地産地消と地域農業活性化の新たな拠点づくり
http://hrp-newsfile.jp/2018/3430/
幸福実現党公認 薩摩川内市議会議員 松澤 力
※今回は、地域再生や農業再生の先進事例として愛媛県今治市の農産物直売所「さいさいきて屋」をご紹介させていただきます。
◆「さいさいきて屋」のレジ通過1000万人を突破
高齢化による担い手不足や兼業農家・小規模農家の農協離れに伴う集荷量減少に歯止めをかけるため、2007年4月にオープンした愛媛県今治市のJA越智今治農産物直売所「さいさいきて屋」のレジ通過客が2018年3月5日に1000万人を突破しました。(3/6・愛媛新聞)
この店舗は、1.6ヘクタールの敷地面積に約500坪の直売所と、その直売所に持ち込まれた農林水産物を活用した料理が食べられる食堂・カフェが併設され、料理教室等が行えるキッチンも整備されています。
さらに、直売所には地元で水揚げされた魚介類の販売所も常設されています。
さいさいきて屋の2016年度の売上高は約22億円でJA運営の直売所で全国3位となっており、2017年の利用客数は、商圏人口が約10万人にもかかわらず、約100万人となっています。(3/6・愛媛新聞)
平成23年度には様々な取り組みが認められ、日本農業賞の特別部門である第8回食の架け橋賞の大賞を受賞しております。
利用客からは「安全安心な地元の野菜や果実などが豊富」と魅力を語る声が多数出ています。
◆生産者会員94人のスタートから約1,300人へ
さいさいきて屋は、JA越智今治の企画により2000年に小さな直売所としてオープンしました。
当初は、市内中心部に近い住宅地にあった約30坪の空き事務所を改装し、生産者会員94人でのスタート。初年度から当初の想定を上回る売上があり、生産者会員も増加しました。
そして2年後には、郊外にあったAコープを改装して2号店がオープンしました。その後、売上が着実に伸び続け、生産者会員も約800名を突破して店舗も手狭になったため、国道沿いに移転オープンしたのが現在のさいさいきて屋になります。
現在、農産物直売所「さいさいきて屋」に出荷する農家約1,300人のほとんどは、高齢・小規模・兼業農家の方々です。
少量生産の農家に「きゅうり一本でも出してほしい」と呼びかけ、自分たちで育てた新鮮な農産物に値段を設定し自身の名前を付けて販売する喜びに、農家の方々が目覚めました。
また、市場に出荷したくても農産物の出荷量や規格などのハードルに苦しんでおられた少量生産の農家の方々に、販売できる道を開くことになりました。
◆売れ残りが日本一少ない直売所を目指して
さいさいきて屋では、持ち込まれた農林水産物の売れ残りが日本一少ない直売所を目指して取り組みが進んでおりまして、直売所に持ち込まれた農産物を乾燥粉末やペースト加工して、直売所やカフェで様々な商品を開発して販売しております。
また、地元企業と連携し、直売所の持ち込まれた農産物を使用したドレッシング、コロッケ、レトルトカレーなど様々なプライベートブランド商品開発・販売を行う等、地域経済の活性化にも貢献する事業になっています。
直売所の近くに併設されている農地では、子供達用の学童農園、市民に手軽に農業を体験してもらうための市民農園、本格的に農業を仕事にしたいと考えている人向けの貸し出し用ビニールハウス等があり、農産物の生産過程も学ぶことができる施設になっています。
◆高齢・小規模・兼業農家の方々に「収入」と「生きがい」を提供
さいさいきて屋には営農指導員が常駐して、農産物の栽培指導や栽培講習会を行い、販売促進のためのパッキング講習やPOSシステムの見方から学ぶマーケティング講習なども開催しています。
生産者の方々は、直売所で少しでも良い売場を確保しようと、早朝から行列ができるようになっています。
高齢農家の中には、直売所から毎日配信される自分の商品の売上メールが届くことをとても楽しみにされている方がいるほど、直売所の事業を通して、高齢・小規模・兼業農家の方々に「収入」と「生きがい」を提供しています。
さいさいきて屋の取り組みを通して、農家と消費者を結んで地産地消を推進し、お客様だけでなく農業・地域も活性化する直売所づくりを行っています。
今後、年金・医療・介護などの社会保障費が年々増大していく中、各地域・業界においても、特色や強みを活かしながら、元気でやる気・経験を持っておられる高齢者の方々が生涯現役で仕事ができる働き方を創造していくことは非常に重要であると考えております。
幸福実現党としても、こうした先進事例に学び、今後も地方自治体の自立的な発展を実現していくため、新たな挑戦を続けて参ります。