地方の商店街が抱える問題
http://hrp-newsfile.jp/2018/3422/
幸福実現党国防部会会長 新潟県阿賀野市議会議員 横井 基至
◆商店街の現状
商店街の数は全国的に減少しており、私の地元である新潟県内の商店街数は平成29年では276団体。平成17年は431団体でしたので、ここ12年でなんと約半分に減少しています。
商店街実態調査が行わるのは3年に1回。次に国の調査結果が出るのは平成31年3月ですので、昨年新潟県が調査したデータをもとにさせて頂きます。
また、近年3年間の商店街への来街者数・売上高はいずれも約7割が減少しています。
商店街にシャッターが下りている店舗が増えるどころではなく、商店街そのものがなくなっていっているのが現状です。
この問題をどうやって乗り切ればいいのでしょうか。
商店街がより利用されるためには、魅力ある店舗の充実や大型店との差別化が必要であるとの意見が多い一方、商店街の取り組みはイベント等が大半であり、魅力ある店舗をつくるために必要と考えられる施策、アドバイザーの活用や一店逸品運動、新商品開発などの事業は行われていないのが現状です。
◆商店街が抱える後継者問題
さらに商店街の抱える問題として、経営者の高齢化による後継者問題、集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い、店舗等の老朽化などがあげられています。
地方は就学・就労による中央への流出に歯止めがかからず、後継ぎが県外に出たっきり帰ってこない、また企業に就職をするなど、家族経営や一人店主にとって後継者不足は目の前に迫った大変切実な問題です。
しかし商店街へのアンケートによれば、後継者不足が商店街の抱える問題としてトップに挙がっている割に、後継者育成対策を講じていないと答えた商店街は93.7%でした。
どの自治体も中小企業への事業継続やにぎわい創出のための支援を行っており、成果を出している自治体もありますが、ピンポイントに後継者育成対策というとなかなか難しい問題があります。
後継者問題はその事業を継いで、家族を養えるだけ稼げるかという問題と、家族関係や考え方の問題があり、後者への政治的アプローチは直接行えないので、教育や地域のつながりをつくるなど、現時点では社会環境をじわりじわりと変えていくしかないと思われます。
◆活性化へ求められる施策
続いて『商店街が行政等に求めること』というアンケートの結果は、「意欲ある個店への支援による商店街の活性化」が56%とトップでした。
続いては補助事業、低利融資、組合員の意識啓発とあり、その次に「特に望むものはない」というのが14%もありました。
長年地元企業のマーケティング部門に関わっている方の話によれば、この「特に望むものはない」の回答にこそ自治体は注目しなければならないということでした。
というのも、これだけ地方の経済が低迷している中、無関心やあきらめに対する意識改革こそ政治主導で行わなければならないのです。
今後の政治は、地方にお金をばらまき、人を中央から地方に戻すだけでは、地方の衰退は止めることはできません。
地方にはそれぞれの事情がありますので、官民一体となりその地域で生活する人々が主体的に考え行動し、どのような未来像を描いていくかにかかっています。
主体となる住民の声と実態を調査し、我がまちの発展の方向性を決め、心に寄り添い、励ましあい、根本的諸問題解決へと必要な施策を講じていく必要があります。
参考:H29年新潟県商店街実態調査