豪州沖墜落事故――オスプレイはなぜ必要なのか
http://hrp-newsfile.jp/2017/3257/
幸福実現党 広島県第2選挙区支部長&HS政経塾5期卒塾生 水野よしひろ
◆反対の声が再び大きくなる「オスプレイ」
8月5日午後、米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイが豪州沖で墜落し、日本政府は6日、オスプレイの国内飛行自粛を米国へ要請しました。
しかし、米国側はオスプレイの安全を確認し飛行を継続するとの声明を発表しました。
オスプレイは、沖縄の基地問題と関連して、沖縄県知事を中心に危険なシロモノとして発信されており、それはマスメディアでもよく取り上げられています。
もちろん、豪州での墜落事故の原因に関しては、しっかりと検証し改善すべきではありますが、北朝鮮や中国の有事がいつ起きるか分からない中で、オスプレイを安易に排除する方向は行き過ぎているでしょう。
◆「オスプレイ」とは?
現在、沖縄県の米軍普天間基地には、海兵隊向けティルトローター機のMV-22オスプレイが配備され、陸上自衛隊もMV-22に近い仕様のものを配備しています。
ティルトローター機とは、ヘリコプターの垂直離着陸機能と、飛行機の特長である速さの利点を兼ね備えた航空機のことです。
特に、飛行機の速度を有するので、長い航続距離を飛行でき要員や物資の輸送活動を通じて、国境に近い離島防衛や、滑走路がない遠隔地の人命救助ができるなど大きな成果を上げることが期待できます。
◆安全性の検証
では、実際の安全性はどうでしょうか?
日本のマスメディアは、心配な点を並べあげて不安を煽っていますが、「事故率」を指標とし、各種軍用機と比較するとどうなのかわかります。
2012年8月15日に提供された米側の資料には、MV-22の事故率は、米軍運用航空機の中でも平均以下であることが示されています。
つまり、海兵隊機の中でも安全上筋がいい航空機であることがわかります。そもそも、もし本当に危険な航空機であれば、海兵隊員や米軍将兵など多くの人々の命を託して世界中の空を飛ぶ輸送機にV-22を選択し、部隊配備の決定をするはずがありません。
◆民間開発が進むティルローター機
また一方で、有力ヘリコプターメーカーである「レオナルド・ヘリコプターズ」により、V-22と全く同じコンセプトの民間用ティルローター機AW609の開発も進められています。
現在2018年のFAA型式証明取得を目指して飛行試験を実施しており、受注機数も50機以上を得ているようです。
もちろん性能も通常のヘリコプターの速度の2倍、航続距離もおよそ2倍であると言われています。
民間機の安全性は、軍用機に比べて、格段に高いことが求められるので、V-22と同じ技術をもつ民間機ができ受注もあるということは、世界的には危険なものと見なされていないこともわかります。
◆北朝鮮・中国の有事に備えて重要なオスプレイ
ましてや日本を取り巻く国際情勢は、国防強化まったなしの状況になっています。
米国は、北朝鮮が米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を持ち、ICBMに搭載可能な小型弾頭の開発に成功したと分析しており、米国と北朝鮮との間で緊張感がピークに達してきています。
もし、米国と北朝鮮との間で戦争が起きた場合は、日本国内はもとより、韓国に住む日本人約4万人の救出も考えなくてはいけません。
その際に、例えば、2012年10月に米軍海兵隊普天間基地に配備されたティルローター機MV-22があると、在来のヘリコプターと比べ、最大速度は約2倍、搬送兵員数は2倍、貨物搭載量は約4倍、行動半径は600kmで約4倍となり沖縄本島から尖閣諸島までは悠々といけます。
また、空中給油を使えば、1100kmまで拡大することも可能で、遠隔地における有事の際の輸送や救出活動において大きい役割を演じるだけでなく、災害発生に即応して被災地へ急行し、支援活動や救出活動にも威力を発揮することができるのです。
こうした、国防と災害の視点からも、「オスプレイ=危険、悪」といったイメージを払しょくし、北朝鮮・中国の有事に早急に備えていく必要があるでしょう。
<参考図書>
「航空機産業と日本-再成長の切り札」中村洋明
8/10 中国新聞、読売新聞