして返すから」と皆さんに約束します。
皆さん、とてもいい人なので、その言葉を信じて「わかった」と言って、毎月3万円貸してきました。
ただ、その政府君の仕事ぶりを見ていて、「なんかちょっとこいつの仕事ぶりは、あやしいなあ」と。徐々に自分が貸しているお金を無駄遣いしているように見えてきたわけです。
そこで、政府君を呼び出して、「お前の仕事ぶりを見ていると、とても60歳で増やして返してくれるように見えないけど」と言ったところ、「悪かった」という反省の言葉どころか、「いや、確かにそうだ。60歳までに返せない。約束の年を65歳に延ばしてくれ」と言ってくるわけです。まあ仕方ないということで我慢します。
するとある日、政府君は「借りてきた金を増やして返すのは、もう無理だ。これからは3万円から5万円にしてくれないか」と言ってくる始末。
こうした事態が何度か続き、ついにおかしいじゃないかと言う声を挙げると、政府君は「これからは自助努力だ。ちゃんと働いて、自分で自分金はためろ」と言い始めるわけなのです。
いま、私たち国民と政府の間で起きている関係というのは、こういうことです。
「必ず増やして返す」という約束で、毎月政府にお金を預けていたにもかかわらず、いつのまにかその約束はどこかへいってしまい、返してはくれそうだけど、返してくれる時期がどんどん遠のいて、金額もどんどん減っていっている。なおかつ、それ以外に自分でお金を貯めておけよと。
それが自助努力だというふうに説教されているというのが、今の状態なのです。
皆さん、これをどう思いますか? 私は、政府はもう少し正直になったほうがいいと思いますね。
(つづく)
執筆者:及川幸久