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日本人が目を向けるべき中国での宗教弾圧

http://hrp-newsfile.jp/2019/3473/

幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太

◆加速する「宗教の中国化」

3月5日、中国の国会にあたる全国人民代表大会が北京にて開幕しました。

その中で、寧夏回族自治区がイスラム系少数民族・回族の統制政策を進める方針を明らかにし、習主席が提唱した「宗教の中国化」を先駆けて実行する事を宣言しました。(3/7読売7面)

当自治区では、「ハラル」表記の中国語への書き換えやモスクでの国旗掲揚の強制、建築物の中国様式への建て替え等が行われ、共産党幹部の養成機関では、習主席が行った宗教に関する講話が必須科目となり、「宗教の中国化」を思想的に統一する動きも強化されています。

こうした「宗教の中国化」の成功例として、参考とされるのが新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の弾圧であり、両自治区は協定を結び、「新疆方式」を取り入れることで連携すると報じられています。

こうした動きはムスリムが多く住む甘粛省でも報告され、一気に中国全土に広がる可能性が高いといっていいでしょう。

◆世界最大の宗教弾圧が行われているウイグル

約1100万人のウイグル族が暮らす新疆ウイグル自治区では、100万人を優に超えるムスリムが拘束、強制収容所で棄教やウイグル族の言語禁止、共産党礼賛教育が強制的に行われ、従わなければ男女問わず、過酷な拷問に晒されます。

収容所の外でも、AIによる顔認証、指紋・音声やDNAサンプルなどで個人の動向を徹底的に監視し、信仰心や教義知識、海外との繋がりなどを数値管理化し、「要注意人物」を割り出す仕組みが既に出来上がっています。

それに対し、昨夏から国際社会でも中国のウイグル弾圧を取り上げ始め、米トランプ政権も、ウイグル族に対する不当な人権侵害について、初めて本腰を上げる姿勢を見せました。

2月には民族的にも同じ「テュルク系」の国、トルコも恣意的な拘束や拷問、洗脳による同化政策を非難、収容所の閉鎖を求める声を国際社会に発しました。

◆イスラム諸国が沈黙を続ける理由とは

一方、こうした弾圧に対して、同胞であるはずの他のイスラム諸国は沈黙を続けてます。

2月下旬、習主席は記者殺害事件で欧米からの猛烈な非難を受けているサウジアラビアのムハンマド皇太子を自国に招き、欧米による「内政干渉への反対」を表明、擁護する姿勢を示しつつ、経済関係の更なる深化を約束しました。

一方、オバマ政権以降、対米関係が悪化しているエジプトには、「ニューカイロ」と呼ばれる新首都建設やスエズ運河の拡張、エネルギー施設建設等で、IMFの融資を上回る規模のチャイナマネーが流れ込み、ここ数年で一層存在感を高めています。

イスラム過激派の動向に悩まされるシシ大統領としては、この点でも習主席と利害が一致しており、17年にはエジプトに留学中のウイグル人を拘束、強制送還するという弾圧の助長行為まで行っています。

大国を中心に、「一帯一路」構想に参画するイスラム諸国のほとんどが、同胞への弾圧に沈黙を守り続ける理由の一つが、「中国への経済的依存」を保ちたいためです。

また、もう一点は、「人権よりも社会的安定を優先」という点で中国と「同じ穴のムジナ」であり、非難が自国に跳ね返るリスクがあるからです。

2つの点で利害が一致する中国は、イスラム諸国と米国との隙間風が吹く間隙をぬいながら、関係を深め、同胞たちを弾圧しても、沈黙させるだけの影響力を持ってきたと言えるでしょう。

◆現代の「防共回廊」のカギはウイグルにあり

関岡英之氏の『帝国陸軍知られざる地政学戦略』には、戦前日本がウイグル、回族とも関係を構築し、独立を支援して、反共親日国家を樹立し、中ソによる共産化の拡大を阻止しようとしたという「防共回廊」構想に関して見事に描かれています。

また、現代人よりも遥かに深いイスラムや当地域への造詣を持ち、彼らの独立という悲願を叶えようと一生を捧げた知られざる先人たちの情熱を再認識させられます。

そうした戦前の先人たちの大いなる智慧を継承し、日本はイスラム諸国で唯一、声を上げたトルコと、ウイグルや中国全土に広がるイスラム弾圧について本格的に連携を深めるべきではないでしょうか。

奇しくも、日本・トルコ間の経済連携協定(EPA)の合意に関連し、6月にはエルドアン大統領が来日する見通しとなっているため、そのチャンスを絶対に活かすべきです。

また、中国の「一帯一路」モデルとは一線を画し、技術力や教育力、メンテナンス等の強みを活かしたインフラ輸出等を更に推進し、中国からの脱・経済依存を図っていくべきです。

何より、幸福実現党は日本の政党として唯一、ウイグル弾圧について国連等、国際社会で堂々と訴えて参りました。

民族の誇りや信仰心を強制的に排除し、人間としての幸福感や自由を奪い、思考能力のない機械人間に変えていく―ジョージ・オーウェルの「1984」さながらの思想洗脳が、同時代に行われているという驚くべき事実を、日本の多くの人々に認識頂き、我々の言論に賛同頂けることを心から願います。

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

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