日本の未来を左右する教科書採択の戦い
文/HS政経塾 第3期生 和田みな
◆来夏は中学校教科書の採択年
来年の夏、中学校の教科書採択が全国の採択地区で実施されます。義務教育諸学校において、教科書採択は4年毎に行われ、次回の採択年は2015年。採択された教科書は2016年度から使用され、次々回の採択までの4年間使用されます。
2006年、第一次安倍内閣のもとで、約60年ぶりに教育基本法が改正されました。その中で新設された「教育の目標」の中には、「公共の精神」「我が国と郷土を愛する」などの文言が並び、教科書採択においても戦後教育で教えられてこなかった「日本の精神と誇り」を見直す動きが出てきました。
◆「社会科教科書」の内容の現状
中学校の社会科の教科書は「歴史」「公民」に分かれ、文科省の検定を通った教科書は、それぞれ7社から発行されています。しかし、残念ながら、ほとんどの教科書の内容は、新教育基本法の主旨を反映したものであるとは言えません。
日本人に罪の意識を植え付け、日本の偉人を教えず、領土の正しい知識も身に付かない内容の教科書。戦後の自虐史観の元凶をつくった社会科の教科書は、未だに、決して「我が国と郷土を愛する」内容ではありません。
このような自虐史観的な社会科教育の是正を求める保守系の有識者によって作られたのが育鵬社の「新しい日本の歴史」「新しいみんなの公民」です。
前回の採択時では、これまで1%以下であった育鵬社の採択率が歴史3.7%、公民4.0%にまで伸び、神奈川県ではシェアNo.1となりました。
これにより、4年間で30万人の子供たちが、日本に誇りを持てる教育を受けましたが、わずか4%でしかありません。
■竹富町の教科書問題の危険性
2011年の夏の教科書採択において、沖縄県の「八重山採択地区協議会(石垣市、与那国町、竹富町)」は、育鵬社の公民教科書を選定しましたが、その後、竹富町だけが、違法に「不採択」とし、東京書籍の教科書を使用するという問題が起きました。
「教科書無償措置法」では、共同採択地域において同じ種類の教科書を採択し、使用するように決められていましたが、竹富町はこれを破り、沖縄県教育委員会もそれを認める事態に至っています。
これに対して、中川正春文科大臣(当時・民主党政権)は、「違法状態では、教科書を無償提要できない」と是正を求めましたが、竹富町は「『篤志家』によって教科書が配られるので、無償提供してもらわなくても構わない」と強気な態度に出ました。
そして、文科省側も「それなら、国としてはもう何も言わない」という姿勢を示してしまったのです。教育は地方行政に多くの権限がある為、文科省といえどもこれ以上の介入は出来ないというのがその理由です(「地方分権一括法」)。
しかし、教科書無償措置法は、義務教育が一定のイデオロギー教育にならないように防止する役割も担っています。
今回の場合は「匿名の篤志家」が竹富町の教科書を無償で提供していますが、この篤志家が特定のイデオロギーを持った誰か、何らかの意図を持った外国人であるという可能性も十分考えられます。
教科書問題は「お金があるなら好きな教科書を配っていい」という問題では無いのです。
◆来年の教科書採択に向けての取組み
来年の採択にむけて、私たちは「今」何ができるのでしょうか。まず、自分の住んでいる市町村区が「単独採択地区」か「共同採択地区」か、確認することです。
単独採択地区というのは、各市町村区がそれぞれ単独で採択権限を持つ地域のことを言います。一方で、共同採択地区は、いくつかの市町村区が共同で1つの教科書を選ぶ地区のことです。
現在、日本の市町村数は1742ですが、採択地区は全国で578地区、そのうち単独採択地区は259地区です。採択地区の決定権限は都道府県の教育委員会に委ねられており、都道府県でバラつきがあります。
「単独採択地区」の場合、次回の教科書採択において、民意が反映される可能性は高いと言えます。
「地方教育行政法」改正案では、首長や新教育長の責任が大きくなりました。その新教育長は、議会の同意を得て、首長が直接任命できる仕組みなので、首長の影響力は非常に大きなものとなります。
地域で声を上げ、世論を形成することで、首長の意見に影響を与えることが出来れば、採択の可能性は高まります。さらに、来春の統一地方選で、首長や議会に保守系の議員を多く当選させることで、正しい教科書が採択される可能性はより大きくなるでしょう。
一方で、「共同採択地域」の場合は、組織の仕組み上、首長や新教育長の影響は小さくなります。各市で決定された教科書が共同採択地区協議会で採用されるとは限らず、さらに、現場の教師や教育委員などの主張のみが反映されやすいことが特徴です。
現状では、声の大きな左翼系の教職員の意見が通る仕組みとなってしまっているのです。そこで、一案として都道府県の教育委員会に単独採択地区への変更を積極的に働きかけていくことが、今後の教科書採択にとって重要となります。
来年の教科書採択によって日本の誇りを取り戻すための戦いは、すでに始まっています。
執筆者:和田みな