このエントリーをはてなブックマークに追加

早められたイラン核合意離脱の真意――トランプ大統領はイラン・北朝鮮の核を許さない

http://hrp-newsfile.jp/2018/3366/

幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太

◆早められた合意破棄の発表

米国・トランプ大統領は8日午後、イランと欧米関係6カ国が締結した核合意から離脱することを発表しました。

その会見の中で、トランプ大統領はイランとの核合意を改めて辛辣に批判したうえで、最高レベルの経済制裁を科すと表明。

そして、イランが核開発計画を放棄しなければ「今までにないほどの大問題に見舞われる」と警告を投げかけました。

また、金正恩委員長の名前も挙がり、来たる米朝首脳会談の内容を想起させる言及や、日中韓との協力という言葉が出てきました。

予定されていた12日の発表を大幅に早め、日中韓首脳会談の日に合わせてきたトランプ大統領の意図があるようにも感じます。

◆イランとの「核」対話路線が中東の混迷を助長させた

さて、「核なき世界」を提唱し、就任早々にノーベル平和賞を受賞したオバマ前大統領が、自身の集大成の「レガシー」として注力したのが、このイラン核合意です。

この合意はイランが核開発を大幅に制限する代わりに、国際社会は経済制裁を解除するという取引でしたが、合意に至るまで「イランは未だかつて一度も核兵器開発を目指したことはない」という前提条件で協議されてきました。

しかし、イスラエルは4月末、イランが密かに核兵器開発を推進してきた「アマド計画」に関する証拠文書の存在を公開し、イランの虚偽に基づいた核合意を改めて批判しました。

トランプ大統領も昨日の会見の中で「イランの約束が嘘だという決定的な証拠がある」と述べていますが、当の本人は2016年の選挙戦の最中から、この合意内容の真偽や実効性に対し、既に強い不信感を露わにしており、再協議、または破棄すべきだという事を公言してきた経緯もあります。

オバマ氏は一貫してイランとの融和・対話路線を採ってきましたが、これが皮肉なことにイランの野望を増長させ、シリアを中心に中東全域の混迷を助長する結果となりました。

オバマ氏の8年間で更に複雑に絡み合ってしまった中東情勢を正常化させる第一歩として、トランプ大統領による核合意離脱は歴史的な分岐点と言っても過言ではありません。

◆核合意離脱は北朝鮮に大きなインパクトを与える

また、この核合意離脱は今後の米朝首脳会談の動向にも大きな揺らぎを与えることは間違いなく、少なくとも北朝鮮にとっては大きな衝撃であったはずです。

もともとイランと北朝鮮は80年代からつながりが深く、近年では核ミサイル開発で協力関係にあることは公然の事実であり、トランプ大統領は両国の深いつながりについて明確に認識し、言及もしています。

また、両国が国際社会から経済制裁措置を受けている間も、独自のルートを活用した武器弾薬等の取引が横行し、実際に中東・アフリカの戦場で多くの北朝鮮製の武器弾薬が使用されている痕跡もあります。

要するに、どちらかが核ミサイル開発を完全に成功させれば、どんなに厳しい制裁が引かれていても網の目をかいくぐって、直ちに核兵器が拡散する可能性は極めて高いということになるでしょう。

メディアの中には「イランに対する厳しい核合意離脱に比べ、北朝鮮との非核化の合意形成については楽観的すぎる」という批判的な見方もありますが、核弾頭の開発においてイランを先行している北朝鮮に対して、トランプ大統領が手を緩めるとは考えられません。

「完全なる核廃棄、それが出来なければ先制攻撃を正当化」が持論のボルトン氏の起用、直後のシリア攻撃を両国へのメッセージと考えれば、今回の離脱は北朝鮮に対して「時間稼ぎの対話と秘密裡の開発はこれ以上許さない」という明瞭な一線をトランプ大統領は示したと言えるでしょう。

◆イスラエル、サウジアラビアから考える日本のあるべき姿

そんな最中、日中韓首脳会談を迎えましたが、日本はどうあるべきなのでしょうか。

シリア、レバノン等でのイランの勢力伸長に大きな危機感を募らせてきたイスラエルは同盟国の判断に完全なる支持を表明する傍ら、国境付近でイラン系勢力との一触即発の状態が続く中、自国防衛のために、米国に依存することなく先制攻撃を辞さない姿勢を示しています。

サウジアラビアも米国協力のもと原子力開発に着手し、核保有の可能性に言及するなど、イラン核保有となった際には、直ちに自国と中東の安定を守る体制を確立しようとしています。

翻って、日本の国会審議では野党のボイコットや国家の一大事とは程遠い枝葉の議論で終始し、憲法改正の議論は遅々として進まない状況です。

北朝鮮の完全なる核廃棄を米国が確実に実現すべくバックアップしながらも、イスラエルやサウジアラビアの姿勢に倣い、いざという時には自分の国は自分で守れる体制を構築すべく、憲法改正を推し進めていく使命が日本の政治家にはあるのではないでしょうか。

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

page top