中国の一帯一路――「闇金方式」で覇権拡大!?
http://hrp-newsfile.jp/2018/3436/
幸福実現党 大阪府統括支部長 数森圭吾
◆中国が進める「一帯一路」
一帯一路とは中国が進める巨大な経済圏構想です。「一帯」とは現代版シルクロード。中国からヨーロッパへと続く陸の経済圏をさします。
そして「一路」とは、中国から東南アジア、インド、アフリカ、ヨーロッパと続く海のシルクロードと呼ばれるものです。
中国は自国が主役となって世界をつなぎ、一大経済圏をつくろうとしているのです。
◆荒れるモルディブ
リゾート地として有名なモルディブで空港の大規模拡張工事が行われています。
その資金は中国の援助によって賄われ、工事のほとんどを請け負っているのは中国企業です。
なぜ中国がモルディブに資金援助しているのか。それは中国の一帯一路が大きく影響しています。
モルディブは一帯一路の海路である一路における重要な場所に存在するのです。観光以外の産業は漁業や農業しかないモルディブは長年財政赤字に苦しめられています。
そこに中国は目をつけ、資金援助をする代わりに一帯一路への協力を要請しました。これに対しモルディブのヤミーン大統領は中国への全面的な協力を約束したのです。
しかし、中国が行っているこの資金援助は無償ではなく「融資」であり、モルディブにとっては借金となるのです。
その結果、モルディブの対外債務の7割以上が中国に対するものになってしまっています。
◆闇金のように他国の資産を狙う中国
実は中国はモルディブがこの巨額の借金を返済しきれないことを知っているのです。
それでも融資し続ける目的は、返済が滞った場合に「借金のかた」として現地の土地や港、飛行場などを軍事的な目的も含めて中国が使用できるようにすることだと言われています。
つまり、中国は一帯一路のルートに関係する場所にある財政難国家を資金援助というかたちで自国の影響下に置こうとしているのです。
このような事例はモルディブだけでなく、モンゴル・ラオス・キルギス・タジキスタン・パキスタン・ジブチ・モンテネグロなど、一帯一路の要所となる国々ですでに存在しており、中国はその影響力を強めています。
◆一帯一路を阻むマレーシア
マレーシアは中国の一帯一路において欠かせない重要国です。
同国では一帯一路の要となるタイからクアラルンプールまでをつなぐ「東海岸鉄道」の建設や、港の大規模拡張工事が着工されました。
これらは総工費1兆6000億円以上という巨大プロジェクトで、親中派であるナジブ前首相がすすめたものでした。
しかし今年5月、マレーシアにおいてマハティール首相が誕生します。マハティール首相は前政権が推し進めた、中国が深く関係するインフラ事業の見直しを実行しました。
結果、東海岸鉄道の建設は中止となり中国の一帯一路にとっては大打撃となっています。
マハティール首相は中国マネーの怖さを熟知しており、将来的な国益を考えたときにリスクが大きいと判断したと考えられます。
◆アジア圏における自由・民主を守るために
現状、日本は残念ながらこれらの中国の動きに対して存在感を発揮することができていません。
日本は今年6月、経済インフラ会議でアジアへのインフラ輸出において中国と連携するという方針を決定しました。
これは日本が中国の一帯一路へ協力することも視野にいれたものとも言われています。
この日本政府の方針の背景には中国の暴走を止めるための策が含まれていることを信じたいところですが、不安感を持たれる方が多いのではないでしょうか。
最近の日中の融和ムードのなかにおいても未来を見据え、自由や民主を守るために日本はアジア諸国との連携を強めていかなければなりません。