緊迫する南シナ海――世界が守るべき「法の支配」と正義
幸福実現党・神奈川県本部副代表 HS政経塾4期生 いき愛子
◆人工島の造成、戦闘機配備・・緊迫する南シナ海
南シナ海をめぐる情勢は、周金平政権の発足後、年を追う毎に予断が許されない状況にきております。
2013年にスプラトリー諸島で岩礁の埋め立てに着手していたことが判明すると、翌年には、ファイアリークロス礁での滑走路工事が判明し、今年からは旅客機の試験運用を始めています。
さらに石油探査と称してパラセル諸島周辺で着々と侵略を拡大し、ついに今年2月、ウッディー島にミサイル、戦闘機を配備しました。
米戦略国際問題研究所(CSIS)は、南シナ海の今後について「2030年までに事実上中国の湖になる」という衝撃の報告書(2016年1月)も発表しております。
◆法的根拠のない中国の侵略理由
中国が領有権を主張する言い分とは何なのでしょうか。
その根底は世界の中心に中国、漢民族が存在する「中華思想」があります。
「秦の始皇帝の時代に時代にすでに東南アジア全体は中華文化に支配されており、中国を核とした秩序の下にある国際社会であった」という根拠の元になり立っています。
そして、中国は、南シナ海のほぼ全域を九本の線(九段線)で囲み、その内側は中国の海洋領土であると主張しております。
しかし、これは国際司法では全く通らない、中国の独善的見解です。
国際海洋法の前文には、「すべての国の主権に妥当な考慮を払いつつ、国際交通を促進し、かつ、海洋の平和的利用、海洋資源の衝平かつ効果的な利用」と掲げてあり、すべての国に対して公平性が担保されることが原則とされています。
◆仲裁裁判所が南シナ海問題で初の裁定
すでに南シナ海における暴挙においても「法の支配」における制裁はくだされております。
フィリピンは中国の九段線の無効確認などをオランダ・ハーグ常設仲裁裁判所に訴えを起こし、今年7月「九段線」に関しては「歴史的な法的根拠はない」と全面的に否定しています。
さらにフィリピン漁船への妨害行為や航行の安全を脅かす行為に対しても違法性が指摘され、中国の海洋進出は侵略行為であると判断を下しました。
これに対し、管轄権を否定された王毅外相は「法衣かぶった政治的茶番だ」と一切受け付けない姿勢です。
法治主義を無視した国家の侵略に対して、理屈抜きでは解決できない面があることを、日本の政治家は重々認識しなければいけません。
◆「法の支配」と正義を貫く気概ある国家へ
日本は、「法の支配」をはじめとする価値観を各国で堅持していくと共に、安全保障上の措置をさらに高めていく必要があります。
南シナ海における日米やフィリピンとの共同訓練は実施されておりますが、さらに自衛隊の護衛艦を派遣し独自の警戒・監視行動をとっていくことが必要です。
「法の支配」を無視し、覇権を拡げる中国に対して日本の使命は、各国以上に中国の台頭を許さない気概と正義を貫く行動力を発揮していくことです。
ASEAN各国とアメリカの間を繋ぎ、中国包囲網を築くリーダー国家としての使命が求められております。
※参考書籍:南シナ海でなにが起きているのか-米中対立とアジア・日本-(山本秀也著)