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台湾の独立を守れ

HS政経塾 担当チーフ 古川裕三

◆台湾海峡に中国空母が進入

11日、台湾の蔡英文総統が中米4カ国歴訪中の間隙を縫って、中国初の空母「遼寧」の艦隊が同日午前7時、台湾の防空識別圏(ADIZ)の西南区域内に進入しました。

事実上の停戦ラインとなっている台湾海峡の中間線の中国側を北に向かって航行したということです。
(産経ニュース:http://www.sankei.com/world/news/170111/wor1701110008-n1.html

3日には、ドナルド・トランプ米次期大統領が1979年以来のタブーを破って、正式な外交関係のない台湾の蔡英文総統と電話会談したことについて、中国外交部が「米国の関係各方面に厳正な申し入れをした」と明らかにしたばかりですが、この空母進入の動きは米台接近に対するけん制でしょう。

◆台湾とアメリカの関係

大東亜戦争終結後、1949年、毛沢東に敗れた中華民国と国民党は、台湾に移動しました。

中華民国が国連代表権を維持し、欧米諸国には唯一の中国政府と承認されていましたが、1971年に国連総会が、中華人民共和国を唯一の中国の正統な政府と承認し、中華民国は脱退を余儀なくされました。

そして1972年にはアメリカのニクソン大統領が電撃訪中し、毛沢東と米中共同宣言を発表後、79年には、ついに台湾と断交し、カーター大統領と鄧小平のもとで、米中国交正常化がなされ、中華人民共和国側の主張である「一つの中国」をアメリカも支持するという立場をとりました。

ただし、断交後も、アメリカは台湾関係法で事実上の軍事同盟を結んで、武器売却や日本の沖縄県の在日米軍基地などにより、中共を牽制し、本音と建前をうまく使い分けてきたわけです。

◆台湾問題は日本問題

外交評論家の故・岡崎久彦氏は、生前より、地政学的要衝の地である台湾防衛は日本にとっても死活的問題であると再三にわたり指摘していました。一つにはシーレーン防衛に直結するからです。

岡崎氏は「台湾は南シナ海の北の入り口に当たるので、これを中国が制圧すると、南シナ海が事実上中国の内海のようになってしまう。有事の際にこの通路が妨害されると、日本船の通路はフィリピンの東側を通って、インドネシアのロンボク海峡を取らねばならなくなってしまう」と著書『台湾問題は日本問題』の中で述べています。

南シナ海が中国の海となり、シーレーンが封鎖される事態に陥れば、資源も食料も輸入に頼っている日本は窮地に立たされます。

ABCD包囲網を敷かれ、アメリカが日本への石油輸出を禁じた結果、日米開戦に追い込まれた過去の教訓を忘れてはなりません。

◆台湾を『国家』として認めよ

前出の書では、最後「私個人としても台湾問題にかかわってからもう四十年になるが、こういう情勢では、少なくとももう十年この問題にかかわり続ける覚悟をしなければならない。もし、その間に私の寿命が来ても、誰かがそれを続けてくれるのであろう。それは日本の国益に関することだからである。」という言葉で結ばれています。

筆者は生前、HS政経塾において岡崎氏より直接薫陶を受けた塾生の一人として、日本の国益を守るため、台湾との関係を発展させる使命があると固く信ずるものです。

かつて日本も72年に田中角栄と周恩来の両首相との間で日中国交正常化がなされ、日本も台湾と断交してしまっています。

しかし、今こそ日本は、台湾を『国家』として承認し、台湾と同盟関係を結び、日米台が協力することで、中国の野望、つまり2021年、中共100周年を迎えるその時までに、経済でも軍事でも世界の覇権国家となるという野望を打ち砕き、平和と繁栄を実現しなくてはならいのです。

人気取り以外に柱がなく、「先見性がない」現政権に代わり、幸福実現党こそが、明確なビジョンと長期的な国家戦略に基づいて、「トランプ革命」が起きたアメリカと共に、世界をリードできる「新しい選択肢」なのです。

古川 裕三

執筆者:古川 裕三

HS政経塾 担当チーフ

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