香港は、自由と民主主義を守るアジアの砦 ――権力で人々から自由を奪うことはできない
文/兵庫県本部副代表 湊 侑子
◆普通選挙が実施されていない香港の現状
現在、香港では普通選挙が実施されていません。
1997年にイギリスから中国に返還された香港は、香港特別行政区基本法(ミニ憲法ともよばれる)において、2007年からは普通選挙が行われることが定められていました。
しかし、中国共産党の全人代による解釈の変更により、普通選挙は2014年の今に至っても実行されていません。
現在の香港のトップである香港特別行政区長官は、3代目の梁振英(りょうしんえい)氏。彼は中国共産党員ではないかとも噂される人物です。
行政長官になるためには、親中派でなければ立候補することも選ばれることもできない状態であり、北京政府に選ばれている状態です。
また、香港の国会議員(定数70名)も、半分は直接選挙で選ばれますが、残りの半分は職能団体から選ばれるようになっています。親中派が民主派(反中派)に数で勝っている状態です。
このような中、先日釈量子党首は香港に行き、香港民主派リーダーたちと対談を行い、香港において完全な民主化が成し遂げられることが、中国大陸の民主化を後押しすることを確認。アジアの自由と平和を守ることを約束し合いました。
参考:THE FACT 第11回
「中国が香港・台湾を呑み込む日~シリーズ天安門事件25年(2)~」
http://www.youtube.com/watch?v=gCsOLxhcCGk
◆普通選挙を求める香港市民たち
またこのような現状を打開したい普通選挙導入を訴える民主派の民間団体「オキュパイ・セントラル」による、2017年の香港特別区行政長官選挙での選挙案を選択する全住民投票が行われました。(6/22 「中国の香港支配にノー!普通選挙導入を!市民団体主催の“選挙”投票」 Record China)
次回の行政長官の選挙は2017年に予定されており、この選挙において普通選挙を実施することが民主派の人々の合言葉となっているのです。
今回の投票の設問には、2017年の普通選挙の3つの実施案以外は棄権しかなく、中国政府拒絶を示す民意調査の側面が強く表れています。
6月20日から電子投票、22日からは投票所が開設され、22日の夕方時点で、香港700万人のうち、1割近くの65万人の投票が集まったと報道されています。同時に、電子投票はハッカー攻撃にあったことが分かりました。(6/23 「65万人 中国案“拒否”」 産経)
この報道からも、香港において、民主派と現状維持派(親中派)が大きく対立し合っていることが分かります。
◆天安門 25周年記念式典に参加して
天安門事件から25周年であった今年、香港のヴィクトリアパークには、過去最大人数の18万人が集合しました。私もその中の1人として、参加しました。若者が大変多く、その中でも中高生の参加者が目を引きました。
天安門事件で亡くなった大学生たちの名前が呼ばれる中、皆で黙とうを捧げます。中には涙を流して彼らの冥福を祈っている若者もいました。
そして、会場全体で天安門事件のテーマソング「自由花」を歌います。
「覚えておきなさい、たった一つの死なない夢を。
たとえ豪雨に打たれても、自由の花は咲くのだ」
「一つの真理、理想を永遠に求め続ける」
このように歌う彼らを、中国共産党政府は権力で押さえつけ続けることはできないでしょう。
彼らは、自由から生まれる幸福というものを知っているのです。自由を守るためには、命を賭けてでも戦い抜く。これが人間の底力なのだと感じました。
香港民主化のリーダー、マーティン・リー氏は釈量子党首との対談でこのようにおっしゃいました。
「どんな独裁者も続かないというのは歴史の教訓です。人々の力が必ず勝つと信じます。」
神から与えられた自由を行使することにより、幸福が生まれることを信じる者として、何としても香港の真なる民主化を応援し、中国13億人にも民主化の風を吹かせたいと心に誓いました。