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消費増税まで1年。それでも本当に増税しますか。

http://hrp-newsfile.jp/2018/3447/

HS政経塾 担当チーフ 古川裕三

◆税制改正の議論が本格化

第四次安倍内閣が発足し、2019年度の税制改正に向けた議論が本格化しています。もちろん、その議論の焦点は、いまから1年後の10月に10%へ引き上げられる消費税についてです。

住宅、自動車を筆頭に、耐久消費財ほど消費税の負担も重いため、駆け込み需要と増税後の消費の冷え込みが予想されます。

そうした増税後の消費者の「買え控え」を防ぐため、政府はその対策に躍起になっています。

◆政府の検討案

今回の税制改正の議論では、住宅については、現在の10年間で合計最大500万円軽くなる住宅ローン減税の減税幅の拡充や期限の延長が検討されているほか、一定の条件を満たした住宅購入者に最大50万円支給する「すまい給付金」の給付額引き上げなども議論されています。

また、自動車についても、自動車を取得した年にかかる燃費課税と自動車税を増税後は当面ゼロにするなどの案が出されています。

さらには、企業の設備投資を支援する優遇税制が終了期限を迎えるため、期限を延長するかどうかも焦点となります。

その他、低所得の年金生活者に毎月5000円を支給する制度の実施前倒しや、キャッシュレス決済をした消費者にポイントを付与すること、小売店の「消費税還元セール」の宣伝・広告を解禁することなども検討されています。

◆軽減税率の導入に3000億円不足

来年の消費税引き上げ時には、食料品などには軽減税率が導入される予定ですが、その導入に必要な予算が約1兆円とされているなか、残り3000億円の財源の目途が立っていないといいます。

ただ、今回の軽減税率とセットでインボイス方式の導入が義務付けられていますが、これにより政府は、免税事業者となっている小規模事業者を狙い撃ちして納税額を増やし、それを財源の一つとしているわけです。

免税事業者を納税事業者に変えることによって納税者を増やそうという魂胆なわけですが、小規模事業者を消費税によって「いじめる」と、倒産件数は増え、日本経済を支えるプレイヤーがいなくなり、GDPは減少の一途をたどることになります。

ちなみにインボイス方式とは課税事業者が発行する税額表(インボイス)に記載された税額のみを控除することができる方式です。

インボイス導入後、免税事業者が仕入税額控除を受けられるようにするためにはインボイスを発行する必要が出てきます。

インボイスの発行は免税事業者ではできないため、今まで消費税を納めていなかった事業者は、「生き残る」ために消費税を納める課税事業者にならないといけません。

小規模事業者は、消費税を納めることで利益が圧迫されると共に、過大な事務負担を強いられることになるでしょう。

◆そして、また、バラマキ

2014年4月に消費税が8%へ引き上げられた際、政府は5.5兆円の補正予算を組んで景気対策を打ちました。
具体的には、低所得の住民税非課税世帯に一人当たり1万~1万5千円の現金給付や児童手当を一人当たり1万円の上乗せをして「バラマキ」ました。

この効果は乏しく、実質GDP成長率は14年4月~6月は前期比マイナス1.8%と、駆け込み需要の反動減による景気の腰折れが鮮明となりました。

今回も数兆円規模の景気対策という名の「バラマキ」を実施するでしょうが、同じ轍を踏むことになるでしょう。

◆一番の解決策は、「増税しない」こと

事業者を苦しめ、消費者を苦しめ、日本経済の活力を奪う消費税の増税には断固、反対です。

ばらまいても、一時しのぎにしかすぎません。ばらまくくらいなら最初から、増税しなければよいのです。

幸福実現党は、財政再建は増税によってではなく、名目GDP成長率を上げる事でなしていくのが筋であると兼ねてより訴え続けています。

増税によって消費を止めるのではなく、減税によって消費を促してGDPも増やし、税収も上げます。増税なき財政再建です。

前日銀副総裁の岩田規久男氏は、次のように指摘しています。

「日本は20年間デフレで名目成長率が上がらず、その間、インフレ目標政策を導入した諸外国は名目GDPの3~4%成長を達成し、財政も大幅に改善しました。もし日本が1990年代から量的・質的金融緩和を行っていたら、やはり名目3~4%成長となり、いまごろは1000兆円を超える規模の名目GDPになっていたはずです。」(『Voice』8月号寄稿「消費増税は再延期せよ」より)

さらには、財政再建は、デフレ脱却が最優先であり、増税をカレンダー通りに行うことで果たせるものではないことを氏は強調しています。

日本の新聞は軽減税率の適用を受けているがために、政府から口止め料をもらっているようなものですから、正面を切って消費税の減税を主張することができません。

幸福実現党は今後とも「真なるマスコミ」の機能を果たし、国民の利益、国益を守るために、正々堂々の論陣で戦ってまいります。

参照
・10/4日付 日本経済新聞、読売新聞
・『Voice』8月号
・財務省ホームページ
・消費税の納税を免除される「免税事業者」とは?
 https://keiei.freee.co.jp/2016/10/13/shohizei_menzeijigyosha/
・『松下幸之助の未来経済リーディング』(大川隆法著)
・『未来への国家戦略』(大川隆法著)

古川 裕三

執筆者:古川 裕三

HS政経塾 担当チーフ

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